ミスリルのありか
【人間界】?海底神殿?なんだそれは?
「色々ツッコミたいがまずは話を聞こう。ラング、何が問題なんだ?」
「・・・そうだね、順番に説明していこう。多少ネタバレが入るけど構わないかい?」
その場にいる全員が頷いた。さすがにここで内緒にされても困る。
「まず、種族レベルが30以上の状態だと【人間界】の冒険者ギルドのクエストに【海底遺跡調査】というものが追加されるんだ。このクエストは名前の通り海底まで潜っていっての調査になるから【潜水】スキルが必須なんだ。それで海底遺跡を見つけて、そこにある【転移装置】に登録すればクエスト自体はクリア。」
普通、海底まで潜水なんてできないけどな。さすがゲーム世界。あとなんで海底に【転移装置】があるんだってツッコミは無粋か?ちなみに【潜水】というのは一定時間ごとにMPを消費して酸素を補充できるという、ようは水の中でも息が出来るよ。というスキルだ。潜水時間と消費MPはレベルに依存する。
「次に【海底遺跡探索】というクエストが発生する。すると海底遺跡の中にさらに地下へと通じる扉を発見することができるようになる。それが海底神殿ダンジョンへの入り口さ。ミスリル鉱石はそのダンジョンに出現するミスリルゴーレムがドロップするアイテムなのさ。」
ふむふむ、なるほどな。
「つまり【潜水】スキルの取得とそのスキルのレベリング、海底遺跡の発見と、海底神殿への扉を発見しているのが前提条件ってことになるのか。」
「そうなるね。ちなみに【潜水】スキルは【人間界】のショップで普通に買えるよ。」
ふむ、他も集めるのが苦労しそうだが、ミスリルは一際って所だな。
「ガット、強力な装備を造るにはミスリルは必須なんだよな。」
「もちろんじゃ。特に物理防御と魔法防御の両方を付けようと思ったらなおさらな。元々、ウルタイトは気力系の装備に、マナタイトは魔法系の装備に最適じゃ。その二つとミスリルを混ぜ合わせたミスリルタイトが現状最も強力じゃ。」
となると多少面倒でも是非ゲットしておくべきだろうな。
「まあ、大変なのは皆同じさ。実際、どんなプレイヤーでも強力な装備を揃えようと思ったら、ここで一旦足踏みするからね。」
「・・・逆に言えばここをクリアしないと上にはいけないってことか。」
「そういうことだね。」
となるともう行く事は決定だな。まあ、別に急いでるわけでもないしのんびり行こう。
「ミスリル鉱石なら高値で買い取りもするぞ。なんせ場所はともかくレベル帯からおいそれといける場所ではないからのう。」
「そうなのか?レベル帯は?」
「40だね。ここまで来ると僕達でもおいそれと行く事は出来ないね。まあ、それでも余裕のあるプレイヤーからすればいい稼ぎ場みたいなんだけどね。ミスリルはマーケットでも高値で取引されてるし。」
・・・ほう、それはいいことを聞いた。海底神殿ダンジョンを周回できるようになればいい稼ぎになるようだ。装備の充実もそうだが【クランホーム】の充実も図れそうだな。
「ふむ、まあこれで目処は立ったな。それでラング、情報料はおいくら万円?」
「いらないさ。ここで十分すぎるぐらい新情報が集まったからね。」
【眷属】に関する情報か?それとも料理?そんなにお金になる情報とも思えなかったが。
「ふぅーん。まあそれで良いっていうならそれで良いんだが。」
と、納得しかけた所でロゼさんから声をかけられた。
「アルクさん、皆さん、厚かましくて申し訳ないのですが、もしよろしかったら皆さんの【眷属】たちのスクショを撮らせて貰いたいのですが構わないでしょうか?」
随分と低姿勢でお願いされた物である。
「・・・良いと思いますけど、それはロゼさん個人としてですか?それとも【インフォガルド】として?」
「私個人です。フレンドに見せることぐらいはするかもしれませんが、掲示板などには拡散しない事をお約束します。勿論対価も払います。」
「ああ、それならアタイも!」
どうやら個人的に欲しかっただけのようだ。ヴィオレも便乗してきたし。まあ、下手に拡散しないならいいか。レアな【眷属】がいると知られてやっかみが来るのも嫌だしな。
(いや、遅かれ早かれ知れ渡ると思うよ?)
