さすが姉御
その後、俺たちは丸一日かけて探索を行い、モンスターを狩りまくった。幸いな事にグランドカイコやグレートトレントが大量湧きするポイントが何箇所かあったので時間と苦労はかかったが人数分の素材を集める事ができた。
大量湧きを何度か通過した後、アテナが、やっぱりベルバアルのせいじゃあないわよね?、とか何とか言っていたがハテ、ナンノコトカナ?
まあ、厄介ごと引き寄せ体質のベルバアルはほっといて(ヒドイ)、素材を集めた俺たちは早々にアルマたちと合流した。アルマたちも目標の素材であるクラウドシープの羊毛を丁度集めきった所だった。
ちなみにクラウドシープとは毛がもっこもこの羊のモンスターだ。ただし、雲みたいにフワフワ空中に浮かんでいる羊だ。どういう理屈で浮かんでいるのかは謎だが、ゲームの中だから気にしてはいけないのだろう。
このモンスターにアルマたちは思いのほか苦戦したらしい。なんでも羽毛のように軽いモンスターらしく、近寄っただけでふわーっと飛んでいってしまうらしい。つまり近接戦闘が難しいらしく、俺のような接近戦をこなす戦士職には厳しい相手だったそうだ。
ではアルマたちはどうしたかというと【凍結魔法】をぶっ放して、文字通りその場に凍結させたらしい。捕らえてしまえばこっちの物と言わんばかりにフィオレ、ブラン、ノワールの【眷属】たちがトドメを刺したとのこと。
結果論だがチーム分けの采配が絶妙だったな。もし俺とアテナがこっちに来ていたら俺は役立たず、アテナの【爆発魔法】では爆風でクラウドシープを逃がしていたかもしれない。まあ、銃と弓があるから何とかはなったと思うが、苦戦はしただろう。
「おっし!まずは戦闘服の素材は集まった!さっそくヴィオレのところに服の製作依頼に行くぞ!!」
「「「おー!!」」なのです!!」
===移動===>【アイゼンガルド】クランホーム
「うぃーっす。」
俺たちは【アイゼンガルド】のクランホーム、というか店、を訪れた。相変らず馬鹿高い武器や防具が並んでいる。しかーし、今の俺にとっては購入も不可能ではないのだよ!って買いはしないが。以前の手も足も出ない時に比べたら成長したと感じる。
「おや、アンタ達かい?いらっしゃい。」
丁度良くヴィオレが店先に居た。ガットの奴はいないようだ。サボりか?
「今日はどうしたんだい?他はともかくアルクが店のほうに来るなんて珍しいじゃないか?」
・・・え?そうなの?俺以外はよく店に来てんの?どうやら俺の知らない女性同士のつながりが合ったらしい。さ、寂しくなんて無いんだからね!
「ああ、今日は前に話した戦闘服の素材が集まったんで製作の依頼に来たんだ。」
・・・んん?なんだ?何でヴィオレは驚いてるんだ?そもそも素材の指定をしたのはヴィオレだろうに。
「・・・もう集めてきたのかい?前回会って話をしてからまだ一週間と経っていないんだよ?」
それはそうなんだが、何を驚いているのかがわからない。
「・・・服の素材は今日一日で集めたものだぞ?まあ、それは運が良かったからだが、そんなに驚くような事か?」
ヴィオレの驚き具合からしてそれなりに時間がかかると思っていたんだろうが、今日一日を振り返る限りそこまで時間がかかるとは思えないのだが。
「・・・あのねぇ、グランドカイコやグレートトレントは森の奥に居るモンスターなんだ。当然、そこまで進むのにも時間がかかるし、そこからの探索だって時間がかかるもんさ。クラウドシープは草原のあちこちに居る分まとまった数の素材を手に入れようと思ったらあっちこっち行ったり来たりを繰り返さないといけないのさ。」
はぁ、とため息をつくヴィオレ。
しかし納得した。つまり、そもそも移動だけで時間がかかるはずが俺たちはアーテルたちのおかげで短縮できたから短時間で素材を集める事が出来たという事か。
「ふむ、それは全部アーテルたち【眷属】のおかげだな。実際アーテルたちが【成体化】を覚えてから移動時間が大幅に短縮されたからな。戦力としても十分に役に立ってくれてるし、ありがたいことだ。」
そういっていつもの間にか俺の頭の上にスタンバっていたアーテルを撫でてやる。
「クールルー♪」
アーテルも嬉しそうだ。他の【眷属】たちも同様。
「・・・なるほどねぇ。ガットやラングたちも必死になるわけだ。」
そういえばアイツラも強力な【眷属】をどうこう言っていたな。
「アイツらも【眷属】探しに出ているのか?【幻獣界】のエリア3では見かけなかったが・・・」
まあ、エリア3もかなり広いから鉢合わせする事はほとんどないだろうが。
「ああ、アイツらはエリア4に行ってるんだよ。ただ、相手モンスターのレベルが高いせいか苦戦しているようだけどね。」
・・・そういえばヤツラは俺たちよりレベルが上だったな。きっとヤツラの事だから俺たちより強力な【眷族】を手に入れて自慢しようとしているに違いない。まあ、俺のアーテルが一番だけどな!!
