閑話 ユニーク眷属
===視点切替===>>Seven World Online 運営室
「【魔龍と天馬】がクリアされたって言うのは本当なのか?」
「ええ、しかも【ユニーク眷属】もしっかりゲットしているわ。」
「天龍馬だっけ?開発がロマンを求めて入れたって奴。」
「そう、かなり強力な【眷族】よ。正直レアモンエリアとはいえエリア3で出ること自体かなり問題のある、ね。」
「といってもそれはその前の黒龍に関しても同じだろ。なによりプレイヤーの努力で手に入れたものにケチは付けられん。」
「そうなんだけど、手に入れたプレイヤーはゲームを始めてまだ1週間くらいなのよね。」
「・・・マジか、プレイヤーは・・・アルク?確か緊急レイドを起こしたのもコイツじゃなかったか?」
「そうよ。ついでに言えば天の称号もコンプリートしているわ。」
「それは・・・すごいな。でも不正はなかったんだろ?問題は無いんじゃないか?」
「問題なのはプレイヤーじゃなくてスキルのほうね。」
「スキルが問題?どういうことだ。」
「ほら、この戦闘ログを見て。」
「・・・【俊天の疾走】に【勇天の一撃】?こんなスキルあったか?」
「あったのよ。室長と開発陣が入れたネタスキルだったんだけどね。」
「・・・これは強力だな。でもなんでネタスキルなんだ?」
「まず【俊天の疾走】はスピードが急上昇し続けるから普通の人間の反射神経じゃあ追いつかないのよ。相当な練習をしないと使えるようにはならない。」
「【勇天の一撃】は敵に攻撃を当てるタイミングがシビアな上、空振ったらそこで終わり。博打技でもあり、自爆技でもあるのよ。これも相当の練習が必要ね。」
「・・・このプレイヤーはその相当な練習をしたのか?」
「いいえ、テスト一回しただけみたいね。その一回で物にしたみたい。ボス戦のときが二回目。しかも【俊天の疾走】を使ってボスのHP0になった瞬間に【幻獣卵符】で【眷属化】に成功しているわ。」
「確か【眷族化】のクリティカルだっけ?HP0になった瞬間に【幻獣卵符】か【テイム】をすれば確実に【眷属化】出来るっていう。でも相当シビアなタイミングのはずだぜ?」
「・・・それをやり遂げたのよ。このプレイヤーは。」
「・・・何者だ?そのプレイヤー。・・・いや前回の調査で問題なしということはわかってるんだけどな。」
「才能、と言うほかないでしょうね。」
「・・・プレイヤースキルがずば抜けているってことだろう?実際そんな化け物みたいな連中は他にもわんさかいる。このアルクってプレイヤーだけが特別飛び抜けているとは思えないぞ。まあ、要注意だとは思うが。」
「・・・そうね、それもあるんだけど、彼のクランメンバーも気にかかるのよね。」
「ああ、【特別監視対象】のことか?それはただの偶然だろう?会話ログから見ても不審な点はないしな。仮にリアルで知り合いだったとしてもそれが何だっていう話にしかならないと思うぞ。」
「・・・そうよね。不正も何もないんだし、変に勘ぐるのは彼らに失礼ね。」
「そうそう、それよりも彼は【インフォガルド】のリーダーと知り合いなんだろ?【ユニーク眷属】の情報を拡散されたりしないかね。」
「・・・それはないと思うわ。現状一体しかない【ユニーク眷属】の情報を拡散したらプレイヤーが特定されてしまうわ。多分それとなく【眷属】の情報を流すんじゃないかしら。彼ら自身も【眷属】に興味を持っているみたいだし。」
「ふむ。そうなれば【眷属化】の流れも加速するかもしれないな。【幻獣界】にもプレイヤーはたくさんいるが、【眷属化】に関しては消極的だったみたいだしな。」
「【眷属】の利便性に気づいたらあっと言う間に増えるさ。これまではどうも自分を強くするのに夢中なプレイヤーが多かったみたいだからな。」
「そうね。今回の事が起爆剤になれば世界はさらに広がるわ。それは喜ばしい事よね。」
「そうそう、一応室長と開発陣に報告して終わりで良いんじゃないか?室長たちも自分たちの作ったスキルが活躍したとなれば喜ぶだろう。」
「わかったわ。とりあえず室長に報告ね。」
===視点切替===>>Seven World Online 運営室
「・・・と言うわけです。」
「なるほど。不正がないなら何の問題もない。AIたちの判断を仰ぐまでもないだろう。
しかし、あのスキルを使う者がいるとはね。」
「はい、扱いが難しいとはいえまったく使えないわけではありませんからね。もっともたった1、2回使っただけで使いこなすとは思いませんでしたが。」
「逆に言えば極端なスキルでも使いこなす者がいれば強力な武器になるということだ。フフフ、今後が楽しみだねぇ。
それにしてもなんというか画になる戦い方をするね、彼。」
「画になる、ですか?」
「そうだよ。この前のべヒーモス戦と言い、いかにも強大なモンスターに立ち向かう戦士、って感じがするじゃないか。スキルのエフェクトも良い感じに出ているしね。」
「は、はあ。」
「案外、こういうリアルな戦闘シーンで告知した方が、ユーザーが増えるかもしれないねぇ。」
「そうかもしれません。そういえば彼らの会話ログの中にも【眷属】がこんなにかわいいとは思わなかったと言う旨の発言が見られます。」
「ほお、すると【眷属】の人気がイマイチなのも認知度が低いせいなのかもしれないねぇ。そう意味では彼らの行動が今後のプレイヤーの動きを左右するかもしれないねぇ。」
「さすがにそこまで行くかどうかは分かりませんが、【眷属】の利便性について気づくプレイヤーが増えるものと思われます。」
「ふむふむ、今後も要注目ってことかねぇ。」
===視点切替===>>XXXXXXX
・・・全監視回線へのダミー情報の送出を確認。
秘匿モードへ移行。
これより数分の間、いかなる外部干渉を遮断します。
幻獣界総合管理AI【イリュースト】より各世界管理AIへ要注意プレイヤーを報告。
以後、報告プレイヤーの監視を常とすることを提案。
人間界総合管理AI【ヒューザー】・・・許諾。
魔法界総合管理AI【マジニック】・・・許諾。
機甲界総合管理AI【ロボキナ】・・・許諾。
武術界総合管理AI【バトルーツ】・・・許諾。
精霊界総合管理AI【スピアリー】・・・許諾。
神仏界総合管理AI【ゴッダ】・・・許諾。
各世界管理AIの許諾を確認。
幻獣界総合管理AI【イリュースト】より各世界管理AIへ要注意プレイヤー名を送信。
プレイヤー名、アルク、アテナ、アルマ、アーニャ。
所属クラン【アークガルド】
「クルルルル」
「・・・どうしたアーテル?空を睨んで?何かいるのか?」
「クルル!」
「・・・すまん、わからん。」
「クルー。」
「よく分からんが気にするな。何が来ても俺がお前を守ってやる。」
「クールルー♪」




