割と重要な情報
「いやー久しぶりに楽しめたよ。良かったら【刀士】クラスと【刀術】スキルのレベル上げにも挑戦してくれないかい?ムサシ君も喜ぶだろう。」
「ムサシ君?」
「【侍ギルド】のギルドマスターだよ。」
・・・それってもしかしてミヤモト・・・いや次の楽しみにしておこう。この分じゃ他のギルドでも似たような感じっぽいな。後でアテナたちにも確認しておこう。
「わかりました。それと一つ、いや二つ質問があるんですが良いですか?」
「うん?良いよ。僕に答えられる範囲ならね。」
それはそうだろう。だがNPC、それもギルドマスターに質問なんて滅多にできないからな。
「【剣術】と【体術】スキルが最大で【剣闘士】クラスの試験を受けられるんですよね。同じように【魔法】スキルでも何かクラスを取得できるんですか?」
そう、前から疑問に思っていた。このゲームでは気力系の武技スキルを使うクラスは【武術界】。魔法系の魔法スキルを使うクラスは【魔法界】と区分けされている。では魔法剣のような両方のスキルを合わせたようなクラスの場合はどうなのか。もしかしたら存在しないのかもしれないが。
しかし、先ほどヤマトさんは魔法に関しても話をしていた。つまり【武術界】でも魔法の存在は認知されていることになる。となるとまったく無いとは思えない。
「中々良い質問だね。しかし今はまだ答えられないな。剣に関しては合格でも魔法に関しては君はまだレベルに達していないようだからね。」
・・・どうやらそう言うことらしい。まあ、確かに魔法系のスキルはカンストしたものが無いからな。
「しかし君が望むならこれを渡して置こう。僕からの紹介状だ。」
といって懐から綺麗に封がされた豪華な手紙のような物が渡される。表には【剣士ギルド】とヤマトタケルの名前が記載されている。すかさず【鑑定】を試みる。
【剣士ギルドの紹介状】
ギルドマスターヤマトタケル直筆の紹介状、とある場所で必要になる
とある場所、ね。
「良いんですか?」
「構わないよ。君の剣のレベルは十分だし、それを使うだけの技量があるからね。
それでもう一つの質問は?」
ならこの紹介状はありがたく貰っておくとして次の質問をする。
「・・・本気の貴方と再戦する機会はありますか?」
ヤマトさんが面食らった顔をしている。実際ヤマトさんは相当に強い、と思う。だが今はそれを押さえ込んでいるのかどれほど強いのか読めない。NPCだから意図的にレベルを下げているのかも知れない。そうであるならばこの人の本気を是非見たい。
「・・・あるよ。上級職のさらに上を目指すなら、ね。」
・・・上級職のさらに上、ね。さらっと重要な情報じゃないか?これ?
「・・・そうですか。」
「まあ、それはまだ先の話だし、着実に力を付けていくと良いよ。他の街も回って見るといい。強者っていうのは案外色んな所にもいる物だよ。」
ふむ、つまり第四の街以降、他の国にも似たような強者や達人がいて同じように勝負ができるってことか。
「分かりました。勿論俺も第四の街以降の街にも行ってみるつもりです。」
そうしないと解放されないクラスやスキルもあるだろうからな。まずは行ってみないと始まらない。
「番号付きの街だけじゃないよ。この国の他の街にだって強者はいるよ?」
・・・なに?
