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人は楽な方に進みたがる

「これは僕らも大至急、強力な【眷属】を手に入れないとね。」


「うむ、急いでヴィオレたちに相談せねば。」


そういってラングとガットは帰っていった。・・・本当に見学だけして帰りやがった。


まあ、あの二人はほっといて、今はアーテルたちだ。


「皆強くなったなぁ。」


「クールルー♪」


アーテルの頭を撫でながらしみじみと感じ入る俺。え?元から強かったじゃないかって?おいおい、人の喜びに水を差すなよ。


「移動も戦闘についてもまったく問題ないな。じゃあ一気に第二、第三の街まで行ってしまうか。」


全員が頷く。普通に歩けば2時間の距離でもアーテルたちならあっと言う間だろう。それぞれが【眷属】たちに乗り込んでいる。ちなみにアーニャはノワールに乗ることにしたらしい。ブランがその横に併走する形のようだ。


「じゃあ街の入り口まで競争な!最下位はみんなにジュース奢る事!よーい・・・ドン!!行け、アーテル!」


「クルルー!!」


自分で提案し、自分で罰を決め、自分でスタートを切る外道な行為。アテナたちが抗議の声を上げているだろうが聞こえない。なぜならアテナたちは既に遥か後方に置き去りにされているから。


「フハハハハ、戦場で油断してはいけないのだよ!」


「クルルー♪」


===移動===>第二の街ツヴァイ


・・・俺は今、第二の街ツヴァイの喫茶店で全員にジュースを奢っている。この街は野菜や果物が豊富で普通のジュースでもかなり美味しい。


「このりんごジュース、おいしいわね。」


「オレンジジュースもなかなかです。」


「ぶどうジュースもおいしのです!」


「がお♪」「ピュイ♪」「キュイ♪」「キュア♪」


それはようござんした。幼体に戻ったレオーネたちも満足そうだ。


「クールルー♪」


・・・アーテル、何でお前も飲んでいる?いや、別にいいんだけど。


結局第二の街には20分とかからず着いたのだが競争には負けた。より正確に言えば誰よりも早く街には着いていたのだ。しかし、ここで予想外の事が起こった。車が急に止まれないようにアーテルも急には止まれなかったのだ。


あの時はびっくりしたなぁ。まさかスピードを出しすぎて止まりきれず、街の上空を素通りしてしまうとは。おかげで余計な遠回りをした挙句、その間に競争に負けてしまったのだ。


・・・いや誰が悪いのかって言ったら競争だなんだと言い出した俺なんだけどね?アーテルに乗って移動する時は注意が必要だな。今回はまだ良かったがもしもっと空を飛ぶ高度が低かったら街の中に突っ込んでしまうところだった。俺が余計な事を言わなければアーテルももっと慎重に飛んだとは思うけどね。


ちなみに競争の順位は1位がアーニャ&ブラン&ノワール、2位がアテナ&レオーネ、3位がアルマ&フィオレだったとのこと。・・・ゴールを街の入り口ではなく街まで、って言っておけば俺たちが1位だったんだがなぁ。迂闊だった。


そうそう、ここ、第二の街ツヴァイはマナティア山脈の麓にある街であり、マナティア山脈への入り口でもある。畑も広がっていて山の幸と畑で取れる作物で賑わっている街だ。当然野菜や果物は大量購入済みである。


それともう一つ、ここには【僧侶(プリースト)ギルド】があって回復や浄化系の魔法を取得できる。


アルマとアーニャが早速取得に向かっていた。アテナはイベントに先駆けて既に来ていたがスキルレベルが上がっていたので確認に同じく向かった。俺も一応は先に来ていたのだがスキルレベルはまだまだだったので今回はスルーし、冒険者ギルドで情報収集を行っていた。


というのも次に向かう第三の街はマナティア山脈のど真ん中にある。つまり、この街から山を越えた先にあるということだ。随分と標高の高い所にあるマチュピチュのような街のようで、何でそんな所に、といいたくなるがマナタイト鉱石が取れる鉱山都市だから、ということらしい。


まあ、そんなわけで山に入るわけだからそれなりの準備が必要とのことだ。一応道はあるらしいが、一歩そこから外れると遭難必至だとか。もっとも俺たちにはそんな心配があるかと言われれば疑問だが。


そんなわけで十分な休息を取った俺たちは早速第三の街に出発する。勿論、アーテルたちに乗って空の旅で行く予定だ。これで遭難の心配は無いはずだが問題が一つ。


「がお~~。」


【眷属】たちの中で唯一空を飛べないレオーネ(ライオンだからね!)はアテナと共にブランに運んでもらう事になった。なので役に立てない、とレオーネがへこんでいる。


「落ち込まないでレオーネ、また活躍の機会があるから・・・」


アテナが懸命にあやしている。種族的に仕方の無いことなのだがアテナとレオーネのコンビで考えた場合、独力で空を飛べる天使のアテナには地上で圧倒的なパワーをみせるレオーネの力が必要なはずだ。今回はたまたま場所が悪かっただけの事だ。


