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トラップ空間

落とし穴自体は大して深くは無かった。といっても20メートルくらいは落下したと思うが。


また、落下先が剣山・・・なんて事も無かった。ただただ広い空間に出ただけだった。


リアルだったらそれでも大惨事だったと思うが、ゲームの中では無問題。あるのは落下の恐怖だけでダメージも無い。


「アルク?」「アルクさん?」


おっと別の恐怖もあったか。【天使】と【魔族】に囲まれてしまったぜ。


「ふむ、どうやら全員無事のようだな。良かった良かった。」


ベルバアルたちもいる。


「クルルー!」


アーテルたち空を飛べる【眷属】たちも降りてきた。どうやらはぐれずに済んだみたいだ。


「なに誤魔化そうとしてるの?」「無事を確認する前に言う事がありますよね?」


「すいませんでした。」


俺はその場で土下座を敢行した。だって怖いんですもの。


「とっさにしがみつくのは仕方が無いのかもしれませんがワザと落ちる必要は無かったのではありませんか?」


「その通りです、すいません。」


「ではもう二度とやりませんね?」


「・・・・」


「・・・なんで答えないんですか?」


それはその時になってみないと分からないからですよアルマさん(笑)しかもどさくさにまぎれて自分もアテナにしがみついた事を仕方が無いことにしようとしてるし。恐るべし策士だ、アルマ。


「・・・言っとくけど仕方が無いなんて言葉で騙されないからね?アルマ?」


アテナがアルマの肩に手を置きながら氷点下の声色で言い放った。


「すいませんでした。」


すぐさま俺の隣で土下座を敢行するアルマ。やっぱ大した策士じゃなかったわ。・・・いやなにげに一人だけ追及を逃れたアーニャこそ真の策士なのか?


「アーニャは私が助けようとしたのよ。」


「すいませんでした。」


そうか、俺とアルマは、アテナがアーニャを助けようとしたのを邪魔してしまったのか。


「あのー、皆さん。そんな事をしている場合じゃないと思うんですが・・・」


「なによベルバアル!コイツラをかばうの!?」


「え?あ、え?」


割って入ってくれたベルバアルだが役に立たないようだ。というよりよく分かってないんだろう。事故が起こったのはベルバアルが落っこちた後だからな。


「まあまあ、落ち着いてくれやんし、アテナさん。ここで仲間割れを起こすのは危険でありんす。」


レヴィーネも割った入ってくるが・・・そういえばここはどこなんだろうか?落とし穴に落っこちたということは地下6階か?


「ここはプレイヤーからはトラップ空間と呼ばれている場所です。ここに出るモンスターを全滅させるか死に戻る以外脱出方法がないという。つまり僕達は閉じ込められたということですよ。」


ふむ、そんなトラップもあるのか。


「でもそんなモンスターなんていないじゃないか。」


「なに土下座やめてんのよ?」


アテナが何か言っているが今はそれどころじゃない。


「いるぞ。ホラ。」


リグシオンがクッキーを食べながら(まだ食ってたのか)空間の奥のほうを指差した。


よく見ると奥のほうからのっさりゆっくりと人型の何かが近づいて来ていた。


「・・・あれは・・・ゴーレム?」


それは一見巨人のように見えたが、良く見ると岩で出来た人型だった。すかさず【看破】を発動。


【ロックゴーレム Lv.33】

大地の魔力によって形を成したゴーレム


「ロックゴーレム!このダンジョンの下層のほうに出るモンスターですよ!!こんな所で出るなんて!!」


おまけにレベルも高いし・・・12体もいる。ん?12体?


「どうしたんですかアルクさん?」


いつの間にか土下座を止めたアルマが隣に来ていた。アテナが凄い睨んできているがスルーする。


「敵が12体、こっちもアーテルたち【眷属】を含めると12人だ。」


俺、アテナ、アルマ、アーニャ、アーテル、レオーネ、フィオレ、ブラン、ノワールの9人にベルバアル、レヴィーネ、リグシオンの3人、合わせて12人。


「そうですけど、それが?」


「さっきのトラップ、何で急に作動したのか気になってな。もしかしたらトリガーは12人が同じ場所に揃うことかもしれないと思ってな。」


12人とは中途半端に思うかもしれないが、1パーティ最大6人なことを考えると2パーティで12人。つまり2パーティ以上をはめるトラップと考えられる。


「それってつまり・・・」


全員の視線がベルバアルに向く。


「・・・ベルバアルが来たのがトリガーってことだな。」


おお、ベルバアルが頭を抱えて蹲った。その背中にはまたやっちまった感が出ていた。ぶっちゃけただの偶然なんだが、ここに来る前の街で前回のべヒーモスの話をしたからな。意図したわけではないのだが、今思えば俺がフラグだったな。


「まあ、気にするなベルバアル。今回はさすがに偶然だ。それよりアイツラを倒すのが先決だろう?」


まるで光明を得たかのような顔で俺を見るベルバアル。


「そうね、べヒーモスの話をしだしたのも、あの場所で休憩を言い出したのもアルクだけど、今それを言ってもしょうがないわよね。」


おっと、アテナがジト目で真の元凶たる俺を追及したそうだが今はそれどころではない。


「そ、それはそれとしてだベルバアル。普通に考えたら一人一殺なんだがそっちはいけそうなのか?」


誤魔化すようにベルバアル側の戦力を確認する。


「どうなんだ?レヴィーネ、リグシオン。」


・・・聞く相手を間違えたか?


