廃屋敷の怪
===ログイン===>イベント会場 廃屋敷前
ハイ、やってまいりました。真夏のミステリーホラーイベント。
ただいま現場となる廃屋敷の門が見えるところに来ております。
リアルでは行列必至のこのイベントも、ゲームの世界では待ち時間なしで即入場となっており至極快適です。しかーし!それは他のプレイヤーも同じ。先着100名までのホームを手に入れるためには一刻も早く現場への突入が求められております!
・・・ふう、落ち着いた。だって怖いんですもの、目の前の廃屋敷。リアルに作りすぎじゃないだろうか。いや、この世界自体良くできた作り物なんですけどね?雰囲気半端ないんですけど。
「何してるの?さっさと行きましょう!」
おお、アテナ。今日は一段と君がたくましく見える。さすが天使!
門の前まで来るとクエスト内容が表示される。
【特別クエスト 廃屋敷の悪霊を浄化せよ】
勝利条件:屋敷の謎を解き、悪霊を浄化
参加制限:1パーティのみ
制限時間:2時間
備考:制限時間を過ぎるとクリア失敗、途中でギブアップする場合は門から外に出ること
ギィイ。
一通り読み終わるとひとりでに門が開いた。
「・・・やっぱり、ココは男性が先頭になるべきよね。」
・・・俺の感動を返せ。
仕方なく俺が先頭で門をくぐる。続いて二人が門をくぐった所で、門がガタンッとひとりでに閉まったのはもはやお約束だろう。・・・ついでに門が開かなくなったのもな。
そんなわけで屋敷に向かう。ココから見える屋敷はそれはそれは嫌味なくらい大きくて立派なお屋敷だった。コの字型の開けた建物に広いベランダ、立派な噴水まで見える。雨水が溜まってしまってるが。長い年月放置されたようにすっかり寂れてしまっているが。ただこの広さの屋敷が手に入るとなれば・・・悪くない。リアルでは出来ない豪邸暮らしだ!・・・ヤベッ、ちょっとへこんだ。
「中々広い屋敷ね。」
「そうだね。うちのよりちょっと狭いくらいかな。」
・・・クッ、俺は何も聞いていない。聞いていないぞ!
心の中で血の涙を流しながら屋敷の玄関らしき所まで来る。・・・ぼろぼろだがインターホンが付いていた。
押してみた。
ピンポーン!
「ちょっとちょっと何やってんのよ!」
「人のうちに入るんだからインターホンくらい鳴らすだろ。」
「そう言う問題じゃ・・・、というか電気が通ってるんですね。」
ガチャッ。
・・・どうやら誰かでたようだ。
「・・・」「・・・」
「すいませーん。冒険者の者ですが悪霊を退治しに来ました!」
ブツッ。
・・・どうやら切られたようだ。
「ちょっと何正直に・・・」
バターン!!
ドアが勢い良く開かれた。
「・・・どうやら歓迎されてるみたいだぜ?」
「・・・絶対違うと思うますよ?」
見解の相違を確認しながら屋敷内に入る。
「お邪魔しマース。」
「ちょっと緊張感なくなるから止めてよ。」
ドン!ドン!ドン!
