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魔龍と天馬

「おいおい何の嫌がらせだ?」


「レアモンエリアのさらに奥に扉があるなんて聞いた事がないです・・・。」


「キュイー。」


ほらブランまで疲れた声してんじゃないか。


「今度はなんだ?


『その身をもって魔龍の力を封じた天馬の鎮座する地』


・・・だと?」


ペガサス、だと?ここにきてなんて心躍るものが出てくるんだ!是非手に入れたい所だがどうしようか。幸い俺のほうは援護に徹していたのでそれほど疲労は無い。ポーションを飲んで全快した。しかし彼女たちはどうだろう。ブランも同じくポーションで全快したようで元気だがアーニャの方は・・・。


「行きましょうです。アルクさん!!」


精神的疲労が溜まっているだろうアーニャへの気遣いを本人が見事にぶった切ってくれた。


「しかし・・・」


「アーニャたちへの気遣いは無用です!アルクさんのおかげでアーニャたちは念願の卵をゲットできたのです!!今度はアルクさんの【眷属】を手に入れるのです!!」


「キュキュイ!!」


何故か俺よりやる気の一人と一匹。確かにさっきの魔龍のことを考えると俺一人で行っても勝ち目が無い・・・かもしれない。倒すだけなら何とかなる・・・と思いたいが楽観的か?・・・らしくないなぁ。迷うくらいならやってみろが俺の信条(今考えた)だろう?だったら答えは一つじゃないか。


「・・・わかった。ただし少し休憩してからだ。お菓子とコーラがあるけど・・・いる?」


「わーい、なのです♪」


「キュイイー♪」


しばしの歓談のあと俺たちは扉の中へと進んだ。


・・・


重厚な扉を超えるとさらに広い空間に繋がっていた。そしてその奥には・・・。


「うわぁ。」


いた。確かにシルエットこそ翼の生えた馬、つまりペガサスだが、純白のイメージのあるペガサスに対し、目の前にいるものは全身が真っ黒だった。正直モンスター、いや生き物には見えない。黒い影がそのまま形になったように生物感がない。先ほどの魔龍より小型だがそれでも2、3メートルくらいの大きさがある。


アーニャとブランに目線で合図を送ってから【看破】を行う。


【???? Lv.45】

長い年月を経て魔龍と天馬の力が融合した謎の生物

聖と魔の力を兼ね備えたカラミティモンスター


・・・とりあえず運営に文句が言いたくなったんだが良いだろうか?あ、駄目だ。魔龍ペガサス(仮)が目を覚ましたみたいだ。黒シルエットの眼の部分が不気味に光りだした。正直ホラーな光景なんだが。


「・・・!?」


俺は咄嗟にアーニャとブランを抱えて真横に跳んだ。同時に()()が高速で通り過ぎ、壁に穴が空いた。見ると先ほどまで鎮座していたはずの魔龍ペガサスがいつの間にか壁まで移動していた。


(これはかなりヤバイな。)


今ので圧倒的に不利だと嫌なほどわかってしまった。


「な、なんなのです!今のは!!」


「キュイキュイ!!」


やはりアーニャもブランも反応できなかったみたいだ。これは油断するとあっと言う間に全滅するぞ。


「アーニャ!ブランをさっきのデッカイドラゴンに!俺がアイツの動きを止めるからブレスを頼む。俺ごとでいいから!!」


「・・・はいなのです!!ブランちゃん!【成体化】なのです!」


「キュイー!!」


よし、見た目頑丈そうな今のブランなら一発食らっても大丈夫だろう。・・・多分。それよりも俺のほうでアイツを何とかしないとな。


「【鉄の大剣(バスターソード)】に【浄化(ピュリフィケイション)】を【魔法付加(エンチャント)】」


さっきの魔龍とやらにも浄化の力が有効だったから、アイツにも有効なはずだ。あとはあのスピードについていけるかどうかだ。残りの【スキル獲得券(チケット)】で取得したスキルを使うしかないだろう。


「【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!」


唱えると同時にオーラを纏った俺の体が高速で魔龍ペガサスに接近する!魔龍ペガサスも反応し、高速で突っ込んでくる!真正面からでは体格的に不利だ!なので少し外側に逸れつつ、


「【スピードスラッシュ】!」


一撃を加える。


「す、凄いのです!速すぎて見えないのです!」


「キュイキュイ!!」


なにやらはしゃいでいる声が聞こえるが構っている余裕は無い。なぜなら【俊天の疾走(アーク・アクセル)】には時間制限があるからだ。


俊天の疾走(アーク・アクセル) Lv.1】

MPを消費し続けながら高速移動が可能となる


ようはMPを消費し続けながら【ダッシュ】を延々と続けているような状態だ。問題なのはMP。残りMPは200も無い。1秒に付き1MP消費するから残り三分弱。それまでに手を打てなければ・・・終わる。


