料理
「そうなのです!ノワールちゃんたちが産まれたお祝いにおいしいご飯を食べさせてあげるです!」
おいしいご飯?そう言ってアーニャが【収納箱】から取り出したのは・・・でっかい鍋と炊飯器?
「なんで鍋?」
「アーニャが予め作っておいたです!!」
鍋を見たブランがとても喜んでいる。他の【眷属】は首をかしげているが。アーニャが鍋の蓋を開けるとなんともいえない、香ばしくおいしそうな匂いが漂ってきた。これって・・・
「カレー?」
そう、鍋の中身はカレーだった。匂いだけでお腹がすいてくる(ゲームの中なのに)が何でここでカレー?
「【眷属】はプレイヤーが食べられる物なら何でも食べられるのです。嫌いな食べ物もありますが、好きな食べ物を上げるとより懐いてくれるらしいです。」
ふむ、つまり【眷属】の好感度を上げる事が出来るってことかな。逆に何も食べさせないでいると好感度がどんどん下がっていくそうだ。気をつけよう。
「ってことはそのカレーはプレイヤーも食べられる普通の料理ってことか?」
「そうなのです!・・・アルクさんも食べますか。」
皿とスプーンを取り出してカレーライスを盛り付けているアーニャ。NPCの店には行ったことがあるがプレイヤーの作った料理はまだ食べた事が無い。
「ふむ、良かったら頂こう。でもその前にアーテルからだな。」
天龍馬というアーテルの手足は普通の馬の足のようになっている。さすがにスプーンを持つのは無理だろう。なので俺がスプーンでカレーライスをすくってアーテルの口元にまでもって行ってやる。・・・赤ちゃんに離乳食を上げてるみたいだなと思ったのは内緒だ。
「クールルー♪クールルー♪」
どうやら美味しかったようだ。もっともっととおねだりされている様なので要望に応えてやる。他の【眷属】たちも似たような反応をしている。
「どうやら相当美味しいようだな。アーニャ、俺にも頂けるかな?」
「はいなのです!」
自分の料理が褒められたのが嬉しいのか大盛りでよそってくれるアーニャ。アーテルにも上げる傍ら、自分用に用意されたほうを頂く。
「!!・・・すげー美味い!!」
なんだこれは。俺がリアルでテキトーに作ったカレーなんかと比べ物にならない。冗談抜きで店を出せば大繁盛しそうな、まさにプロのカレーである。・・・自分でも意味不明だがそれくらいおいしい。
「アーニャちゃん、私にもいただけますか?」「私も!!」
アルマとアテナが俺に続けとばかりにカレーをおねだりする。
「すまないが僕にも頂けるかな?」「すいません私も」「ワシも頼む。」「モチロンあたいも!」
ラング、ロゼさん、ガット、ヴィオレも続きだした。お前らは遠慮しろよ。と言いたいがあいにくアーニャが作ったものを俺が口出す権利はない。
「あわわわ、大盛況なのですー!」
しかしアーニャは快くカレーを差し出してくれた。・・・後で材料費を負担しないとな。これだけの物を食べさせてくれたアーニャに損をさせるわけにはいかん。
こうして俺たち(【眷属】も含む)はしばらくの間、素晴らしいカレーライスを堪能したのであった。・・・というかアーニャ、一体何人分作ってたんだ?
・・・
「「「「「「「ご馳走様でした!!」」」」」」」
「キュイー!」「キュアー!」「がおー!」「ピュイー!」「クールルー!」
「お粗末さまでした、なのです。」
全員(【眷属】も含む)でアーニャにお礼を言った。
「それにしてもプレイヤーメイドの料理がこんなに美味しいとは。やっぱりアーニャの【料理】スキルが高いからか?それとも素材が特別だったりするのか?」
「素材は普通にマーケットに売ってる物ばかりなのです。レアリティも1から3くらいのものばかりなのです。」
レアリティは高くないな。マーケットで買わなくても入手場所さえわかれば自力で集められそうだ。
「ってことはやっぱりアーニャの腕が良いってことか。アーニャ、もし良かったら定期的にでも料理を食べさせて欲しい。勿論眷属たちもな。材料、及び材料費はすべてクランで負担しよう。調理場も【クランホーム】に用意しよう。食堂もな。」
「良いのですか!アーニャは料理が大好きなのです!!新しい料理にも挑戦していいのなら喜んで請け負うのです!!」
よっし、話は決まった。この集まりが終わったら早速キッチンその他のホームオブジェクトを買いに行こう。買える範囲で一番良い奴をな!!アテナもアルマもサムズアップしてるしモーマンタイだ!
