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アスターの場合:険しき道

===視点切り替え & 回想===>アスター


「あーい♪ あーい♪」


ミコトはご機嫌で歩いて・・・正確にはふわふわ浮きながら道を進んでいる。対する僕はと言うと・・・絶賛警戒中です。


一見すると普通の山道だけど・・・わざわざ戦闘禁止を明言するということは・・・つまり、戦闘自体は起こりえるということだろう。問題はどう回避するかだな。


「このまま何事もなく・・・おわーーー!!」


「あう!?」


・・・言ったそばから視界がかわった。周囲が土の壁に囲まれている・・・唯一頭上だけが開いており、ミコトが心配そうにのぞき込んでいる。


・・・ぶっちゃけ落とし穴に落ちただけなんだけどね。


「なんでこんな所に落とし穴が・・・うん?」


こんな古典的な手に引っ掛かった自分を少し恥ずかしく思いながら、意外と深いこの穴をどう登ろうか悩んでいると・・・横穴が開いた。そしてその穴から除く顔が・・・


「・・・モグラ?」


「・・・」ピシッ!


そこにいたのは何故か良い笑顔で敬礼しているモグラだった。・・・そのしてやったりしている顔がなんだかむかつくけど・・・なんでモグラが?


【看破】・・・駄目だ。弾かれた。まあ、この場にいる時点でなんとなくわかるけど・・・


「君は・・・【土の精霊】?」


「・・・」コクコク、ピシッ!


そのモグラは肯定するようにコクコクと頷いた後、じゃ! と言わんばかりに手を上げて横穴に引っ込んでいった。・・・これが【精霊王レイハイム】のお爺さんが言っていた、イタズラしてくる【精霊】なのか・・・


「あーいー!!」


おっと、ミコトが心配そうに地上から声をかけてきてる。


「今戻るよ! 【サイコフロート】」


僕の体がふわぁっと浮き始める。【念動力】のスキルだ。宙に浮かぶスキルなんだけど・・・空を飛ぶスキルじゃなくてただ浮かぶだけのスキルなんだよね。移動速度も遅いし、正直使えないスキルだと思ってたけど・・・意外な所で役に立った。


「ただいま、ミコト」


「あい!」


・・・それにしても・・・この山に登るのが試練ってこういうことか。きっと他にも罠みたいな物があるに違いない。


・・・あれ?


「・・・ミコト? ここって竹林の中だったっけ?」


「・・・あい?」


おかしいな。僕が穴に落ちるまで、道の両端には長い草が生い茂っていたのに、今はたくさんの竹が生えている。・・・急に場所が変わった?


「なんで急に・・・おっと!!」


警戒していたら竹林からなにかが飛び出してきた。飛び出してきたそれをギリギリでかわす。なんなんだ? と思ってると今度は逆側からまた何か出てきた。


今度は落ち着いてみることができたのだが・・・


「・・・ウサギ?」


ウサギだ・・・ウサギがものすごいスピードで僕に体当たりを仕掛けてくてる! さいわい僕が避けられるスピードだけど・・・これも【精霊】のイタズラなのだろうか。しかも・・・


「よっ! はっ! たっ!」


突進してくるウサギがどんどん増えていく! 迎撃したい所だけど・・・戦闘禁止だからなぁ。


「・・・ミコト! 一気に走り抜けよう!!」


「あう!!」


散弾のようにとびかかってくるウサギたちの隙間を縫うように駆け抜ける僕たち。


・・・戦闘禁止って意外と厳しいルールなのかも。


・・・


しばらく走っていると、いつの間にか竹林を抜けていた。


ふぅー、とりあえずウサギトラップは抜けたみたいだ。そして目の前にあるのは・・・綺麗な小川だった。道はその小川に続いている。・・・この小川を横断しろってことか。


「まあ、この程度の広さなら【サイコフロート】で・・・あれ? 橋がある?」


よく見ると道なりに小川を横断する為の橋らしきものが見える。・・・橋っていうか・・・ただの一本の丸太だけど。これを渡れってことか・・・なんかこういうアスレチック、見たことがあるな。バランスを取るのが難しいやつ。


「よっと・・・」


・・・やっぱり削られてもいない丸い丸太は歩きにくいな。


「あい♪ あーい♪」


うん、応援ありがとう、ミコト。でもできれば集中させてほしい。


・・・ちなみにだけど・・・


小川から顔だけ出している・・・カッパらしき姿が見えるけど・・・僕は突っ込まないぞ。


「・・・ふぅ・・・何とか渡り切った・・・」


「あい!」


・・・ほめてくれるのは嬉しいけどさっさと行こう、ミコト。・・・なんかさっきのカッパが川から迫ってきているし! さあ、行こう!! 早く行こう!!


