予選第二回戦 第一試合
『さあ、これで予選第一回戦は全て終了しました。一時間の休憩の後、第二回戦を開始します』
長々と続いた予選の第一回戦もようやく全試合が終わったようだ。やはりというか参加者がかなり多いせいであっちこっちで乱戦、混戦が勃発していた。
とはいえ、やはり強い奴は強いというか・・・うん、相手選手たちがかわいそうになってくるくらい一方的な試合がいくつもあった。
知ってる顔で言えば、この間の緊急クエストで遭遇したふざけたクラン名のカオス、【双星騎士団】のラーサーとシャンテ、【ディアボロス】のベルバアルたちも全員余裕で勝ち残ってたな。
他にも知らない顔がちらほらと・・・ラングに確認するとほとんどが有名クランのリーダー、もしくはその所属らしい。中にはラングも知らないようなプレイヤーもいたそうだ。・・・ホント、いろんなヤツらが参加しているな。
しかも皆が皆、実力を隠している感じだし・・・強い奴とそうでもない奴の差が激しいな。インフレ極まる。
しかしこれでトーナメント参加プレイヤーの大部分が篩にかけられたわけで・・・第二回戦以降で強敵に当たる確率がグンと上がったわけだ。
ようするに油断は禁物ってことだ。
「で、この後はどうするんだい、アルク? 僕たちは出店を回ろうと思ってるけど」
俺が気を引き締めているとラングが話しかけていた。どうやら【インフォガルド】のメンバーが交代で出店を回るらしい。客席の確保のために何人かは残るらしいから俺たちは自由にして良い、と。
んー・・・ここに残っても何も無いしな・・・アヴァンが録画した動画も・・・ほとんど自分の目で見ちゃった上にあんまり参考になりそうな画は無かったしなー。アーニャが用意してくれた料理や出店の料理をひたすら食いまくるっていうのもありだが・・・
「そうだな。・・・一旦ホームに戻って出店の料理をアーテルたちに渡してくるよ。そこで一旦ログアウトしてまた戻ってきたら丁度良い時間になるだろう」
せっかくの祭りの料理があるんだからアーテルたちにも食べさせてあげないとな。・・・甘やかしすぎ? いやいや、アーテルたちにはこれから活躍してもらう予定だから。
「そっか・・・わかった。じゃあ、また後で」
そう言ってロゼさんを引き連れて外へと向かうラング。・・・ロゼさん、さっき出店で大量に購入してきたんじゃなかったっけ? また行くのか?
ま、まあ細かい事は気にしないで俺たちも各自自由行動って事になった。
・・・
・・・で、戻ってきたわけだが・・・やっぱりこうなるのね。
『貴方が参加する試合は予選第二回戦 第一試合です。転送開始まで06:14・・・』
どうやら俺の出番はこの後すぐらしい。
「アルクだけじゃないわよ? 私にも通知は来てるわ。第三試合だって」
「私は第七試合だそうです」
アテナとアルマにも通知があるのか。良かった。今度は俺一人が目立つ事はなさそうだ。
「ボクにはまだ来てないっすね」
アシュラにはまだ通知は来ていないそうだ。ラングやガットもだ。どうやら試合時間がずれるっぽいな。
「じゃあボクもアニキたちを応援するっす! なぁーに、アニキたちならちょちょいのちょいで楽勝っすよ!!」
「「「・・・」」」
・・・アシュラよ。俺のさっきのフラグ立ちを見てなかったのか? なんでお前がここでフラグっぽいセリフを言うんだよ。
俺のフラグクラッシャー(別名脳天チョップ)を食らわせてやろうかと思ったが、あいにくと転送が開始されてしまったのでやめる事にした。・・・これで厄介な相手とぶつかったりしたらアシュラに説教してやる。
===転送===>予選第二回戦 第一試合会場
転送されてきたのは先ほどと同じく丸い石畳の舞台だ。
『さあ、まもなく予選第二回戦が始まろうとしています!!』
『人数が多いと色々大変ですね~時間とか割り振りとか~』
『ははは、そうですね次回のイベントでも課題になるでしょうね』
なにやら上空で司会者たちが司会なのか解説なのか談笑なのか分からない話をしているがそれはそれとして、俺は同じ舞台に転送されてきた相手プレイヤーたちを見る。・・・今度は・・・12人か。
・・・なんか大半のプレイヤーが俺を見てうわぁ、マジかよって顔しているんだが気のせいか? だが何人かはやる気(殺る気?)のある目で俺を見ている。・・・いや、なんで俺を見る?