「【スピードスラッシュ・ファントム】!」


高速移動を続ける魔龍ペガサスと相対しながら()()()()を叩き込む。手ごたえはある。しかし効いているのかがわからない。全身が真っ黒な影みたいなんで表情もまるでわからない。


「・・・やべッ!!」


さらにスピードを上げやがった!ただの突進なのに腕を少しかすっただけなのに大ダメージを食らってしまった。これは直撃を食らったら即死だな。なおも突撃してくる魔龍ペガサスに・・・。


「【ハイパワースラッシュ】!!」


強烈なカウンターを食らわせる。やった!!ひるませる事ができたぞ!!


「アーニャ!!」


「ブランちゃん、【ホーリーブレス】です!!」


「キュイイイイイイ!!!」


なおも逃げようとする魔龍ペガサスに。


「逃がさん!!」


再度【ハイパワースラッシュ】を食らわせる。おかげで俺もブレスに巻き込まれたがこのゲームではフレンドリーファイヤは無効だ。ダメージは無い。


直撃を食らって苦しむ魔龍ペガサスから距離を取って急いで回復する。HPポーション、BPポーション、MPポーションをありったけ。ここで回復できないと後が続かない。おそらくまだ・・・。


ブレスの煙が晴れると先ほどまでと同じく魔龍ペガサスが悠然とたたずんでいた。いや若干だが体が薄く小さくなったように見える。多少なりともダメージはあったようだ。これだけやってダメージがそれだけ、とも言うが。


「ふー。」


思わずため息が出る。もう暫くこの綱渡り状態が続きそうだ。ポーションが尽きるか、MPが尽きるか、ミスって直撃を食らうかすれば即アウト。唯一の救いは奴の眼には俺しか映っていないだろう、ということだ。先ほどから俺しか狙ってこない。今の俺にはアーニャやブランをかばう余裕は無い。彼女らに攻撃が移っても即アウトだろう。


口元がニヤついてくる。この緊張感に圧迫感。俺は今まさに強敵と戦っている。そのことに心の奥底から歓喜の感情がわきあがってくる。俺は俺自身が思っているより戦いが好きらしい。


「【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!」


さあ、もっと踊ろうか。


・・・


「ハァハァ・・・」


散々、だな。ポーションは今飲んだので最後だ。ブランもとっくに小型のドラゴンに戻っている。向こうも回復アイテムは尽きたらしい。


だが魔龍ペガサスも無傷ではない。体の大きさは最初の半分ぐらいになっているし、所々体が欠けていて最初は真っ黒だった体がもう半透明になっていた。


かくいう俺のほうもボロボロだ。直撃こそ避けていたが、そこら中に掠るだけでもダメージを負っていた。【黒衣の戦闘服】も【鉄の軽鎧(プレートアーマー)】 も修理が大変そうな状態になっていた。


「アルクさん・・・」


「キュイーー。」


アーニャもブランも心配そうに俺たちのことを見守っている。


次で決着がつく。


俺も、そして魔龍ペガサスもそう考えているだろう。何となくだが。


なら俺も最後のスキルを使わせてもらおう。全力でな。


「ふー、これで最後だ。行くぞ!!【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!!」


猛烈な速度で向かい合う俺と魔龍ペガサス。


「【勇天の一撃(アーク・ストラッシュ)】!!!」


最後のスキルを使った最大の一撃を魔龍ペガサスに振り下ろした・・・。


勇天の一撃(アーク・ストラッシュ) Lv.1】

全てのBPを一気に消費して必殺の一撃を繰り出す


魔龍ペガサスより一瞬早く攻撃を当てる事に成功した俺。一方、最後の一撃を食らった魔龍ペガサスは足元から徐々に消えていく。


しかーし!【俊天の疾走(アーク・アクセル)】はまだ切れていない!!


「うおりゃあああああ!!!」


俺は最後の力を振り絞って魔龍ペガサスに接近すると、今にも消えそうなその頭にぺしっと【幻獣卵符】を貼り付けた!


「どうだ!!」


BPもMPも0になってその場に倒れこむ俺だったが、最後まで見届ける。【幻獣卵符】が光ると同時に魔龍ペガサスも光に包まれる。同時に部屋中に散っていたであろう魔龍ペガサスの体?らしき黒いもやのような欠片も集まりだし、形となり、そして・・・卵になった。


「よっしゃあああ!!」


思わずガッツポーズを取ってしまった。


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