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強敵たち 続き

===視点切り替え===>クラン【GGGヒーローズ】


ヒーローが集まるクラン【GGGヒーローズ】は初心者から上級者まで、幅広くプレイヤーが在籍している。そんな彼らはトーナメントに向けて特訓を続けていた。


特に力を入れているのが彼らリーダーであり、ヒーローコスチュームを着た熱血漢、マックスである。


「良いか、みんな! トーナメントまで時間が無い!! 気合入れてレベリング行くぞぉ!!」


「「「「おおー!!」」」」


「リーダー! 大変です!!」


「どうした!?」


「【人間界】の広場で【秘密結社DEATH】の奴らが!!」


「なに! よし、みんな行くぞ!!」


「リーダー! レベリングは良いのか!?」


「ばっかやろう!!」


「ウッ!!」


「トーナメントも大事だが、それよりも大事なことがあるだろう!!」


「リーダー・・・わかった! 行こう!!」


「おう!!」


クラン【GGGヒーローズ】のリーダー、マックスは常に真っすぐである。そして相手が誰であろうと決して背中を見せることは無い。それがどれだけ凶悪なモンスターであっても、卑劣なプレイヤーであったとしても・・・何が彼をそこまで駆り立てるのかはわからない・・・もしくは理由などないのかもしれない。なぜなら彼はヒーローなのだから。


===視点切り替え===>クラン【アマゾネスプリンセス】


女性だけが参加できるヒロインたちのクラン【アマゾネスプリンセス】。


様々な衣装を身に纏ったヒロイン達の中で、一際絢爛豪華なドレスを身にまとう女性。彼女こそ【アマゾネスプリンセス】のリーダー・・・姫と呼ばれている女性、エルザリートである。


「・・・みなさんのレベリングの調子はいかがかしら?」


そんな姫の言葉に答えるのは侍女のように彼女の傍に控えるメイド服の女性である。


「はい、姫様。・・・あまり順調とは言えません。装備を整えるのがなかなか・・・」


「・・・コスチュームを優先したのが仇になりましたわね。・・・良いですわ。ワタクシも一緒にレベリングに参りましょう」


「姫、自らですか!?」


「ええ、トーナメントまで時間がありませんもの・・・できるだけ多くの皆が勝ち上がるにはパワーレベリングも考えないといけません」


「・・・わかりました。ではローテーションを考えてみます」


「よしなに・・・」


「・・・姫様、たった今、連絡が入りました」


「どういたしました?」


「【秘密結社DEATH】と【GGGヒーローズ】の連中が街で暴れています」


「まったくあの方たちは・・・仕方がありません、ワタクシたちも参りましょう」


「「「「はいっ! 姫様!!」」」」


【アマゾネスプリンセス】のリーダーにして、姫と呼ばれる彼女は常に強く、美しく、凛々しく戦場に立つ。その姿に魅了されない者はいない。常に誇り高く、そして誰よりも仲間を大切にする彼女はまさしく姫、いや戦姫なのだ。


===視点切り替え===>クラン【クラッシュヘブン】


体育会系、ヤンキー、ガチムチの集まりとされるクラン【クラッシュヘブン】。


ネタ枠と言われる彼らだが、そんな評価とは裏腹に彼らの実力は高い。それは常に己を鍛える事に心血を注ぐクランのリーダーにして筋肉男の異名を取る彼、ヘブンの方針によるものである。そして彼らは今日も彼らのクランホーム・・・スポーツジムのような場所で己を鍛えていた。


「さあ! 今日も一日、楽しく鍛えよう!!」


「「「「押忍っ!!」」」」


「リーダー! 試合、お願いします!!」


「よし、来い!!」


「リーダー! その次は俺もお願いします!!」


「リーダー! 僕も!!」


「俺も!!」


「ハッハッハ!! よーし! 皆まとめてかかって来い!!」


「「「「押忍っ!!」」」」


【クラッシュヘブン】のリーダー、ヘブンは多くのプレイヤーから慕われていた。ただし、そのほとんどがアウトローと呼ばれる者たちだ。あるいはそんな者たちを引き付ける何かが彼にあるのかもしれない。今日も彼は己を鍛え続ける。己を慕う者たちと共に。


