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その奥にあるもの

「・・・なんで君達がここにいるの?」


そこにいたのは先ほど分かれたはずのアーニャ嬢とミニホワイトドラゴンのブラン(性別不明)だった。


「アーニャたちは回復アイテムが切れただけだったので補充して探索再開したのです!」


「キュイキュイ!」


「ふんふん。」


「この辺りでまだ行った事が無かったのは、後回しにしていたこの森だけだったのです!なのでさっそく森の中に入ったのです!」


「キュイイー!」


「ふんふん。」


「ですが森の中に入ってもモンスターを全然見かけなかったのです!なのでスイスイここまでやって来たところでアルクさんに再会したのです!」


「キュウイー!」


・・・それは俺がここまでモンスターを倒しながら来たからだな。【転移装置(ポータル)】からここまで直進してきたんだから道が被っても仕方ないんだが、運が良い・・・のか?この場合は逆に運が悪いのか?あとブラン君、君、何気にうるさいよ。


「そう言うアルクさんも探索ですか?アテナさんやアルマさんはどうしたのです?」


どうでもいいが名前をちゃんと覚えてる事には好感が持てるな。


「別行動中だよ。エリア3は広大だからな。そのほうが効率よく探索できるだろ?」


「ほえー、森の奥はエリア3の中でも高レベル帯なのに一人で探索だなんてアルクさんは豪気なのですー。」


「キュイキュイ!」


・・・いや、そんなこと知らんし。ああ、そうか。だから君達は森の探索を後回しにしてたのか。ちょっと事前の情報収集を怠ってたかもな。前もってギルドで聞いておくんだった。


「・・・まあどうせ探索はするんだから先でも後でも一緒だよな。大事なのは【眷族】にふさわしいモンスターがいるかどうかだよ、うん。ところでアーニャはエリア3を色々回ってるみたいだけど何か目的があるのか?」


ブランという貴重・・・かどうかはわからんがドラゴンの【眷属】を手に入れてなお探索を続けている。レベリングが目的じゃあなさそうだし・・・。


「ブランちゃんのお友達を探してるのです!!」


「キュイイ!?」


・・・今、ブラン君がえ?そうなの?って顔をした気がするんだが気のせいか?知らずに付いて来てたの?まあ、【眷属】にいちいち目的の説明なんてしないのかもしれないけど。あと今更だがブラン君は人の言葉が理解できるんだね。


・・・まあそれは置いといて友達?


「アーニャはブランちゃん以外のドラゴンのモンスターも【眷属】も見た事がないのです!【幻獣の卵】もマーケットで買った以降は見かけていないのです!だからブランちゃんが寂しくないようにドラゴンのお友達を見つけてあげたいのです!」


「キュイイイー。」


・・・ええ子やなぁ。ブラン君も感動で目をウルウルさせてるよ。こんな小さいのにそんな立派な考えができるなんて・・・。え?小さいのはハーフリングだからだろ?ゲームでは幼くてもリアルでもそうとは限らないって?うっさいな、黙ってろ!(誰に言ってるのか意味不明)


「そうだったのか、それじゃあ・・・あ?」


言いかけたところで気が付いた。目の前の池の中から何かが飛び出ていた事を。その触手のような何かはニュルッとその手?を伸ばしてきて・・・


「ウニャ?」


スルスルとアーニャ嬢の体に纏わり付き・・・


「ウニャーーー!!?」


一気に池の中へと引きずり込んだ!って。


「うぉおーい!?」


俺、とブランは慌てて池の中にダイブする。幸い透き通った池だったので視界は良好だった。そこで見たのは・・・


「ゴボゴボゴボゴボ(何で池の中にタコがいるんだ!!!)」


そう、池の中にアーニャを引きずり込んだのはデッカイタコのモンスターの足だった。何故タコが海ではなく池にいるのかはわからないが、謎のタコはアーニャをどんどん奥底へと引きずりこんでいく。


(まずい!この池、結構、いやかなり深い。もしかしたら海に繋がってるのかも!!)


ということはこのまま海に出られたらそのまま逃げられる!!それ以前にアーニャが溺れて死に戻る事になるだろうがそうはさせない。


(【武装換装】、バスターモード!)