・・・


その後も僕らの険しい道のりが続いた。


「・・・なんで急に断崖絶壁が?」


道はちゃんとある。・・・だけど絶壁に、垂直に道があって一体何の意味があるんだ?


「・・・上が見えないな。【サイコフロート】でも続かないか」


でも崖のぼりの道具やスキルなんて持ってないしな・・・仕方がない。ガットさんに作ってもらった【地鎌ガイアサイズ】で道中ひっかけながら登るしかないな。・・・せっかく作ってもらった武器なのにこんな使い方でごめんなさい。


【地鎌ガイアサイズ】を手に持つ。


「・・・よっしゃあああ! 行くぞ! ミコト!!」


「あい!」


こうして僕たちは苦労しながら絶壁を上りきった。道中、鳥型の【精霊】にクチバシで突っつかれたりしたけど、なんとか、登り切った。


・・・え? 途中でキャラが変わった? 何のことかわからないな。


・・・


「急に豪雨って・・・山だからって天候変わり過ぎじゃない?」


ひどい土砂降りだ。・・・あ、雷まで・・・しかもすぐそばに落ちたよね、今。


「あい! あいー!!」


「どうしたの、ミコト・・・って、でっかいカエル・・・うわぁ、こっちに向かってる来てるよ。急ごう、ミコト!」


「あい!」


・・・


「熱いと思ったら・・・マグマ地帯っておかしくない?」


「あいー・・・」


足場はあるから、飛び越えながら進めってことかな。・・・問題はいくつかの足場にトカゲっぽい【精霊】がいるってことなんだけど・・・あの足場は避けて通らないといけないな。


「あい!」


「うわ! ジャンプしてきた!!」


・・・


「・・・今度は洞窟かぁ・・・」


「あい?」


「いや、こういう所のトラップってお決まりで・・・ほら、大岩が転がってきてる」


「あいー!?」


「・・・これは壊しても大丈夫だよね・・・うらあ! 【サイコスラッシュ】!!」


・・・あ、あの猿っぽい【精霊】が転がしたのかな。残念そうな顔してる。


・・・


「あいー・・・」


「シッ! ミコト、静かに! ・・・静かにあれが通り過ぎるのを待つんだ」


・・・目の前を巨大な白い虎が道を横切っている。それを【サイコスルー】という透明になるスキルで隠れてやり過ごそうとしている僕ら。


・・・あの姿、あの巨体。僕らが緊急クエスト遭遇した【大邪霊 禍白虎】では?・・・いや、色が白だったから・・・本物の【白虎】? ・・・今の僕らじゃ見つかった時点で・・・終わりだな。このままやり過ごそう。


・・・


こんな感じで僕らは自然の驚異と【精霊】のイタズラという名の妨害を潜り抜けながら先に進んだ。


・・・後半はかなりヤバかったけど・・・


「着いたー!」


「あいー!」


何とか山頂にたどり着いた。


『試練クエスト【蓬莱山の山頂を目指せ!】をクリアしました』


===視点切り替え & 回想終了===>アルク


「・・・カッパが出た、だと?」


「引っ掛かるのはそこなんですか?」


そこは重要だろう・・・どうやらカッパは【精霊】枠だったらしい。まあ、それはそれとして・・・


「【白虎】もいたのか・・・」


「そうですね・・・多分、【大精霊】クラスだと思います。・・・【白虎】以外にもいましたけど」


・・・どんな魔境? いや、秘境? さすが【蓬莱山】という所か。


「で、その山頂なんですが・・・」


そう言ってアスターは続きを話し始めた。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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