これから
「それで? 結局俺たちが欲しい情報は何かあるか?」
アーニャの調理器具はガットに任せるとして、俺たちの試練に関する情報が無いかラングに確認する。
「えーっと、【天凱十二将】に【七大天使】、【七大罪の悪魔】に【七大竜王】、【機械神のパーツ】、【闘匠八武衆】、【四大精霊】、【三大仙人】だね」
「【美食幻獣】と【宝獣】もな」
「おっと、それもあったね・・・フフッ」
おお、余裕の笑み・・・これは期待できるのか?
「情報は・・・無い!!!」
「・・・アシュラ、アイツを殴れ」
「わかったっす!!」
立ち上がったアシュラがラングに迫る。
「いや、ちょっと待って!・・・あれ? ロゼ? どうして僕を捕まえるんだい」
ロゼさんに羽交い絞めにされるラング。そんなラングに迫るアシュラ。
「俺のこの手が光って唸るっす! お前を倒せと輝き叫ぶっす!!」
「待って! 僕はデビルな機械じゃないから!!」
おお、アシュラの右手が光り輝く・・・なんてことはなかったが。おしいな、さっき【武芸神ウィシャス】の【加護】を使ってなかったらそこまで再現できたのに。
「必殺!・・・【竜撃発勁】!!」
「おうち!!」
アシュラは殴る・・・ではなくラングの腹に掌をそっと添えた。しかし、ラングの方は腹を抱えて悶えている。あの発勁は気を体の内部に送り込んで破壊する技だ。・・・さすがに殴るのは問題だと思ったんだろうか?・・・しかし、あれはシャイ〇ングフィ〇ガーではない。
「どうして・・・PvPでもないのに」
ラングのつぶやきに・・・
『ツッコミは攻撃ではありません』
謎のアナウンスが答える。律儀なことで。
「現状、アルクさんたちがお求めの情報は【インフォガルド】はありませんね。むしろ初めて知った情報が多いです。いるかもしれないと言われていた存在がいると確定した、という意味では貴重な情報です。この情報を流せば各情報クランが目の色を変えて探し始めると思いますよ?」
試練云々に関係なく見つけたら何かしら手に入る可能性があるからな。【七大罪の悪魔】や【七大竜王】なんていかにも貴重なドロップ品を手に入れられそうだし、【四大精霊】なんて【眷属】にしようとするプレイヤー続出だろう。
しかし、ロゼさん、何事もなかったかのように説明し始めるんだな。・・・少しくらい足元に転がっているラングを気にかけてあげてほしい。・・・やれって言ったのは俺だけど。
「うーん、情報は欲しいが拡散するのはどうかな・・・仮にどこかが見つけても独占されそうな気がするな。トーナメント前なら特に」
仮に貴重なドロップ品が手に入ったとして、それを公開するだろうか? それが戦闘に有利になるような物ならなおさら独占してトーナメントに対する切り札にするんじゃないだろうか。
強いて拡散できるのは【美食幻獣】と【宝獣】くらいか。・・・うん、これは優先事項だな。プレイヤー一丸となって探さないといけない。・・・一斉にプレイヤーが動き出したら狩りつくされたりしないだろうか?
「そうだね・・・調査するのなら試練云々の下りは省いて、こういう【天使】ってこのゲームにはいないの? ぐらいの感じで探す方が無難かな」
お、何事もなかったように復活したな、ラング。
まあ、それはそれとしてラングの言う通りだな。・・・やはりネックはトーナメントか。参加しないプレイヤーなら関係ないんだろうが・・・
「やっぱりトーナメントに参加するプレイヤーって多いのか」
「らしいねぇ。このゲーム初めての大規模イベントだし、参加賞もあるみたいだからね。上位に入ったプレイヤーがいるクランからすれば宣伝にもなるからね」
あー、そういう考え方もあるのか。たとえ優勝しなくても上位に入れば宣伝になってそのクランに入りたがるプレイヤーも増えるだろう。・・・ああ、もしかしてラングたちが参加するのってそういう意図もあるのか?【インフォガルド】も人手不足らしいからな。
「とはいえ、上位に入るだけでも相当厳しそうだけどね。戦闘クランはかなりやる気になってるって話だし」
「・・・そうなのか?」
「・・・この前、誰かさんが起こした緊急クエストでライバルになりそうなクランやプレイヤーがはっきりしちゃったからねぇ。人間、順位が出ちゃうと上を目指そうとする物なんだよ」
・・・俺のせいみたいに言うのはやめてもらいたい。・・・そういえば確かにこの前の緊急クエストで順位が出てたな。・・・あの適当な名前のクランのカオスに負けたのは屈辱だった。・・・ああ、俺みたいなやつが、ってことか。
「上位に入るのは現時点でのレベルキャップであるLv.70のプレイヤーなのは確実にだそうだよ?」
・・・このゲーム、レベルキャップってLv.70なのか。俺ももう少しだな。
「・・・いや、待て。【転生】すればその限りじゃないんじゃないのか? 【転生】前のステータスを引き継ぐんだろ?」
確か【進化の神殿】でそんな感じの説明を聞いたはずだ。
「【転生】にはリスクもあるからね。・・・君、今からLv.1になってもトーナメントに間に合うと思うかい?」
「・・・思わないな」
要はレベリングの時間が足りないってことか。
「・・・お二人とも普通にレベルキャップや【転生】の話をしていますが、このゲーム、開始して3ヵ月も経ってませんからね? そんな猛烈なスピードでレベルが上がるのは普通ではありませんからね」
・・・ロゼさんからお前たちは普通じゃねぇと言われてるような気がするが気にしてはいけない。
「・・・つまり、トーナメントで優勝する最低条件はLv.70になることだと考えておいた方が良いってことか」
これは早急にレベリングが必要だな。俺だけじゃなくアーテルやアウルもLv.70にしておきたいし。
「・・・だいたいこんな感じか」
「そうだね。情報に関しては一度クランに戻ってから相談で良いかな? 元々【神仏界】に関する情報は少ないし、情報料がどれくらいになるかあいまいなんだよねぇ」
「わかった」
話は終わり、と言うことでガット、ヴィオレ、ラング、ロゼさんも混じって宴を再開した。・・・よく考えたらこの四人が宴に混じる理由なくね? まあ、気にしないでおこう。
明日からはレベリングだ。今のうちに英気を養っておこう。
「俺たちの戦いはこれからだ! ってやつだな」
「何でそんな打ち切り漫画みたいなノリなのよ」
「まだまだ続きますよね?」
勿論、まだまだ続きますよ?
===ログアウト===>お疲れさまでした
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あー、今日も楽しかったな。
ゲーム始めてからすこぶる調子が良い気がする。
ストレス発散になってるのかな?
・・・今日は何時より調子良い気がするな。
調子良いっていうか・・・体が軽くなった気がする。
なんでだ?
今日したことって皆から話を聞いていつも通り騒いでただけだったはずだが・・・ああ、そういえばいつもとは違う珍しい物を食ったけど・・・まさかな。
ゲームの中の話だし・・・これはあれだ。病は気からってやつと同じで精神が好調だと体も快調になるんだろう、うん。
・・・そ、それにしても皆、リアルではどんな人間なんだろうか?
あいつら・・・ガットやラングは知っているが他は知らないし。
ゲームの中だと見た目や年齢は一致しないからな。
いつか会ってみたいな。
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