「・・・なるほど。ヴィオレは行かなかったのか?」
「もちろん行ってるさ。ただ、アイツらと違ってエリア1からじっくり探しているけどね。今日も【眷属】探しに行ってきた帰りなのさ。」
ふむ、ヴィオレは豪快な見た目に反して慎重に【眷属】を選んでいるようだ。・・・ノリと勢いだけの俺たちとは偉い違いだ(笑)
「そうか。なら依頼したら【眷族】探しの邪魔になるかな?まあ、こっちはそこまで急ぎじゃないから手が空いたらで良いんだが。」
まだガットに依頼する武器防具分の素材は集まっていないしな。
しかし、そんな頃は些細な事言わんばかりにヴィオレは豪快に笑い飛ばした。
「ハッハッハ、何言ってんだい!こちとら好きでやってんだ、アンタたちの気にすることじゃないよ!それに久しぶりに上等な素材が揃ってんだ!腕が鳴るってもんだよ!!」
・・・さすがです!姉御!!
と言いたくなる位、男らしい・・・失礼、ヴィオレらしい言い分に関心してしまう。
「・・・それならお願いするよ。素材と代金を送るよ。」
俺が全員分の素材と代金を代表して預かっていたので【メニュー】を開き、まとめてヴィオレに送信する。
「・・・確かに受け取ったよ。今回はじっくり腰をすえて作るから、一着につき一日と考えて・・・、そうさねぇ、余裕を持って一週間ぐらいかね。出来上がったら連絡するよ。」
「ああ、頼む。」
よし、これでようやく第一段階クリアだな。
「ヴィオレさん、アーニャからこれもおすそ分けなのです!!」
そう言ってアーニャが取り出したのは・・・鍋だった。
「おお、これはこの間食ったカレーかい!?悪いねぇ。」
前回大好評だったカレーのおすそ分けのようだ。確かにあれは美味いからな。
「これは【魔法界】で手に入れた野菜も加えた野菜カレーなのです!味は保障するのです!!」
「新作かい!?こりゃあ楽しみだねぇ!!」
テンションが上がるヴィオレ。気持ちは痛いほど分かる。匂いだけでよだれが出そうだしな。
その後、ガットに渡す素材はもう少し時間がかかることを伝えたうえで【アイゼンガルド】のクランホームを後にした。
当然俺たちもクランホームに戻り、カレーを頂いたのは言うまでもない。
===ログアウト===>おつかれさまでした。
おまけ 某掲示板より抜粋
34:名無し
あー、武器がそろそろやべぇ。
35:名無し
壊れそうなの?
36:名無し
いや、性能がね。
もっと強力なのがほしいなぁって。
37:名無し
買い替え時?
ちなみに今使ってる武器はどこで手に入れた?
38:名無し
武術界の第一の街で買った。
39:名無し
おま、それ、最初の最初じゃねぇか。
あ、もしかしてゲーム始めてそんな経ってない?
40:名無し
もう一ヶ月くらいであります。( ̄^ ̄)ゞ
41:名無し
おいおい、もうちょっと頑張れよ(笑)
42:名無し
マーケットでもそれなりのもの買えるでしょ?
43:名無し
そうなんだけどさぁー。
どうせなら強いの欲しいじゃん?
だから貯めとこうかと・・・
44:名無し
装備をケチってるとすぐに頭打ちになるぞ。
割り切って新しいの買いなさい ( ゜Д゜)/
45:名無し
んだけどどこで買うのがべすとかなぁーっと。
46:名無し
そこそこの値段と性能ならマーケット。
性能を求めるなら生産ギルド。
博打でドロップするまでボス周回。
47:名無し
やっぱり生産ギルドかなぁー。
おススメはアイゼンガルド。
48:名無し
アイゼンガルド?
トップクラスの生産ギルドじゃない?
お高いんでしょ?( ゜o゜)(゜o゜ )ヒソヒソ
49:名無し
高いは高いけど生産ギルドの中では良心的。
オーダーメイドになると激高になるけど。
50:名無し
やっぱそうかぁー。
51:名無し
素材を持ち込めば安くなるけどね。
52:名無し
素材集めんのがまず大変。
かなりの時間と戦闘力が求められる。
53:名無し
そしてそれができて初めてトッププレイヤーになれるのだ。
現にアイゼンガルドのオーダーメイド製はある種のブランドになっている。
らしい。噂だけど。
55:名無し
噂かよ!!
56:名無し
まあそれだけ険しい道だってことだ。
57:名無し
そのためにも強力な装備を、という悪循環に陥る可能性がある。
金で買えるものは買えるうちに買っとけ。
58:名無し
そうするわ。




