始まりの街
チュートリアルの扉を抜けると・・・そこは普通の街の通りだった。行き交う人たちがちらほら見える。振り返ってみるとチュートリアルっていう看板が掲げられた店の前だった。ふむ、チュートリアルを又したくなったらココに来ればいいらしいな。そんな機会があるかわからんけど。
さて街並みを見る限り・・・うん、ごちゃ混ぜだな。ここら辺は一見すると中世のレンガ造りの家が並んでいるように見える、が道に先のほうには商店街のアーケードのような看板が並んで見える。さらに遠くにはビルのように高い建物やデパートのような大型の建物も見て取れる。
たしかココ【人間界】は他の世界とのやり取りが頻繁にあって技術交流が盛んだって設定だったな。そのため物や人も各世界のものが交じり合ってるんだとか。まあ、詳しくはゆくゆく調べるとして次にどうするか、だが・・・。
「やあ、遅かったね。」
「待ちくたびれたぞ。」
話しかけられたので振り返るとそこにいたのは・・・エルフとドワーフだった。
エルフのほうは長身細身で一見すると女性にも見えるような美男子だ。長くとがった耳に緑色の髪、眼鏡を掛けて妖艶に微笑んでいる。
ドワーフのほうは種族にしては身長が高く顔の大きさも普通の人間サイズだ。筋肉質で茶髪に立派な髭をこしらえてるがおっさんというよりはダンディでイケメンな感じになっている。
あと、道行く女性がキャーキャー言ってるが多分気のせいだ。
「んー?・・・あ、お前らか、来てたのか・・・えーとゲームでの名前なんだっけ?」
俺の質問にまずエルフの優男が答える。
「おいおいツレナイな。前に教えただろう?僕は【ラング】だよ。」
続いてドワーフのダンディが答える。
「ワシは【ガット】だ。おヌシもようやくこのゲームを始められるようになったか。」
教えてもらった以上、こちらも名乗らねばなるまい。
「そうか悪いな。一ヶ月も前なんで忘れちまったよ。俺は【アルク】だ。」
そう何を隠そうコイツラは現実でも知り合い、つまりリア友だったりする。といってもコイツラは一ヶ月も前、つまり【Seven World Online】のリリース当日から始めてる、いわば先輩だ。・・・本当は俺も当日から始めたかったんだがリアルのほうで色々あってできなかったチクショー。
「へえアルクは無難に人間にしたんだね。まあ僕も最初はそうしたんだけど。」
「そうなのか。でも今はエルフだよな。転生ってヤツをしたのか?」
「んー?まあ、似たようなものだけど、まあ、それは自分で探してみなよ。何でも教えてもらってたらつまらないだろ?」
「あー、まあいいか。なんにしても俺もようやくデビューできたな。何しようか全然決めてないけど。」
「それならまずは冒険者ギルドで冒険者登録じゃな。どれ、ワシらが案内してやろう。」
「それはありがたいんだが、ガット、その喋り方・・・」
「さぁーて、それでは行くぞ!」
二人は俺をほっといて歩き出した。・・・まあ、いいか。外見に合わせた喋りかたなんだろうし。俺も二人の後に続いて歩き出した。
===移動===>>冒険者ギルド
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!ご用件はなんでしょうか?」
受付のお姉さんが元気にハキハキ喋ってくれている。そのしぐさは人間のものそのままでとてもNPCのもの、つまりAIが喋っているようには思えない。・・・あと受付のお姉さんが美人なのはお約束だよね!
「冒険者登録をお願いします。」
「ハイ、それではアバターカードをご提出ください!」
「アバターカード?」
何だそれ?チュートリアルでは教えてくれなかったけど。おい、後ろのエルフとドワーフ、笑ってないで教えろよ。と思ったら急に手の中にカードが出現した。あ、もしかして【収納箱】に入ってたのか?
「そちらがアバターカードになります。個人の情報や所属ギルド、クラン、その他がそのカードに書き込まれます。それではご提出ください。」
俺は黙ってカードを渡すと後ろの二人を睨む。
「いやいや、ゲームマニュアルにちゃんと書いてあったよ。ヘルプにもね。まあ、僕も人のこと言えないけど。」
「懐かしいのー、ワシらも最初はこんな感じじゃった。どうもこのゲーム、基本的に自分で調べろ!なものが多いみたいなんじゃよ。」
なるほど、どうやらコイツラも似たような経験があったらしい。そして同じ目にあわせてやろうと黙っていたと。性格悪いなコイツラ。
「ハイ、登録完了しました。クエストや依頼を受ける場合はあちらのクエストボードをご確認ください!」
元気一杯の受付嬢さんに癒されながらカードを返してもらう。さっきはよく見なかったが、手のひらサイズのカードに名前と顔写真が載ってるだけのシンプルなカードだった。裏面には冒険者ギルドの文字だけが書かれている。
「クエストやら色々進めていくとそのカードにも色々書かれるようになっていくよ。称号とかね。さて受付さん、打ち合わせ室を一つ貸してもらえるかな?」
「ハイ、では一番の部屋をご使用ください!」
「わかった、では行こう。」
そう言って二人はギルドの奥にある1と書かれた部屋に入っていく。打ち合わせ室なんてものもあるのか。本格的だな。そう思いながら俺も後に続いた。
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