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タダほど怖い物はない

「フレンド登録を済ませたところで、我らがラッキーナンバーにワシから餞別じゃ。」


「ああ?」


ラッキーナンバー777777を散々いじられて若干不機嫌な俺。お前餞別の意味わかってるのか?


「まあ、そう不機嫌になるな。まずはコイツじゃ。」


ピコン、と何かを知らせる音が聞こえた。まあ、メールの受信音だが。【メニュー】を開くとガットから添付付きでメールが来ていた。と言ってもメールには何もかかれていなかったが。添付には・・・。


【黒衣の戦闘服】

見た目を変える衣装。外見のみが変わる装備、防具としての効果はない

製作者:アイゼンガルド


「【黒衣の戦闘服】?なんだこれ?」


「ワシのクランの職人に頼んで作ってもらったお前さん用の服じゃよ。今の村人Aの服よりかはマシじゃろう?添付を開いたら自動で【収納箱(アイテムボックス)】に収納されるから【メニュー】の装備欄で服をきり替えれば着れるはずじゃ。ま、この場で脱いでも構わんが。」


「それは遠慮する。」


言われたり【メニュー】から服をきり替える。一瞬で俺の着ている服が変わった。こういうところは普通にゲームだな。現実に欲しいぐらい便利。


さて服の見た目だが黒衣の名の通り全体が黒で統一されている。また、全体的に・・・制服?いや軍服か?と言わんばかりにビシッとしている。長袖、長ズボンで全体が黒である事もあって蒸れそうな見た目であるが、実際は全然そんな事は無く、体を動かすのにまったく違和感の無い。素晴らしい着心地だった。


「・・・すごいなこれ。素人目には判らんが相当な値段がするんじゃないか?こんなものもらっていいのか?」


「誰がやると言った。10万Gじゃ。」


「金取んのかよ!!そんな金もってねぇよ!!」


「安心せい。貸しにしといてやる。」


「何を安心しろってんだ!!」


「これでも随分まけとるんじゃぞ?ソイツはランク7の服じゃが、市場に出せば100万Gは軽く上回る代物じゃ。まあ防具ではない見た目だけ変わるアバター装備じゃから効果はないがな。」


「善意の押し売りじゃねぇか!!つーかそんな高級品をポンと渡すんじゃねぇ。」


「仕方あるまい。今度ゲームを始める知り合いに服をあげたいといったら、夜を徹して作ってくれたんじゃ。やさしいじゃろ?その好意を無にする気か?ちなみにそれを作ったのは美少女じゃ。」


「ありがとう、大切にするよ。代金は必ず払うとその子に伝えてくれ。」


そんな美少女に、いや好意に水を差すなんて男が廃る。10万Gくらいすぐに稼いで見せよう。あては無いけど。


「ところで、サイズがぴったり何だが、身長いじったり人間以外の種族を選んでいたらどうしたんだ?」


「さて、他にも渡したいもんがあるんじゃ。ホレ、送ったぞ。」


このヤロー、無視しやがった。さては着れなそうだったら黙ってお蔵入りするつもりだったな。


「ハイハイ、剣、大剣、ナックル、銃、弓矢、槍、斧、杖、刀、ナイフ、盾・・・なんだこの武器セットは?」


「お主は金も武器も持っておらんじゃろ?そいつらはランク7でレベル1のお主でもギリギリ装備できるはずじゃ。ああ、このゲームでは盾も武器扱いなんで注意じゃぞ。防具として装備できんからな。」


