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悲しき少女に救いの手を

「ホントに!アルクわかったの!?この屋敷の謎!」


「ああ、至極簡単な話だ。


この屋敷では()()()()()()()()()()()()()()時間が早く経過し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。」


そう、ただそれだけの話。試しにもう三回ほど屋敷を反時計周りに周ってみたが、屋敷の中も外も逆再生するがごとくどんどん、元の姿を取り戻していった。


「これ、俺たちは偶然、三人で固まっていたからなんとも無かったが、別行動していたらやばかったかも知れない。別々の時間に分断されて合流できなかったかも知れん。」


今まで消えた連中がそうだったのだと思う。おそらくだが、時計回りに回ったときの時間の進み方と、反時計回りに回ったときの時間の戻り方は()()()()()()。大雑把に言うと時計回りだと2ヶ月時間が進み、反時計回りだと一ヶ月時間が戻る感じだと思う。つまり同じ距離を行って戻っても、()()()()()()()()()()のだ。


なのでもし別行動をした場合、()()()()()合流するのは困難だという事だ。消えた連中も屋敷の中を行ったり来たりする中で過去に行ったり未来に行ったりした挙句、分断され、あの悪霊の少女に捕まった。


警察や冒険者が誰も見つけられなかったのは、あの悪霊の少女のほうが隠れていたんだと思う。ある程度制限があるとはいえ、未来に行ったり過去に戻ったりできるのだ。隠れるのは簡単だっただろう。


そして警察や冒険者からは隠れたのにそれ以外からは隠れず、捕まえた理由。それはおそらく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だと思う。つまりあの悪霊は自分を浄化できない相手のみを捕まえていたのだ。


「待ってください。それではなぜ私たちの前には姿を現したのですか?私たちには浄化魔法やアイテムがありますよね?」


「ああ、だけど俺たちは使えなかっただろ?アナウンスの内容を思い出してみろ。」


()()()悪霊の力によりスキルとアイテムの使用が封印されました。』


「「あっ」」


多分、()()()悪霊はそれほどの力を持っていなかった。しかし、()()()悪霊はスキルやアイテムを封印できるほど強力なのだ。おそらく長い年月を掛けて得た力なんだと思う。


「話はわかったけど、それでどうするの?結局あの子が強力な悪霊である事には変わりないじゃない。」


「だから、戻るんだよ。彼女が強力じゃなかった時まで、いや彼女が悪霊になる前まで、かな。その方法を俺たちは今知っただろう?」


「「ああ!」」


この館では反時計周りに進むと時間が巻き戻る。つまりそれを繰り返せば一年前にだろうと十年前にだろうと行く事が出来るということだ。


となるとやるべき事は一つ、マラソンだよ。事件当時まで時間が巻き戻るようひたすら、な。


5周目、「どんどん景観が良くなってくな。」「ええ、綺麗ですね。」


10周目、「ねえ、これ何週すればいいのかしら?」「さあ?俺が聞きたい。」


17周目、「さ、さすがに疲れてきました。」「ちょっと休憩しよう。」


23周目、「ねぇ放送で言ってた難易度が高いって・・・」「ああ、知力じゃなく体力のほうかもしれん。」


37周目、「もうほとんど元の屋敷に戻ったみたいですね。」「ああ、もう少しだ!」


そして40周目、食堂に入ったところで変化が起こった。


「これって・・・」


「料理が並んでいますね。」


そう、食堂に並べられたテーブルに所狭しと料理が並べられていた。20人分はあるだろうか。


「日記にあった誕生日パーティの料理かな。・・・そうか!あの日記はこの料理に出くわすまで周回しろっていうヒントだったのか。」


「ということはつまり・・・」


「ああ、この状態で二階に上がれってことだろうな。」


さっそく二階へGOだ。


===移動中===>屋敷 二階


この時点になると、廊下も階段もシミ一つない綺麗なものだった。一応書庫のほうも覗いてみたが、本棚に綺麗に収まっていた。今考えれば、最初見たときに本が散乱していたのは引っ掛けだったのかもな。いかにも怪しい場所であるにもかかわらず探しても何も出てこないという。鬼畜だな。


そして、さあやってまいりました。二階の大広間への扉。最初に来たとき、この先には行方不明者たちと悪霊がいた。今はどうなっているか・・・


「準備は良いか?」


「ええ!」「ハイ!」


二人がしっかり頷いたのを確認すると扉を開けて中に入っていった。


部屋の中には一人の少女がいた。悪霊ではなく、可愛らしい顔が見える普通の少女だ。その少女が振り子時計を持ってなんかあわあわしてる。


「こんにちは。」


「?お兄ちゃん達、誰?」


「僕達は君のお父さんのお友達だよ。今日の誕生日パーティに招待されたんだ。それより慌ててるようだけど何かあったのかい?」


「パパが大切にしてるこの時計、触ったら駄目って言われたのに、触っちゃったら、動かなくなっちゃったの。」


今にも泣きそうな顔をしていた。


「それは大変だ。良かったらお兄さんにも見せてくれないかい?もしかしたら直せるかもしれないよ?」


「ほんとう?」


そういって少女は時計を渡してくれた。俺はその時計を【鑑定】した。最初からこれが出来れば楽だったんだよなぁ。


【時神の振り子時計(呪)】

時を操る力を持つ魔具の一種。未完成品であり一度起動すると制御できない。

悪霊と化した製作者の呪いがかけられており使用者を時の牢獄に閉じ込めてしまう。

アイテムや浄化魔法で浄化可能。


これがすべての元凶か。時の牢獄とやらに閉じ込められた目の前の少女が長い年月を経てあの悪霊になってしまったと。行方不明者たちを捕まえていたのは一人閉じ込められて寂しかったからか?目の前の少女がそんな目に遭わされたことを考えるとこの時計をぶっ壊したくなるが、今は我慢だ。


なんにせよ悪夢はこれで終わりだ。


「アテナ、頼む。」


俺は振り子時計をアテナに渡し浄化をお願いする。


「ええ、【浄化(ピュリフィケイション)】!」


唱えると同時に振り子時計を淡い光が包み込み・・・消えた。そして止まっていた針と振り子が動き出す。再度【鑑定】して見る。


【元時神の振り子時計】

時を操る力を持っていた魔具の一種。

製作者の呪いが消えたと同時にその効力も失った。


どうやらただの振り子時計になったようだ。アテナから時計を受け取り女の子に返す。


「はい、直ったよ。」


「わあ、ほんとだ!お兄ちゃん、お姉ちゃん達、どうもありがとう!」


溢れんばかりの笑顔でお礼をいう少女。


「いえいえ、どう致しまして。それじゃあまたな。」


そう言ってその場を立ち去る。部屋を出ると同時に、反対側の扉から父親と母親らしき人が姿を現した。どうやら行方不明ということ自体が無かった事になったようだ。もうここには用は無いだろう。


屋敷を出た所でアナウンスが流れた。


『特別クエストをクリアしました。

参加者全員に1万Gを贈呈します。

初回クリア対象者にSP1を贈呈します。

初回クリア対象者に称号【悪霊の浄化者】を贈呈します。

クエストクリア順位は 1位 です。

クリア報酬としてホーム【屋敷】が与えられます。

ホームの設定を【メニュー】より行ってください。』


俺たち三人でハイタッチを決めた。

細かい矛盾とかは気にしてはいけません。


なぜならこれはゲームのお話ですから(笑)

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[良い点] 時間のギミック面白い
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