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なかなかなななか

===転送===>観客席


「お帰り」


「お帰りなさい」


観客席へと戻ってきた俺を出迎えてくれたのは俺と同じ時間に試合に行ったはずのアテナとアルマだった。


「ただいま。二人とも早いな・・・アシュラたちは?」


見学組はみんないるが、アシュラやラング、ガットたちがいない。


「アシュラたちは丁度今、試合にでてますよ」


アスターが指差す先には・・・ホントだ。アシュラがはしゃぎまわってる。アイツ元気だなぁ・・・なんか逃げ回るプレイヤーたちを追っかけまわしてるような気がするが・・・気のせいだな、うん。


「それにしてもアルク、今回は時間をかけたわね?」


「苦戦していたようには見えませんでしたけどね」


アテナとアルマが首を傾げている。その目はもっと早く決着を付けられたんじゃない? と言っている・・・様な気がする。


「んん? まあ、【閃槍アーディボルグ】を試してみたかったしな。それに俺の相手したあの三人は結構強かったぞ?」


「・・・とてもそうは見えなかったのだ。1対3でも余裕に見えたのだ」


いやいや、そんなことは無いぞ、アヴァン。全力ではなかったが本気ではちゃんと戦ったぞ、俺は。


「少なくとも騎士の男は中々の腕前だったと思うぞ? 力任せではあったがちゃんとした剣の振り方をしてたし、良く練習してたと思う」


初心者あるあるだが、片手で剣を振るうというのは結構な重労働だ。ある程度の慣れがないと剣を振ったときの遠心力で()()()()()()()しまう。ゲームの中で言えば筋力はレベルアップでカバーできるんだろうが、感覚的なものは練習するしかない。


まあ玄人になれば逆に遠心力だけで、剣を振るう事もできるんだろうが・・・あの騎士はそこまでの腕前ではなかった。力任せというのはそう言う意味だ。だから一度剣を振った後の次の攻撃に隙があった。その隙を【剣術】スキルでカバーしようとしたようだが・・・スキル一辺倒だと攻撃が単調になるからな。攻撃が読みやすかった。・・・まあ、もっと経験を積めばもっと強くなるだろう。


・・・ってなんで上から目線で語ってんだ、俺?


「おおー、あの騎士さん、アルクさんからの評価が高いのです。じゃあ、魔法使いさんやくノ一さんはどうなのです?」


「うーん・・・魔法使いの方は・・・いまいち良く分からないな。フレンドリーファイヤが無かったから状況判断は出来ていたと思うんだが・・・」


ぶっちゃけ【魔法】の腕前というか評価って難しいんだよね。単純に高威力の【魔法】をドカッと撃つのならおお、すげぇで終わりなんだが・・・あの子が使ってたのは初級の魔法ばかりだったし、一見すると初心者にも見えるんだよね。


「・・・で、そこらへんどうなんですか? うちの【魔法】担当のアルマさん」


「え? 私、【魔法】担当だったんですか?」


担当というか・・・専門職? まあ、今決めたんだけどな(笑)


「ええっと・・・そうですね。直接は見れなかったんですが、最初、アルクさんのパンチや【魔法】を土の壁で防いだんですよね? その時点で【魔法】のレベルは高かったと思いますよ? あとは【強化(バフ)】も使ってきたんですよね? 多分、【土魔法】と【支援魔法】が特に強かったんじゃないでしょうか?」


つまり後方支援系の魔法使いだったって事か。それならそれで単独でトーナメントに出るのは無謀な気がするが・・・何か切り札があったのかもな。味方を巻き込むから使えなかったのか、なにか制限があったのかはわからないが・・・