持っている武器を【鉄の大剣(バスターソード)】に切り替える。大剣の重さでどんどん沈んでいき、とうとうタコとアーニャに追いついた。


(【パワースラッシュ】!!)


水の中なので上手く剣を振る事が出来ないが、さすがガット作、その切れ味だけで何とかタコにダメージを与える事ができた。しかし倒すまではいけてない。


(クソッ、【ウインドカッター】!)


何とかアーニャを絡めとっている触手だけでもどうにかしたいが、いかんせん水中で有効な攻撃手段を持っていなかった。風の刃も水の中ではスピードが出ず、威力も半減しているようだ。


ブランも追いつき、アーニャに絡みついた触手に噛み付いているがタコ野朗は離さない。


と、そこで急にタコ野朗が動きを変え、真横に移動しだした。急な方向転換のため、タコが離れて行ってしまう。タコの行く先には横穴が見えた。


(洞窟か?あの中に逃げるつもりか!?)


鉄の大剣(バスターソード)】の重さが今度は邪魔になったので一旦【収納箱(アイテムボックス)】にしまってから泳いで追いかける。


(くそ!息が持つのか!?)


水中で活動するためにはそれ専用のスキルがいる。スキルが無い場合、普通に水に潜る程度しか息が続かず、動きも制限されてしまう。今更ながら予定に無かったとはいえ事前準備が足りなかった事が悔やまれる。


それでもアーニャとブランごと横穴に潜ったタコを死に戻り覚悟で追いかける。


(・・・!?)


気合を入れて横穴に潜ったが少し先に()()()()が見える。まさか・・・


「・・・ブハッ!!」


息ができる。空気がある!どうやら海底洞窟ならぬ池底洞窟だったようだ。って悠長にしてる場合じゃない。


「あのタコ野朗は!・・・・!!」


いた。水から出ても変わらずアーニャを拘束している。しかし・・・。


「キュイイイイイイ!!」


水から出たことで本来の力が出せるようになったのか、ブランがタコの触手を噛み千切ってアーニャを救出した。


「ブランちゃん!!」


「よし、水から出ればこっちのものだ!!」


俺は再び、【鉄の大剣(バスターソード)】を取り出してタコ野朗に突撃していった。


「【スピードスラッシュ】!!」


「キュゥウウイイイイ!!!」


触手の半分を俺が細切れにし、残りをブランのブレスが消し炭にした。


水から出たタコは俺()の敵ではなかった。


・・・


「ごめんなさいです。」


助け出されたアーニャがしおらしい声で謝罪をした。


「何を謝ってるんだ?」


「アーニャのせいで迷惑をかけてしまったです。」


・・・うーん、そもそも、偶々アーニャが池に一番近い所にいたから捕まったんであって、俺やブランが同じ目にあっていたとしても不思議じゃない。なのでアーニャが悪いわけではない。


・・・この感じ苦手だな。この手の話はさっさと終わらせるに限る。


「何のことだ?俺はタコのモンスターが出たから倒しただけだぞ。第一、君を助けたのは俺じゃない。」


「キュイーー。」


ブランが心配そうにアーニャの顔を覗き込んでいる。


「あ、・・・」


「俺に謝るより、その子にお礼を言うのが先なんでないかい?」


そして俺のことは忘れてくれると嬉しい。


「ブランちゃん・・・ありがとう、なのです。」


「キュイー♪」


抱きしめあう一人と一匹。うんうん、美しき主従愛ですな。


それはそうと結構深くまで潜ってきたな。地上に戻るのは大変かもしれんな。


「お礼に美味しいご飯を食べさせてあげるです!」


「キュイ♪キュイ♪」


何とか他に道は・・・ん?あれは?


「アルクさんにも必ずお礼はしますです。」


「ん?」


すっかり意識の外だったアーニャから話しかけられた。


「し・ま・す・で・す。」


左様ですか。


「それなら少し手伝ってもらえないか?」


「へ?」


「キュイ?」


どうやら二人は気づいていないようなので、くいっと指差してやる。


俺の指差す先、タコの背に隠れていたので気が付かなかったがそこには確かに扉があった。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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m(_ _)m

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