===視点切り替え===>クラン【アイゼンガルド】


【鍛冶師】であるガットをリーダーとした生産クラン【アイゼンガルド】。本来、彼らは戦闘を得意とする者たちではない。しかし・・・


「アンタ、本当にトーナメントに出るつもりかい?」


それでもトーナメントに出ると言い張るガットに問いかけるヴィオレ。その表情には呆れと戸惑いと・・・心配の色がある。


「うむ。武器や防具を作るばかりでなく実戦の勘も養わんとのう」


「前に言ってた、良い装備を作るならまずは自分で使い勝手を確かめないとってやつかい?」


「その通りじゃのう。使い手の勝手や感覚を理解して初めて良い武器を作れる、そう思うからのう」


「言いたいことはわかるんだけどねぇ・・・勝算はあるのかい?」


「・・・まあ、やるだけやってみるわい」


「・・・アルクと当たったら?」


「遠慮なくぶっ飛ばすわい!!」


アルクとリアルでも知り合いであるガットは知っている。なれ合いより本気のぶつかり合いこそアルクの求めるものであると。それはガット自身も同じである。


===視点切り替え===>クラン【インフォガルド】


情報クラン【インフォガルド】のリーダー、ラング。彼もまたトーナメントに参加する予定だ。


「うーん・・・トーナメントで勝ち残るにはいろいろ不足しているねぇ。新しいスキルを探すか、新装備を発注するか・・・どうするかねぇ」


「【アークガルド】の皆さんをはじめ、上位プレイヤーは本当に強いですからね」


ラングと相談しているのは常に彼のフォローを行っているロゼ。情報クランという特性を生かし、収集した情報からさまざまな戦術を研究してきた。それこそ彼らの武器であり、【インフォガルド】の強みでもある。


「・・・既存の戦術だけじゃ心もとないねぇ。・・・アルクあたりには通用しないだろうし」


「・・・それほど、ですか」


「彼は天然だからねぇ。・・・それでいて予想外で予想以上の動きをするから手に負えないよ」


「・・・それでも戦うのですか?」


「勿論だよ。むしろ彼を倒せるだけの戦術を作れたら他の連中にも通用するだろうしね」


「・・・貴方とアルクさんの関係が良くわからないんですが?」


「うーん・・・友達で仲間でライバルで遊び相手?」


ラング自身、アルクやガットとつるんでいる理由はよくわかっていない。強いていうのなら退屈しないから、である。だからこそ彼は本気なのだ。本気で取り組むからこそ何事も楽しいのだと彼は知っている。


===視点切り替え===>クラン【あア亞あア亞】改め【カタストロフィ】


適当な名前だったクラン名を考えに考えぬいて変更した男、カオス。


とはいえ、彼がリーダーをしているクランには他に所属している者はいない。


・・・()()、だが。


「・・・やれやれ、本当にクラン名を変えるとは律儀だねぇ」


そんな彼に話しかける()が一つ。


「お前か・・・何の用だ?」


「・・・激励、かな? それとこの前の返事を聞きに来たんだよねぇ」


「・・・ふん。今の俺が貴様らに付く理由がない。わかっているだろう」


「そうでもないさ。()()に付けば君の望む敵が得られるんだからね」


「・・・奴らが俺の敵になりえる、と?」


「それは君もわかっているだろう?・・・まあ、今度のトーナメントで確かめてみると良いよ。トーナメントが終わるころには()()()()()()も終わる予定だしね。返事はその時に改めて聞こう」


そう言い残し、影は消えた。


「・・・ククク、どうもおかしな連中に好かれるようだな・・・アルク」


孤高にして孤独を貫くソロプレイヤー、カオス。彼についていける仲間はいない。彼の相手となる敵もいない。ゆえに彼は求める。敵でも良い。仲間でも良い。彼の空虚と退屈を吹き飛ばす誰か、を。


===視点切り替え===>クラン【アークガルド】


「へっくし! はっくし! ぜっくし! ばっくし!!」


「風邪ですか、アルクさん?・・・って前も聞いたような気がしますね」


「・・・というか今の、くしゃみなの?」


「ああ、きっと誰かが噂してるのをこのゲームのAIが教えてくれてんじゃないか?」


クラン【アークガルド】のリーダー、アルクとその仲間たちはいつも通り、のんきにレベリングに勤しんでいた。


「誰がのんきだ、こら」


「・・・誰に言ってるのよ?」


「・・・? なんか誰かに馬鹿にされたような気がしてな。勝手に口が動いてた」


「大丈夫ですか? これから大物狩りですよ?」


「わかってるさ・・・じゃあ、行くか。ベヒーモス戦」


彼らはいつも通り、あっちこっちに戦いに出ていた。時にはバラけて、時にはパーティを組んで。


レベルを上げ、スキルを鍛え、素材を集め、トーナメントに備える。


いかに彼らでも今度の相手は一筋縄では行かない。


なぜなら彼らの相手もまた、歴戦の戦士なのだから。


・・・そして時はトーナメントへと移り変わっていく。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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