「ん?ラング、何か言ったか?」
「いいや、何も?それよりもしやっかみが来るようだったら【インフォガルド】に情報を売ったと言っておけばいいさ。あとはこっちで何とかするよ。」
おお、なんて頼りがいのあるラングさんなんでしょう。みんなに視線を送ると一様に頷いてくれた。
「良いですよ。ヴィオレもな。対価は要らない。二人には今後もお世話になるしな。」
おおう、喜んでる喜んでる。そして凄い勢いでスクショを撮りだした。ブランたちが乗り気でポーズを決めておる。アーニャたちまで撮りだしたぞ。
「クールルー?」
「・・・ああ、アーテルも行っておいで。」
「クールルー♪」
撮影会にアーテルも参加した。俺も一枚パシャリ。うーん、中々絵になる。
後で聞いた話だが、二人はこの場で撮ったスクショをクラン内に見せまくり、【眷属】を欲しがるメンバーが続出して大変だったとか何とか聞いたが、俺のせいではない。
それは置いておいて、女性陣が撮影会に夢中になっているので、男性陣は男同士の話し合いと行こう。
「ラング、ガット。」
「「?」」
ちょいちょいっと二人を引き寄せ、内緒話を始まる。
「実は【クランホーム】に大浴場を付けようと思うんだ。」
「風呂じゃと?」
「完全な嗜好品的なものだね。まあ、付けたいのなら付ければ良いんじゃない?」
どうも二人は興味が無さそうだ。まあ、ゲームの世界では風呂に入る必要があるかと言われればないんだけどね。
「・・・その大浴場を混浴にすべきか、男女別にするか悩んでいるんだ。」
「なるほどそれは重要な話じゃのう。」
「うん、重要だね。」
急に手のひらを返しやがった。まったくこれだから男は。話題に出したの俺だけど。
「調べた所によると混浴でも男女別でも、水着かバスタオルの着用が義務付けられている。というかデフォだ。まあ、18禁のゲームじゃああるまいし当たり前なんだが。」
「それはそうじゃが、だったら何で混浴なんてあるんじゃ?」
「家族向けや恋人向けなんじゃないかな。大浴場といっても身内しか入らないはずだからね。」
「しかしだ。アテナたちに面と向かって混浴の大浴場を付けたいんだ!って言ったらどうなると思う?」
「ヘンタイ。」
「ロリコン。」
「誰がロリコンだ!ってアーニャが加わったんだった。何も言い返せない。」
「出来ればヘンタイも否定してくれんかのう。」
「男は皆ヘンタイだ!」
「僕達を巻き込まないでくれるかな。じゃなくってアルク、君は可能性を一つ失念しているよ。」
「何だ?」
「ネカマ。もしくはネナベ」
・・・!?ネカマ、ネナベとは・・・各自で調べよう。
「なるほどのう。仮に男女別に分けたとして、リアルでの性別が一致するとは限らんということか。」
「まあ、実際にはほとんどないらしいけどね。どうも性別がリアルとゲームで違うと感覚?が合わなくて不自由するらしい。だから性別や身長なんかは出来るだけリアルにあわせるよう注意が規約にも載ってるよ。」
「んん?じゃあなんで禁止にしないんだ。そうすれば問題はないんだろう?」
「世の中にはそれでも、って希望する人がいるんだよ。やましい理由とかじゃなくて、さ。」
うーむ、そんな物か。なんか何を悩んでるのかわかんなくなってきた。そもそもゲームの中でそんな迷う事か?
「・・・混浴で水着着用にしよう。なんか急に考えるのが面倒くさくなってきた。」
「何の話?」
男三人でドキッとさせられた。見ると撮影会は終了していたようだ。すぐ後ろにアテナがいることに気づかなかったとは。
「ああ、実は【クランホーム】の拡張の話をしていたんだ。地下室とか訓練室とか大浴場とか色々追加できるらしいんだ。」
俺は内面の動揺を微塵も顔に出さず平然と答えた。
(さすがアルク。少しも動揺せずに返したぞ。)
(しかもさりげなく大浴場の話を出すとは・・・侮れないね。)
「へぇー良いわね!大浴場!!」
まさかの大浴場が一番に食いつかれた!!
「レオーネの体を洗ってあげて一緒に入るお風呂なんて最高じゃない!!」
・・・ああ、【眷属】と一緒に入るってところに食いついたのか。びっくりしちった。・・・おいガット、ラング、急に立ち上がってどうした?
「・・・さ、さて、結構な時間、邪魔してしまったしそろそろお暇しようかのう。」
「そうだね。それじゃあアルク、皆さんもまたね。」
と言ってガットたちは去って(逃げて)いった。
ちょこっと補足、以下 Seven World Online利用規約より抜粋
本ゲームではリアルで男性でも女性のキャラになる事ができます。
逆もまた同様ですが性別や身長が異なる場合、体の感覚の差異により不自由が生じる場合があるため出来る限り性別や身長は現実と合わせることを推奨します。
また、この措置については強い要望を持ったプレイヤーに対する配慮であり、公序良俗に反する行為を推奨するものではありません。
違反行為に該当する行為を行ったプレイヤーにつきましてはアカウント凍結などの措置を
行いますのでご了承ください。