「番号付きの街?だけじゃない?ならこの国には第一、二、三の街以外にも行ける街があるんですか?」
「勿論だよ?・・・ああ、そうか。どうやら勘違いしているようだね。第一、二、三っていう番号は世界中に点在しているギルドの集まり、通称【ギルド連合】が管理の都合上付けているものであって、番号の無い街、つまりギルドが無い街だってたくさんあるよ?」
・・・これはちょっと衝撃の事実。てっきり順番に街があってそれを巡っていくものだとばかり思っていたがそうでもないらしい。後でラングの奴に聞いてみよう。
「まあ、ギルドに所属する人間が、依頼でもない限りギルドの無い街に行く事は滅多に無いだろうね。それに距離的にも人の足で行くには厳しいものがあるから、馬車などを使って数日から数週間、場所によっては数ヶ月の場合もありうるから、気軽に行くのは厳しいかもしれないね。」
移動で数ヶ月。それは確かに厳しすぎる。というかそんな状態なら普通にプレイしてるプレイヤーは明確な理由が無い限り行かないんじゃないか・・・
「それなら、俺も行くのは厳しくないですか?正直そこまでして行くメリットがあるのかどうか・・・」
「確かにね。メリットという意味では行った先に道場などがあれば弟子入りする事ができるよ。その流派でしか使えない技もあるから行く価値はあるとは思うよ。
・・・それに君の場合、移動手段に心当たりはあるんじゃないかな?」
そういってヤマトさんが見たのは・・・
「クルル?」
何時の間にか俺の頭の上に移動していたアーテルだった。なるほど【眷属】に乗って移動するってことね。今の姿では厳しいだろうが【成体化】すれば人一人乗せるのなんて楽勝だろう、多分。空も飛べるだろうしね。
「なるほど。じゃあその時が来たら頼むぜ、アーテル。」
「クールルー♪」
頭を撫でながらお願いする。どうやらOKのようだ。え?アテナたちはどうするのかって?さあ?自分達でどうにかするだろ?レオーネやフィオレがいるんだし。アーニャに関しては既にブランに乗って移動は出来るだろうから本人次第だな。便乗する気は今のところない。
しかし、これも貴重な情報なんじゃないだろうか。未踏の地なら未確認のモンスターや素材、アイテムもあるだろうし、弟子入りで取得できるスキルも気になる。これもラングに確認しておこう。
「以上かい?それなら上の受付で【剣闘術】の【技術巻物】を受け取ってもらえるかい?それで終了だよ。」
「はい、ありがとうございました。」
「クルル!」
一礼する俺(とアーテル?)を見て微笑んだ後、ヤマトさんはその場を去って行った。俺は言われたとおり受付で【剣闘術】の【技術巻物】を受け取り、取得した後、【剣士ギルド】を後にした。
一発目でかなり疲れてしまったが、他のギルドもまわらなければいけないので気合を入れなおして次のギルドへと向かった。
・・・
と意気込んではみたものの、良く考えたら俺がカンストしているのは【剣士】クラスと【剣術】【体術】【銃術】スキルだけだった。
なので現状で取得できたクラス・スキルは・・・
【闘士ギルド】で【中級体術】スキル(SP消費)と【格闘士】クラスに【格闘】スキルを取得、【銃士ギルド】で【中級銃術】スキル(SP消費)と【双銃士】に【双銃術】スキルを取得した。
他はクラスやスキルのレベルが足りていないので取得できたのはこれだけだ。ちょっと努力が足りなかったか。当然他のギルドマスターにも会えていない。
この後合流したアテナは【中級弓士】クラスと【中級弓術】スキルを、アルマは【中級槍士】クラスと【中級槍術】スキルを取得したそうだ。ただギルドマスターには会えなかったらしい。複数スキルをカンストするのが条件なのかね。
ちなみにアーニャは野菜類を大量に買い込んだらしい。新作料理がたくさん作れそうだという声に【眷属】たちが一斉に声を鳴らした。どうやら順調に餌付けが進んでいるようだがアーテルがアーニャに取られないかちょこっと心配になった。
「さて、本来だったらここで次の【魔法界】に移動予定だったが、ちょっと変更して一度鉱山に行ってみようと思う。」
全員が集合した所で予定変更を提案してみる。
「良いけど、その理由は?」
「道中であんまりアーテルたちのレベルが上がらなかったからな。この調子だと、これから向かう鉱山もレベルはあんまり高くないかもしれない。一度確認が必要だと思ってな。」
「敵が弱いのが不満、ということですか?」
「それもあるんだが元々アーテルたちのレベリングを優先したのは万全の状態で素材集めするためなんだよな。この4人なら4パーティでバラけて採掘できるだろ?その時に【眷属】のレベルが高いほうが安全だと思ったんだが、今の時点で十分な戦力なら無理に後回しにする理由もないんだよ。」
「なるほど、なのです。」
「それにこれが一番の理由なんだが・・・」
「「「??」」」
「移動ばっかで飽きた。」
「「「・・・」」」
こうして全員一致で鉱山に向かう事になった。
・・・予定立てるのが適当だって?臨機応変も大切なんよ?