まあ、どんな切り札があったとしても実戦で使えなかったら意味が無い。・・・俺も気をつけよう。切り札を使う前に倒しちゃったの俺だけど。


「ふぅーん・・・じゃあ、あのくノ一は?」


「・・・ああ、あのくノ一な・・・」


・・・俺は後ろを振り返り、()()()()()()()()()()に話しかける。


「アンタも中々強かったぜ? ()()()()()()()()?」


そこにいたのは【()()()()()()()()制服を着た名前も知らない女性プレイヤーであった。・・・【猫獣人】か。ネコミミかわいい。


「え? あ? ・・・えーっと・・・」


当の指名されたネコミミはどうしたら良いのわからず焦っていた。と言っても試合の時の同じ声が聞けた時点で既にバレバレなのだが。


「え? あのくノ一さんがこのお姉さんなのです?」


「ああ・・・そうなんですよね? ロゼさん?」


さっきから顔を逸らしているロゼさんに確認する。


・・・ロゼさんは観念したかのようにため息をつくとこちらに振り向く。


「・・・一応、聞いても良いですか? 何故分かったんです?」


くノ一のネコミミお姉さんの方も既に諦めたのか、興味深そうに聞いてくる。


「んー・・・ぶっちゃけ、勘?」


「勘って・・・」


「・・・もうちょっと言うなら、必要以上に俺を警戒してたから、かな。俺()()の実力を知ってるのは【アークガルド】のメンバーを除けば【インフォガルド】と【アイゼンガルド】、他何人かだけのはずだ。まあ、一回戦の様子を見て警戒してたのかもしれないが、防ぐのに手一杯だった他の二人と違い、俺の初撃を()()()()()()()()お姉さんなら、そのまま攻勢に出てもおかしくなかった」


攻撃が避けられるということは、俺の攻撃は通用しないということ、そうお姉さんが判断してもおかしくは無かった。実際の所、俺が【閃槍アーディボルグ】を取り出したのもこのくノ一のお姉さんを牽制する目的が大きかった。


「・・・」


「しかし、このお姉さんは向かってこなかったばかりか、他の二人と協力して攻めてきた。俺の攻撃を防いで油断していたあの二人から先に倒す事もできたはずなのに、だ。多分、俺が新しい武器を取り出したのを見て情報収集に走ろうとしたんじゃないか?」


そして、あの場面で情報収集に走ろうとするのなら十中八九【インフォガルド】のメンバーだと当たりをつけたというわけだ。あとは性別や体格、所作などからそれらしい人物を見つけたというわけだ。・・・まあ、探すまでも無く直ぐ後ろで聞き耳を立てていたからバレバレではあったのだが。


・・・本音を言えば、絶対の確信があったわけではなくかまかけでもあったんだけどな。たしか【忍者】クランがあるとラングの奴から聞いたことがあるし。最初はそこのくノ一かとも思ったんだが。


「・・・なるほど。確かにリーダーが気にかけるだけのことはありますね。高い実力もさることながら油断も隙も無いとは・・・」


・・・即座に動揺を押さえ込んで普通に会話を始めるアンタも立派なくノ一だと思うぞ?


なんにせよ、俺の読みは当たったわけだ。どうりで勝利への執着みたいな物が無かったわけだ。大方、情報収集のために参加した、もしくはラングのサポートの為、かな。・・・おっと、そうだ。


「・・・そういえば、アンタの名前、まだ聞いてなかったと思うんだが?」


「・・・失礼しました。私の名前はナナカ、と申します」


「ナナカさん・・・ラングに俺のことを報告するのなら、アイツ大した事無かった、って報告してくれない?」


「・・・それだと私は大した事無い相手に惨敗したことになるのですが?」


・・・おうふ。駄目か。俺には情報操作は向いていないようだ。


「・・・堂々と頼んでおいて情報操作も何もないと思うんだけど?」


・・・やかましいぞ、アテナ。


・・・それにしてもラングの奴、部下の育成もちゃんとやってたんだな。この分じゃあ、他にも厄介そうな奴が参加していそうだ。


このナナカさんだって中々の実力だったしな。


・・・中々なナナカ。・・・つまんない? それは失礼。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 今日夢にアルクさんが出てきました。 アルクさんとアテナ達だったと思うんですが、5人仲間がいたんです それで5人の仲間がそれぞれ強大なボスと戦って勝つごとアルクさんの前にある宝玉に星が一つ…
2020/03/17 12:51 退会済み
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