アーニャは自分をゴミ戦闘力とか言ってたけどとんでもない。即戦力だ。アーニャを加入させなかったクランはざまぁーとしか言えない。
「ふーむ。確かにこのカレーは素晴らしく美味しかった。これだけでも普通に売れそうだけど、料理には強化効果の付くものもあるから、それだとさらに値段が上がりそうだ。」
「ええ、さらに作れるプレイヤーが限られてくるとなるとさらにプレミア付きそうですね。」
ラングとロゼさんが真剣に話し合ってる。
「あれ?もしかして料理に関する情報もあんまりないのか?【インフォガルド】の【クランホーム】って普通にファミレスみたいなバーじゃなかったか?食べ物とか飲み物とかも出してたじゃないか。」
「恥ずかしながらそうなんだよ。僕達の【クランホーム】で出していたのはNPCの店で買った物で料理した物じゃない。僕達の中で料理=強化効果って思い込みがあって、情報を買いに来た客にわざわざ料理した物を出そうなんて考えは無かったんだよ。そもそも料理人のプレイヤーは数が少ないからね。」
なるほどな。まあ飲食店じゃないんだし、しょうがないのかも知れないけど・・・この分じゃ基本的なことでもまだまだ知られていないことってたくさんあるのかもしれない。
「なあアーニャ。あのカレーってリアルでの経験で作ったものなのか?」
もしそうだったらアーニャはリアルでも料理人なのかもしれない。
「いえいえ、【料理人ギルド】でレシピを教えてもらったです。リアルとゲームでは材料の名前が違ったり、料理の工程の中でBPやMPを消費する場合もありますので。リアルでの知識だけではそうそう上手くいかないのです。」
違ったらしい。まあリアルの事を詮索する気はさらさらないが。しかし、料理に気力や魔力をどう使うと言うのだ。・・・いや逆にだからこそあの素晴らしいカレーになるのかもしれないが。それはともかくレシピがあるのなら他のプレイヤーでも作れるということか。あとは本人の技量しだい、か。
「それなら余った料理とかをマーケットで売りに出すのも手だと思うよ。これだけの味だ。多少割高でも十分買ってもらえると思うよ?」
ラングが提案してくる。なるほど、それならアーニャは【クランホーム】にいながら資金を得る事が出来る。無理に戦いに出る必要もないってことか。
「うにゅー。アーニャもそう思ったですが、強化効果の付いていない料理はあんまり売れないのですよ・・・。」
どうやら思ったとおりにはいかないようだ。というかこの言い方から察するに・・・
「もしかして既に実践してた?」
「ハイなのです。マーケットで買った素材で強化の付いた料理を作ってマーケットで売って、そのお金で魔石やポーションを買ったりしてたです。」
ああ、またまた納得した。ブランのレベリングのための魔石を購入する資金はどこから出てきてたんだろうと思っていたがマーケットと自分のスキルを最大限に利用してたのね。手に職を持ってる人は強いなぁ。
それはともかくこれだけ美味しい料理が売れなかった?
「みんな料理の説明欄にある効果の部分しか見ないのですよ。なので効果の無い料理はNPCから買う料理と同じだと思われているようなのですよ。」
・・・そうか。みんなプレイヤーメイドの料理の美味しさを知らないから、強化目当て以外では料理を買わないのか。食べたい物があったらNPCの店を利用すればいいと。いくら説明欄で味の説明をされても実際に味わってみないことにはわからないのだろう。俺だって「チョー美味しいカレー」なんて説明のカレーが売ってたって買わなかったかもしれない。・・・怖い物見たさで買うかもしれないが。
「そういうことなら僕達【インフォガルド】に任せてくれないかい?なにこの美味しさだ。一度口にすればすぐにわかる。それが人づてや掲示板に伝われば、すぐに売れ出すさ。」
「本当なのですか?」
「うん、まずそれなりの量の料理を買い取らせてもらえるかな?後はそれを僕達で試供品代わりに配ってみるよ。僕の読みではそれだけでもうヒットすると思うよ。」
アーニャがちらっと俺を見る。やっていいですか?と眼が言っているので良いよ、と頷いてやる。
「わかりましたのです。宜しくお願いするのです!」
「うん、こちらこそ。」
二人は固い握手を交わした。
決め顔をしている所悪いんだがラングよ。単にお前が美味しい料理を食べたいだけだよな?だって【インフォガルド】的にはあんまり利益にはならなそうだし。まあ、ロゼさんも何もいわないし、アーニャが損をするわけでもないから何も言わないけど。
ちなみに他の連中は【眷属】たちと遊ぶのに夢中だった。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