今回は皆見た目はバラバラだな。さっきのモヒカンどもと違ってちゃんとした冒険者らしい格好の奴が多い。その中でも気になるのは・・・3人か。
一人は甲冑に剣と盾を着込んだ騎士風の男性・・・額に角があるから【鬼人】かな。もう一人はいかにもな魔法使いのローブと杖を持った女性、こっちは【魔族】か。そして最後の一人は・・・くノ一姿がバッチリな忍者風のお姉さんだ。・・・こっちは覆面で顔も種族もわからないな。
この三人は落ち着いた雰囲気と見た感じ上等な装備を着込んでいることからしてそれなりにやるようだ。
・・・おもしろい。
『バトル開始まで・・・9・・・8・・・』
おっとカウントダウンが始まった。そろそろか。
舞台上の全員が臨戦態勢を取る。そして全員が俺を見ている。・・・またこのパターンか。
『3・・・2・・・1・・・試合開始!!』
「「「「うおおおおおおおお!!!」」」」
やはりというべきか皆一斉に俺に向かってくる。・・・開幕一斉攻撃がはやっているのだろうか? だがさっきのモヒカンどもに比べると大分動きが速い。
「【ジェットソニック・ラッシュパンチ】!!!」
まあ、あくまでモヒカンどもに比べたら、だがな。
ちなみに【ソニックパンチ】はスピード重視のパンチだ。つまり今の技はスピード重視の遠くまで飛ぶ拳の連打ってことだな。
『おおーっと、第一試合のアルク選手! またしても相手プレイヤーたちをまとめて吹っ飛ばしたぁー!!』
『あら~♪ またまた一発KOなんですか~?』
『・・・いえ、違うみたいですよ?』
「うおぉぉぉ!!」
「くう!!」
「なんのぉ!!」
・・・確かに、今のパンチで倒せたプレイヤーは・・・いない。今のパンチはスピード重視で威力はいまいちだからな。いや、ここはさすが一回戦突破した連中と言うべきか。
・・・まあ、今の攻撃はジャブだからな。
本命はこっち。
「【結晶の刺突】!!」
「「「「ふぎゃああああああ!!!」」」」
『今度は舞台のいたるところからトゲが生えてきたぁー!! 次々とプレイヤーたちに突き刺さっていくぅ!!』
『・・・結構えぐいですね~』
・・・うん、やっといてなんだが俺もそう思う。
だが今のでほとんどの相手を倒すことができた。残りは・・・三人か。しかもノーダメージか。
騎士の男は盾で防ぎ、魔法使いの女は土魔法で壁を作ってしのいだ。そしてくノ一は・・・全て避けきってみせた。
やはり、この三人は他のヤツらよりレベルが高いな。しかも三人とも未だに俺から視線を外していない。つまり三人の狙いは未だに俺というわけだ。
・・・さすがに素手じゃ厳しいか。
と、いうわけでさっそく秘密兵器その1を使うとするか。
「・・・スピアフォーム」
【武装換装】のキーワードで俺が取り出したのは槍だった。
無論、ただの槍じゃない。この日のためにガットに依頼した特注品だ。
【閃槍アーディボルグ ☆11】
特性:ATK+300 MATK+100 属性:無 消耗度:---
SLOT1:破壊不可 SLOT2:---
不朽の力が宿ったミスリルタイト製の槍
製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可
これは【神仏界】で手に入れた【不朽の槍】を元に【ミスリルタイト】で作られたもので、普通の槍と比べて穂の部分が大きく、さらに黒と金で装飾が施され、穂先には三叉の刃が鋭く光る強力な槍となっている。
攻撃力は【豪剣アディオン】に及ばないが、消耗度を気にせず戦えるという長期戦にはもってこいの武器なのだ。
・・・なお、ガットはこの槍を作るために2徹をしてヴィオレに怒られていた。
・・・そして忙しい時期に依頼を出した俺も怒られた。
ま、まあせっかく作ってもらったんだ。大いに役立てないとな。
頼むぜ、【閃槍アーディボルグ】。
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