海底神殿へ
まあ、予定外のトラブルはあったが、この後は予定通り、海底神殿へと向かう。まずは冒険者ギルドへ行ってクエストの受注だ。
===移動===>【人間界】冒険者ギルド
「はい!それでは【海底遺跡探索】クエストを発注します。」
ワールドクエスト【海底遺跡探索】
海底遺跡を探索する
必要スキル:【潜水】
『ワールドクエスト【海底遺跡探索】を受注しました。』
クエスト内容は探索する、だが実際には海底神殿への扉を発見する事だと、以前、ラングから聞いていた。・・・あれ?その扉って遺跡の奥にあった大きな建物の扉じゃないのか?でも開かなかったしな。開ける方法を見つけるクエストってことかな。
「うっし、じゃあ早速行くか!」
「ええ。」「はい。」「了解なのです!」
「クルル!」「キュア!」
ちなみにメンバーは前回と一緒。早速【転移装置】で海底遺跡に移動する。
あ、あと昨日の船の船長は普通に戻ってきてたらしいよ?皆、海底遺跡を見つけたら【転移装置】で戻ってくるから、船長さんも(忘れられるのは)慣れているらしい。・・・どうもすいません。
===移動===>海底遺跡
と、いうわけで早速やってきた。なお、海中に出るので、【潜水】スキルを使うのを忘れずに使っておく。・・・実は忘れていて一瞬溺れかけたのは内緒だ。
「さて・・・目の前にいかにも怪しい扉があるんが・・・開かないな。」
前回同様、扉はビクともしない。
「どこかに扉を開ける方法がある、という事でしょうか?それとも実は目の前の扉がフェイクで実は他に扉があるとか?」
おっとそれは考えてもみなかった。可能性としてはありうるだろうか?・・・だとしたら随分意地の悪いフェイクだけどな。
多分、どこかに扉を開ける方法があるのが正解だろう。この扉には鍵穴も無ければ、所謂ドアノブのような持ち手も無いのだ。なので押すことは出来ても引くことは出来ない。横にスライドさせる事も出来なかった。そして押してもビクともしない以上、手動で開ける事はできないのだ。
どこかにスイッチでもあるのか、それとも開けゴマみたいな合言葉が必要とか?
「とりあえず、手分けして探すしかないんじゃない?モンスターもいないみたいだし。」
と言うわけで早速手分けして探索を開始した。古代ギリシャの建築物がいくつも並んでいて時間がかかりそうではあるが、手がかりは何もないので一つ一つ探していくしかないのである。
しかし予想以上に崩れている建物が多い。もしこの瓦礫の下に何かあるとしたら厄介な事になるぞ。辛うじて原型を残している建物も中は空っぽだ。まるで引っ越していった後のように不自然に中には何も残っていなかった。
・・・30分後。
「何かあったか?」
「いいえ、なーんにも残っていなかったわ。」
「右に同じく。」
「アーニャも何も見つけられませんでした。」
「クルルー。」「キュアー。」
収穫0らしい。さてどうしたものか。やはり崩れた箇所の中にあるのか?しかし、いちいちそんな事をやっていたら何日かかるか分からない。せめてヒントでもあれば良いのだが、ノーヒントで遺跡の中から何かを見つけるなんて・・・。
・・・いや、待てよ?クエストが遺跡探索だから、遺跡の中を調べていたが、遺跡の中になにかがあるなんて誰も言っていないんだよな。俺は天井を見上げた。
ここは海底の、さらに地下にある場所だ。当然周りは岩で囲まれた場所になる。
「・・・もしかして、建物の中じゃなくて天井とか側面の壁とかになにかあるんじゃないか?」
全員がハッとして俺と同じように天井を見上げた。
「・・・なるほど、この海底地下空間が人為的に作り出された物だとしたら、建物だけでなく天井や側面の壁も作られた物、つまり、遺跡だと認識してもいいのかもしれません。」
なるほど、と全員が納得した所で今度は天井と側面を調べ始める。暗くてよく見えなかったが天井はごつごつしたむき出しの岩ではなく、なだらかな楕円形を描くように綺麗に削られていた。どうやらこの遺跡はドーム上に岩を削りだして作られた物らしい。
しかし、障害物が無いとは言え、この広い空間の天井を調べるのは時間がかかるな。まあ、何かを隠せるような場所も見えないし、地道に調べていくしかないか。
再び手分けをして調べ始めた。
・・・30分後。
「何にもねー。」
結局、天井と側面を端から端まで見てまわったが、怪しい箇所は何も無かった。つるつるに削り取られた天井と壁が広がるのみである。
「困りましたね。ここまで手がかり一つないなんて。」
「モンスターがいたらそれがヒントになったかもしれないけど、ここまで何も無いなんてねー。」
「やっぱり崩れている部分を退かしてみるしかないのです!」
それはそうなんだがな、崩れている箇所って結構あるよ?闇雲に探そうとしたら何日も掛かるかもしれないよ?
