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夏といえば

続いてアクア・アイランドの各施設について紹介が始まった。もっとも俺たちは先に体験してしまったが。


「やれやれ、常設クエストになるのならPvPがトリガーという情報は売れないな。公式でも話してしまっていたし。」


ラングが若干残念そうな顔をする。まあ、予想もしていたんだろう。


「でも攻略法やら称号やらドロップ品についての情報は売れるんじゃないか?」


「うむ、べヒーモスの素材は中々良いものじゃったぞ。研究はこれからじゃが、この素材を使えばレアリティ9か10はいくと睨んでおる。」


俺とガットが慰めるように話しかける。まあ、そんな事言わずもがな、なんだろうけど。


「・・・そうだね。それにべヒーモスに関する話が街で聞けるのは知らなかった。今後はフィールドだけでなく街中の調査も欠かせないね。」


そう、べヒーモスの伝説に関しては俺も知らなかった。何も知らないままイベントを起こして倒してしまったのは正直申し訳ないと思う。誰に?と言われれば誰なんだろうな?しいて言えばべヒーモスとその設定を考えた開発者に?


『さてアクア・アイランドについては以上になりますが、室長さん。最後にお知らせがあるんですよね?』


んん?まだ何かあるのか?


『はい、現在Seven World Onlineの開始から一ヶ月以上経過し、登録者数は20万人を超えてなお増え続けております。そこで夏という事もあってこんな企画をご用意しました。』


『『真夏のミステリーホラーイベント~!!』』


司会の二人が同時に叫ぶ。パチパチパチとまばらな拍手がどうにも安っぽく感じてしまうのは俺の気のせいか。


『はい、というわけで真夏のミステリーホラーイベントと題しまして、とある廃屋となった屋敷に住み着いた悪霊の浄化を目的としたイベントを開催します。いわゆるお化け屋敷の肝試しイベントですね。参加は1パーティ単位で戦闘は起こりません。代わりに数々の謎を解かないと悪霊の元にはたどり着けないようになっています。』


ああ、それでミステリーホラーなのか。まるっきり肝試しだな。戦闘がないのは新規プレイヤーでも参加できるようにするためか。


『見事謎を解き、クリアしたプレイヤー達には、なんと!浄化された屋敷をそのままホームとして贈呈致しますよー!!』


!?・・・なんだと?


『なお、ホームの入手は1パーティにつき一回限り、先着100組限定で、複数入手は出来ません。一度クリアしたパーティが人員を変えて再挑戦しても入手できないのでご了承ください。』


「ね、ねえアルク!これって・・・」


アテナが戦慄の表情で俺を見ていた。


「ああ、確か眷族を手に入れるためにはホームが必要だったよな。眷族は普段ホームにいて必要に応じて連れ出すため、だっけ?」


「そうだよアルク。」


俺の問いを肯定するラング。


「じゃ、じゃあこのイベントでホームを手に入れれば眷属が入手できるようになるわけですね!!」


興奮したように俺の肩を揺らすアルマ。正直痛いから止めて欲しい。


「ここの運営にしては太っ腹じゃのう。マンションタイプのホームならともかく、一軒家タイプの、それも屋敷のような大きめのホームを入手しようとしたら結構な値段がかかるんじゃが・・・」


確かに俺もお手ごろなマンションタイプのホームを検討していたが、広いホームをタダで手に入れられるとなれば参加しない手は無い。正規にホームを買ったらしいガットたちには悪いが俺たちのような貧乏人にはまさに天から降って湧いたような幸運!ぜひ手に入れたい。