「・・・ガット・・・」


「さっきの服と合せて全部で50万Gでよいぞ。」


「やっぱ金取んのかよ!!」


「安心せい。それも貸しにしてやる。」


「そこが不満なんじゃねぇ!!」


「それらは市場に出せば一個20万G。」


「だから、渡してから言うんじゃねぇ!!・・・ハッ!もしかしてこれを作ったのって・・・」


「ワシじゃ。」


「お前かよ!!」


「ウム、親友がゲームを始めるとあって奮発したんじゃ。」


「・・・」


親友に50万Gの借金を押し付けるとはどういう了見だ。


「もらっておきなよアルク。それがあれば暫く装備の更新を考えなくて済むからさ。装備の更新分の費用を考えたら50万Gなんて安い物さ。」


援護射撃のようにガットを支持するラング。


「・・・本当だろうな?」


「勿論さ。」


「・・・わかったよ。貰っとく。」


なんか疲れた。色々と。


「さて、では僕のほうからも餞別をあげようじゃないか。」


お前もかよ。


「僕からは各世界の初級のクエスト、フィールド、モンスター、ボス、ドロップアイテムを網羅した情報満載の情報ディスクだ。【メニュー】で見れるほか検索機能もあるよ。」


フム、いわゆる攻略データか。最初から見てプレイする気は無いけど行き詰ったときとかには便利かもな。


「僕も50万G、貸しでいいよ。」


「お前も金取んのかよ!!」


「あ、もしそれに載ってないものがあったら教えてくれ。値引きするから。」


「網羅してんじゃねぇのかよ!!」


「もちろんだよ。それだけ世界は広くてたくさんのイベントがあるからね。まあ、初級レベルじゃあそんなに貴重な情報なんて滅多にないけどね。」


・・・なんか詐欺にあってる気がするのは気のせいだろうか。いや、役には立つんだろうが。


「ハァ、わかった。貰っとく。・・・覚えてろよ。」


「勿論覚えてるさ。でないと貸しにならないからね。じゃあそろそろ僕達はお暇するよ。良き旅を、アルク。」


「じゃあのう。なにかあったら連絡をくれい。」


そう言って二人は去っていった。・・・なんだこの敗北感。


===視点切替===>>ラングとガット


「さてガット、せっかくだから賭けをしないかい?」


「賭け?」


「そうだなー、アルクが未発見の情報かアイテムをどのくらいに見つけてくるか、なんてどうだい?」


「うーむ、このゲーム、やりこむヤツラは相当やりこんでいるからのう。それでも一ヶ月程度ではまだまだ未発見の物が多い。じゃがまだアルクは始めたばかりじゃ。未発見エリアまで行くにはレベルが足りん。他にも始めたばかりのやつが多数おるし、どんなに早くても2週間ってところじゃないかのう?」


「それじゃあ、僕は1週間以内にしようか。まあ、ゲーム開始直後ならいざ知らず1ヶ月もたった後の初級レベルじゃあ早々ないとは思うけどね。彼はあの通り、妙なところで運がいいからね。やってくれるかもしれないよ。」


「フン、とはいってもお主の渡した攻略データがあるんじゃ。道草さえ食わなければ1週間でも相当すすめるじゃろ?」


「彼はその道草を楽しむタイプだと思うけどね。それに君の渡した武器、はっきりいって初級クラスのなかでは最高クラスだろう?」


「アヤツの()()()()()()()()を知っておるからのう。初級クラスでまごつかないで早めにトップに食い込んでもらいたいんじゃ。」


「それは同感だね。1、2ヶ月後が楽しみだよ。」


「フム、お互い忙しくなりそうじゃのう。」


「望むところさ、彼がいないといささか退屈だったからね。」

おまけ 某掲示板より抜粋


332:名無し

聞いてくれ!始まりの街の冒険者ギルド前に

【インフォガルド】のラングさんと【アイゼンガルド】のガットさんがいたんだ!


333:名無し

まじ?

二人とも大手クランのトップじゃないか


334:名無し

何でそんな所に?


335:名無し

私も見ましたよー

ラング様ちょーかっこいい!!


336:名無し

私はガット様!!

ダンディで男らしい!!


337:名無し

なんか急に騒ぎ出したんだけど


338:名無し

あー二人ともイケメンでも有名だよな

外見だけじゃなく中身も


339:名無し

ガットさんに武器作って欲しい


340:名無し

それは皆思うことだ

素材が用意できればなー


341:名無し

凄い勢いで騒ぎ出してるけどもう一つだけ聞いてくれ

実はもう一人謎の人物がいたんだ


342:名無し

謎の人物?だれ?


343:名無し

わからん

大手クランのトップが揃ってるから有名人なのかと思ったんだが

誰も知らなかった


344:名無し

誰だろ

どっちかのクランの新人?


345:名無し

【アイゼンガルド】は身内だけって有名だぞ

新人の可能性は低い

入れるなら俺が入りたい


346:名無し

じゃあ【インフォガルド】の?

でもガットさんがいるのはなんでだ?


347:名無し

案外リア友なんじゃない?


348:名無し

あーその可能性もあるのか


349:名無し

じゃあソイツもその内有名になるかもな

どんなやつだった?


350:名無し

私みた!!

人間の男性で髪が長めのポニーで金色のメッシュが入ってた!!

彼もなかなかのイケメン!!


351:名無し

マジ!?

チェックチェック


352:名無し

なんか別の意味で騒ぎ出したぞ(笑)


353:名無し

まあ、要注目ってことで




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― 新着の感想 ―
この話にコメントしてる人らこの世界にはバーチャルアイドルとゆうものがおってだな...
外見…以下略
[気になる点] 外見弄れるなら…って思ったら一言一句全く同じこと思ってる人いた笑
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