「問題ありまへん。」「俺もだ。」


どうやら大丈夫らしい。


しかしこっちは問題だ。アーニャは一人で戦えないし、アーテルたちより相手のほうがレベルが高い。一人一殺では厳しい。


「ならそっちで3体頼む。残りはこっちで相手をする。」


「分かりました!行こう!二人とも!!」


「はいな。」「おう!」


ベルバアルたちは我先にとゴーレムたちへと駆けて行った。・・・こっちの足並みを揃えるまで待って欲しかったんだが。


「・・・それでこちらはどうするんですか?アルクさん?」


「・・・1対1、と言いたいが、さすがにアーニャ一人では厳しいし、アーテルたち【眷属】組もレベルで負けているからな。主と眷属で組んで2対2を三つと3対3で戦う。アーニャたちの組が少し厳しいかもしれないが他の組が速攻で決めて援護に向かう。」


一応、アテナの【爆発魔法】やアルマの【凍結魔法】でまとめて叩くという手も考えたが、相手のレベルからして一発で仕留められると思えないし、連発は出来ないそうだから手段としては微妙なところだ。


それよりも一体ずつ確実に減らしていったほうが確実・・・だと思う。


「・・・わかったわ。」「分かりました。」「ハイなのです!」


「クルッ!」「がお!」「ピュイ!」「キュイ!」「キュア!」


こうして俺たちとゴーレム軍団の戦いの火蓋が切って落とされた。


・・・


「フハハハハ、ロックゴーレムごとき恐れるに足りん!!」


ベルバアルは前回と変わらず大剣で戦っていた。動きのキレがさらに上がっているのを見るに【大剣術】のレベルが上がったのだろう。もしくはもっと上級のスキルか。少なくとも俺より上だな。


「ホホホホホ、おそいどすなぁ。【狐火】」


レヴィーネは手のひらから出した紫色の炎をゴーレムに投げつけている。それを受けたゴーレムはドロドロに溶け始めている。なんだ?あのスキル?妖術か?


「来い!【スカルナイト】!!」


これが今日一番驚いた。リグシオンが叫ぶと前方に魔法陣が現れ、そこから鎧と槍を持った騎士が現れた。ただし、それを装備しているのはガイコツ、つまりアンデッドだ。どうやら彼は【死霊術師(ネクロマンサー)】だったらしい。


・・・おのれベルバアル!順調に戦力を増強しやがって!!


「クル!クルル!!」


おっとアーテルに怒られた。俺たちは俺たちの仕事をしないとな。


「わかったわかった。アーテル、【成体化】だ!!」


「クルルー!!」


天龍馬の本来の姿に戻るアーテル。


「よし、【レーザーダイブ】だ。」


「クルル!!」


俺が叫ぶとアーテルは全身を激しく輝かせ、全身が弾丸となった状態でゴーレムへと突っ込んでいった。いわゆる体当たり、さすがに一回では無理だったがアーテルのすさまじいスピードによって何度も何度も突進を受けた結果、相手のゴーレムはなすすべもなくバラバラに砕け散った。


「やるなアーテル!俺も負けてられないな!!」


そう言うと俺は左手に槍、右手に斧を装備した。


「【パワーチャージ】!【パワースマッシュ】!」


これまでにないパワー重視の連撃。ゴーレムにスピードは無いと見ての力技である。しかしスピードがない分ガードの固いゴーレムは当然これだけでは倒せない。


「さらに【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!


 【パワーチャージ】【パワースマッシュ】を連打!連打!連打!」


俊天の疾走(アーク・アクセル)】でさらに加速しつつパワー重視の連撃を繰り返す。さしものゴーレムも高速パワー連撃(何だその名前)に耐え切れず砕け散った。


「クルルー♪」


「おーアーテル、よくやってくれたな。よし、今度はアーニャたちの援護だ。おーい、アーニャ!こっちは終わったからそっちの援護に行くぞー!!」


「「「「「早いよ!!!」」」」」


「!?」「クル!?」


・・・なぜかアーニャ以外の連中から返事が来た。見るとまだ誰もゴーレムを倒せてない。ヤレヤレだ。


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