屋敷の奥から壁を叩くような音が聞こえた。
「今のは、どうぞお入りくださいって意味だよな。」
「これ以上ふざけたらぶっ殺すって意味だと思いますよ。」
いかん、心優しいアルマさんがお冠だ。そろそろ真面目にやらないと駄目なようだ。
しかし、屋敷内に入ってはみたが外観どおりボロボロだ。壁にヒビが入ってたり、ほこりが凄かったり、クモの巣が張ってたりなどなど。ここはコの字の建物の上棒部分、その廊下だ。部屋への扉が三つ、奥に曲がり角が見える。二階への階段もあるな。ボロくはあるが歩けない事はなさそうだ。
「・・・とりあえず一階から調べるか。なんか泥棒が家捜ししてる気分になるけど。」
あ、もしかしたらクラスが【盗賊】とかだったらなんか有利だったかも。・・・んなわけないか。
ともかく順に家捜し・・・捜索を開始する。ちなみに三人でバラけようと提案したのだが却下された。効率わるー。
玄関側の部屋から順番に見て回る。折れたテーブルとイス、汚れたベッドだけの簡素な部屋だった。他には何にも無い。多分ここは客室だな。残り二つの部屋も同様だった。仕方ないのでそのまま奥の曲がり角へ向かう。
「あ。」
「どうしたんだ?アルマ?」
「今小さい子供がそこの曲がり角から顔を出していたような・・・」
その言葉を聞いて慎重に曲がり角を確認するがそこには誰もおらず、そこには大きな扉があるだけだった。
「この扉の奥に行ったのかしら?」
「でも扉の開く音も閉まる音もしませんでしたよね?」
「行ってみれば判るさ。」
そういって扉を開ける。そこはコの字の縦棒部分。横に広い部屋にテーブルがいくつも並んでいる。外の景色が見えるようにか壁はガラス張りだ。どうやらここはパーティ会場、もとい食堂のようだ。奥にオープンな台所が見える。ダイニングキッチンってヤツだ。チッ、ブルジョワめ。
しかし、ここもボロボロだ。いくつかのテーブルは足が折れて転がっている。キッチンもさび付いていて当然水なんか出やしない。
「うーん、ここにも何もなさそうだな。」
「そうですね。所々朽ちてはいますが思ったより綺麗ですね。もっと踏み荒らされているのかと思いましたが・・・。」
「うん?それはなんでだ?」
「ホラ、イベントの招待状にあったじゃないですか、解体業者や若者が肝試しに来たって。」
「ああ、なるほど。」
言われてみれば変だな。確かに自然に壊れたものばかりに見える。窓やガラスも割れていない。こういうとき、調子に乗ったやつが割ったりしてそうだけどな。
部屋の様子を注意深く観察したがアルマの見た子供もいなかったようなので、奥の扉から次の場所へと進む。コの字の建物の下棒の部分だ。ここも廊下に三つの部屋、突き当りには外に出る扉がある。多分こっちは裏口、勝手口かな。でも今は部屋の中の確認だな。
「これは執事服・・・か?。」
「そうですね。こっちは最初の部屋に比べて人が住んでいた形跡がありますね。」
私服は見当たらなかったが筆記用具や小型冷蔵庫などが見て取れる。だからといって特に何も見つからなかったが。
次の部屋にはメイド服があった。つまり女性の部屋。俺は目を瞑り(出て行けとは言われなかった)、女性二人に探索を任せたが特に何も無かったようだ。
そして次の部屋。
「ここは・・・コックの部屋か。・・・お!机の上に日記が置いてあるぞ!」
ここにきてようやくヒントらしきものを見つけた。
人の日記を盗み見るという外道な行いに後ろめたさを微塵も感じず中を拝見する。丁寧な字で書かれているそれの最後に書かれたページを探す。
『明日はお嬢様の誕生日。旦那様と奥様からも言われたとおり腕によりを掛けてお作りせねば。お客様も大勢いらっしゃる。明日は大変な一日になりそうだ。12:00までに大量の料理を作らねばならないため今日は早めに就寝する事にする。』
やはり日記の傷み具合から察するにこれを最後に書いた後、行方不明になったと考えるべきか。つまりお嬢様の誕生日に何かが起こったと。
他のページを確認するにこの屋敷の住人は旦那様、奥様、お嬢様の三人と、メイド一名、執事一名、コック一名の合計6名らしいな。招待客については何もかかれていないので誰が招待されているのかは不明だ。それにしてもなんだこの日記?何で日付が書いてないんだ。どこからどこまでがその日に起こったのかわからん。
「んんー、他に重要な事は書かれてないっぽいな。他になんか・・・」
タッタッタッタ。
二階から足音が聞こえてきた。
「・・・あからさまだな。」
「二階に上がって来いって言ってるのかしら?」
「あるいは単に私たちから隠れようとしているのかもしれません。」
「確か二階への階段は玄関の所にあったな。そこの出口から外に出て玄関のほうに向かうか。距離的にそっちのほうが早いだろう。」
二人の同意を得て一旦外に出る。
・・・?何か変だな?何かが変わった?
屋敷は相変らずぼろいままだ。ベランダも崩れそうだし、噴水はヒビだらけで乾いてるし、長い年月を放置されていたのは丸わかりだ。やはり気のせいか。
玄関から再び最初の廊下に入る。
・・・?やはり何か違和感を感じるな。なんだ?
「うわー、この階段所々腐ってるわ。気をつけて。」
「わかりました。」
アテナとアルマが慎重に階段を登るのが見える。おかしいな、さっきはもっと頑丈というかそんな腐ってたようには見えなかったのに。気にはなりつつも二人の後に続いた。
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