「クルー。」「キュアー。」
ほら、アーテルやノワールまでだれてきてる。きっと飽きてきたんだろう。俺も飽きてきた。
こうなったらラングの所に情報を買いに行くか?いや、そんなことしたら「え?そんな事で情報を買いにきたの?」と屈辱的な目をしながら言われるに違いない(被害妄想)
なんとか自分で見つけたいが・・・今、天井付近から見下ろしてもけっこう広いんだよなぁー。ざっと見てまわって分からないのなら、やはりどこかに隠されているのだろうが・・・ん?
「んん?」
「どうしたの?アルク?」
「んんんん?」
「どうしたのですか?」「どうしたのです?」
丁度天井の一番高い所から遺跡全体を見下ろして・・・気づいてしまった。
「・・・なあ、今気づいたんだがここの建物、三角屋根のところと屋根の無い四角のところと二種類あるよな。」
「・・・そうですね。言われてみれば確かに二種類ありますが・・・それが?」
「あの一角を見てみろ。」
俺は気づいたそれの方向を指差す。
「・・・建物が並んでるだけじゃない?三角と四角の建物がバラバラに・・・いえ、バラバラじゃない?」
そう、俺たちが見ている建物の屋根を上空から見渡すとこんな感じになる。
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「・・・矢印なのです!!」
「なるほど、ヒントどころか答えが既にあったのね。・・・私達が気づかなかっただけで。」
そうなんだが・・・なんだろう、この脱力感は。子供だましにあったというべきか、こんな仕掛けに気づかなかったと言うべきか。
「ゲームの中で言っても仕方ないと思いますが・・・この遺跡を作った人たちは何を考えていたのでしょう・・・」
うん、それは俺も気になる。・・・悪ふざけ、以外の答えが見つからないが。
とにかく、その矢印の示す先の建物に行ってみる。そこは他の建物と代わり映えの無い建物で、中は崩れていた。しかし、矢印の示す先はこの建物である事は間違いないので建物中の瓦礫をせっせとどかしていった。そして10分ほどしてようやく・・・
「あったのです!!」
瓦礫の下にはスイッチボタンの着いた台座が隠れていた。ご丁寧にスイッチボタンには透明な蓋まで被されていた。どうやらこの蓋のおかげでスイッチが瓦礫から守られていたようだ。・・・ご都合主義?俺もそう思うよ。でもゲームの世界だから・・・な?
この後、誰がスイッチを押すか、壮絶なジャンケン大会を行った結果、見事勝ち残った俺が押すことになった。
「・・・じゃあ、押すぞ。・・・もしこれで外れだったり、罠だったりしたらあの扉ぶっ壊そう。」
探索に飽きてきていた俺は外れでは無いことを祈りつつ、力いっぱいスイッチを押したのだった。
『ワールドクエスト【海底遺跡探索】をクリアしました。』