「キュイキュイ!」


「がおー。」


「キュイ!キュイイ!!」


「がお!!」


・・・なんか知らんが立ち直ったようだ。一体何を話したのだろう。そして何故あれで会話が成立するのだろう。気になる。


まあ、とにもかくにも出発だ。眼前に聳え立つのは険しい山々なれど、恐れるに足りず。なぜなら空から行くから。・・・なんか真面目に山登りしている人たちに申し訳ないな。


「・・・おや?」


なにやら山の上のほうからデッカイ鳥の群れが・・・。すかさず【看破】。


【ウインドガルーダ Lv.20】

山の頂を住処とする巨鳥、巣に近づかなければおとなしいが、自分達の領域に近づくものには容赦が無い


・・・アウチ!!安易に空路を選んだしっぺ返しがきたようだ。この辺りの空は彼らのテリトリーだったらしい。レベルもそこそこ高い。その数、およそ20羽。


「応戦するぞ!!」


これはあれだね。安易に楽な道を選ぶと痛い目をみるっていう教訓だね。まあ、俺たちは普通に突破するけどね。見逃してくれそうにないし。


俺は拳銃を取り出しながら気合を入れなおした。


===移動===>第三の街ドライ


突然だが地理的な話を少し。今俺たちがいる大陸はマナティア山脈を中心として西、東、南の地域に分断されるような形になっている。T字のような形の大陸で縦棒と横棒の交わる地点が山脈、と言えば分かりやすいだろうか?


俺たちが【魔法界】で一番最初に訪れた第一の町は南の地域の中心、第二の町は山脈の南側の麓になる。第三の街は山脈のど真ん中であり、ある意味でこの大陸の中心とも言える場所にある。


そしてマナティア山脈の西側が魔族の領分、東側が人間の領分、南側がどちらでもない中立地帯という構図になっている。丁度、山脈で分断されているがために3地域の均衡が保たれていると言ってもいい。


で、問題はここ、第三の街だ。マナティア山脈自体はどこかの陣営に属しているなんてことはない。マナタイトは陣営問わず誰もが欲しがる物であり戦闘においては生命線とも言える。当然、人間・魔族どちらの陣営も独占を目論むのだろうが、この大陸には第三の勢力、つまり中立派が存在している。


例えばどちらかの陣営が不当に山脈の鉱山を占拠した場合、相手の陣営のみならず、中立派の陣営まで敵に回すことを意味している。言うまでもなく、そんな不利な状況に自分から追い込まれるような真似をするはずが無く、マナティア山脈及び、その鉱山は中立と言う事になり、第三の街ドライも中立の街、ということになる。


しかしそれは逆に言えば中立である以上、人間であろうが魔族であろうが受け入れなければならないということだ。もしもどちらかに偏れば今度は中立派が両陣営から追及される立場になる。


要するにこの第三の町は3勢力の危うい均衡によって保たれている場所であり、その均衡を崩しうる絶妙な立ち位置の場所なのである。


というのがゲーム上の設定である。では実際の所はどうかと言うと人間や魔族他様々な種族のプレイヤーで賑わっているただの街である。まあ、人間と魔族の対立なんてプレイヤーには直接関係無いわけだしな。


で、何でそんな事を話しているかと言うと・・・


「アーっハッハッハッハ、久しぶりだな人間よ!!」


どっかで見た事がある魔族に話しかけられたからである。

おまけ 某掲示板より抜粋


233:名無し

俺、大至急眷属を入手してくるわ。


234:名無し

急にどした?


235:名無し

いやー街から街へ歩いて移動してたらさー眷属に乗ったプレイヤーに

颯爽と追い抜かれていったんだわ。

それも凄いスピードで。

何で俺たち歩いてるんだ?って疑問に思ってな。


236:名無し

あー騎乗できるタイプの眷属か。

話はちらほらあったけどそんなに違う?


237:名無し

全然違うぞ?

足が速いタイプだと街から街への移動に30分かからない。


238:名無し

まじで!?

俺の二時間の苦労は!? ( ;∀;)


239:名無し

と言っても移動に限った話だぞ。

当然道中でもレベリングは出来ない。


240:名無し

それでも断然良いじゃん!!

なんでその情報広まってないんだろ?


242:名無し

中堅以上のプレイヤーなら大体知ってるぞ?

ただし、育てる手間と強力な眷族が欲しい場合はそれなりのレベルがいるってだけの話


243:名無し

なるほど。


244:名無し

なあ、その眷属に乗ったプレイヤー云々って魔法界の話?


245:名無し

そうだけど何で?


246:名無し

第二の街で今噂になってんだよね。

ペガサスに乗ったプレイヤーが一瞬で第二の街の上空を横切っていったって。


247:名無し

まじで?

第二の街って結構広くなかった?


248:名無し

まじで。

一瞬だったから気づかなかった人もいるみたいだけど。

なんかのイベントかってざわざわしてた。


249:名無し

でもプレイヤーだったと。


250:名無し

そう。

なんか第一の街辺りでも目撃した人がいたんだって。

流星みたいだったって。


251:名無し

流星って(笑)


252:名無し

そんなお前達にさらに情報を投下(笑)

インフォガルドでとある写真が公開されたぞ

見てみるといい


253:名無し

写真?


254:名無し

航空写真みたいな感じ。

高度千メートルくらいから撮影された魔法界の写真

最初はリアルの写真か作り物かと思ったがそうではない模様。

このゲームのクオリティに感動したヾ(*゜Д゜*)ノ゛


255:名無し

俺も見た!!

空を飛ぶ眷属に乗ればこんな写真も取れるらしいぞ!!


256:名無し

じゃあその写真はそのペガサスに乗ったプレイヤーが撮った写真?

それってインフォガルドの関係者ってこと?


257:名無し

関係者かどうかは分からんが写真の公開の許可は取ったらしいぞ。

一見するとただの風景写真だが魔法界の美しさに俺、感動。 (。p゜ω゜q。)


258:名無し

マジかよ。

俺も見に行こう!!


259:名無し

私も!!


260:名無し

眷属ブームが来そうだな、これ。

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