『すごいですねー。私も参加したいです!』


『フッフッフッフ、勿論構いませんよ。ただ賞品が賞品なだけに難易度は少々高めです。おそらく何度も挑戦する必要が出てくるでしょう。それに・・・』


『それに?なんでしょうか?』


『今回のイベントがミステリーでありホラーイベントである事をお忘れなく。』


あ、室長さんが悪い顔してるな。司会の二人が引いてるじゃん。


『イベントの開催は明日の正午から、【転移装置(ポータル)】を使ってイベント会場に行く事が出来ますので奮って参加ください。』


『それでは第3回Seven World Online公式生放送はここまでということで。』


『皆さん。元気に楽しくゲームをプレイしてくださいね~。さようなら~。』


と、ここで配信は終了となった。


と同時に真夏のミステリーホラーイベントについてのお知らせが届く。


『真夏のミステリーホラーイベント【廃屋敷の悪霊を浄化せよ】への招待状


舞台となるのは人里離れた山奥に建てられた豪邸。


とある資産家とその家族、家政婦たちが暮らしていたが、ある日突然その屋敷からすべての人間の姿が消えた。


警察や冒険者による大規模な捜索が行われるも住人たちの行方は誰一人として知れず、屋敷は無人となった。


以降、多くの者が屋敷を訪れた。


新たに屋敷を買い取った者。


解体業者。


肝試しを行う若者。


その誰もが忽然と姿を消していた。


訪れた人間を食らう悪霊屋敷。


誰ともなくそんな噂が立ち、気が付けばその屋敷を訪れる者は誰もいなくなっていた。


さあ、君の手で閉ざされた屋敷の謎を解き、悪霊を浄化して欲しい。


くれぐれも気をつけてくれ。君自身が消えてしまわないように・・・。』


「うわー、何コレ、怖ッ!」


「人が次々と消えていくお化け屋敷ですか・・・」


おや?ビビッてるんですか?アテナさんにアルマさん。なんて口には出せない俺がいる。しかし・・・。


「何気に誰かが亡くなったって言う記述がないな。悪霊っていうからには亡くなった誰かなんだろうけどこの文面からじゃわからないな。」


「そうだね。さっきの放送でも悪霊を浄化ってはっきり言っていたから、悪霊がいるのは間違いないんだろうし、謎解きっていうのは多分悪霊の正体を解けってことなんだろうね。」


「難易度が高めといっておったからのう。実際に入ってみん事にはわからんのじゃろう。」


それもそうなんだが気になるのは冒険者という記述が文面にあることなんだが。魔法やら超人やらが存在するこのゲームの中を基準に謎を解けって言ってるのか?もしそうなら事実上何でもありになると思うんだがどうなんだろう。


それに浄化という言葉。普通のゲームなら謎を解いたら成仏するとか、上手く説得して成仏させるとかあるだろうけど、このゲームではどうだろう。たしかアイテムの中に対アンデッド用の【聖水】があったがそれを用意する必要があるのか?それとも浄化系の魔法が必要とか。成仏とか除霊と言わず浄化と言ってる辺りありえそうな気がする。


・・・深く考えても仕方ないか。準備は出来るだけするとして、仮にクリアできなかったとしても資金を貯めてホームを購入すればいいわけだし。気楽に行こう。


「よし、アテナ、アルマ。一通り遊んだら、明日に備えて準備をしてから解散しよう。」


「準備って言っても何するのよ?」


「とりあえず、昨日のべヒーモス戦でレベルが上がったから、【武術界】と【魔法界】をまわって新しいスキルが覚えられないかどうか確認してみる。戦闘は無いとは言っていたけど、何かしら役に立つスキルがあるかもしれないしな。」


「そういえば【獲得券(チケット)】も貰いましたね。何に使うか全然決めてませんけど。」


「それもあるな。ただ、【スキル獲得券(チケット)】に関してはまだ保留でいいんじゃないか?今回のイベントはぜひクリアしたいが、ホームを手に入れる方法はコレだけじゃないから焦って貴重な【獲得券(チケット)】を使う事もないだろう。」


「そうね。それなら私は【魔法界】に行って回復魔法とか浄化系の魔法とかを覚えられないか確かめてこようかしら。天使だし、そっち系の成長が早いみたいだから。」


「それなら私はアイテム関係を調べてみますよ。確か【人間界】のマーケットで【聖水】が売っていたはずですので。」


おお、どうやら俺と同じ考えに到っていたらしい。これがチームワークというものか。・・・アレ?俺だけ目的がふわっとしてる?いや気のせいだ。


「やる気だねぇ。ぜひ頑張って欲しいな。」


「なんで人事なんだよラング。お前は参加しないのか。まさかビビッて・・・アイタッ。」


チョップを食らわせやがったコイツ。


「今回は先着でホームを貰えるんだろう?僕達は既に持っているからねぇ。ここは後輩に譲って、売り切れた頃に参加してみるよ。」


しかも後輩扱いされたぜチクショー。間違ってないけど。


「うむ、せいぜいがんばるのじゃぞ。」


激励しているようだが俺は知ってるんだぞガット。お前本当は怖いのが苦手・・・だからチョップするなよ。あと人の心を読むな。




作者のやる気とテンションを上げる為に


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