アシュラの場合:武芸神の舞
===視点切り替え & 回想===>アシュラ
「【竜撃乱舞】!!」
「【青竜乱舞】!!」
・・・拳の打ち合いでも完全に負けてるっす! なんでこっちの攻撃は全然当たんないのにあっちの攻撃には当たっちゃうんすか!?
「取り乱さない! 動揺しない! 目の前の敵に集中するさね!!」
おまけにアドバイスまでされる始末っす! 確かに鍛えてくれるって言ってたっすが・・・屈辱っす!!
「常に相手の隙を見逃さない! 攻撃する時は常に次の攻撃を意識する! 攻撃と防御は同時にするさね!!」
「そんな一遍に全部できないっすよ!?」
どんどん要求が上がっていくっす!
「だったら出来るまで練習、練習!! 頭で考えられないなら、体で覚えるさね!!」
・・・ひえー、どうやら【武芸神ウィシャス】様のスパルタスイッチが入ってしまったみたいっす!!
「【竜手刀】!!」
「【緑竜手刀】!!」
・・・駄目っす! こっちの攻撃は完全に読まれてる上に似たような技で返されてしまうっす!
・・・このままじゃジリ貧っす・・・こうなったら、一か八か・・・ボクの最大の攻撃をぶつけてやるっす!!
「【竜闘気】発動っす!!」
取得したばかりの種族スキルを使うっす。全身からオーラが溢れてくるっす! これでボクのステータスは劇的に上がったはずっすが、あくまで一時的っす。しかもスキルが解除されたらステータスがしばらく下がってしまうっす! まさに諸刃の刃っす!!
「・・・む・・・賭けに出たのかい」
そうっす。この一撃が効かなかったら打つ手無しな上、敗北必至っす。ルドラとの【精霊憑依】ももう限界に近いっす。
だから、この一撃に全てを賭けるっす!!
「【双竜滅殺撃】!!!」
ボクの全パワーを乗せた両手パンチっすよ!!
「・・・良いねぇ。気合の篭った良い拳だ!【天竜覇動撃】!!!」
対する【武芸神ウィシャス】様も金色に輝く両拳を放ってきたっす! 最後の最後までボクの攻撃に合わせてきたっす!!
「でぇやあああああ!!」
「はあああああああ!!」
双方の拳のぶつかりあい・・・でもその結果は・・・
「・・・あぐぁっ!!」
・・・完全にボクの負けっす・・・
『試練クエスト【武芸神ウィシャスを倒せ!】をクリア出来ませんでした』
・・・
「いやー、参ったっす! ボクの完敗っす!!」
「まうー・・・」
「アッハッハ! 神に勝とうなんざ百年早いさね!・・・あ、これ美味い!!」
対戦を終えて・・・まあ、ボクらの負けなんすが・・・死に戻る前に【武芸神ウィシャス】様に復活させてもらったっす。なのでお礼にアーニャちゃんに作ってもらったお菓子をふるまったっす。アーニャちゃんの料理は神様も認める美味しさっす!!
「アンタも中々の腕前さね。アタイを前に5分以上立っていられた奴は久しぶりさね。それに何度やられても立ち向かってくるその根性! アタイの見込みどおりさね!!」
・・・やっぱりこの神様、スパルタっす。
「というわけで、アンタにアタイの【加護】をやるさね!!」
「え? くれるんすか? クエストクリアできなかったっすよね?」
「細かい事は気にしなさんな!!」
・・・細かくは無いと思うんすが・・・くれるっていうんなら喜んでもらうっす!! あ、なんだか右手が光りだしたっす・・・真ん丸に縦棒を貫くような・・・あ、これ知ってるっす! ギリシャ語のΦ(ファイ)って文字みたいっす! 仮○ライダーで知ったっす!!
さっそく【メニュー】を開いて確認するっす。
【武芸神ウィシャスの加護】
武芸神の加護により【竜闘技】の力を増幅させる。
任意で発動可。
再発動時間:24時間
・・・おお、なんだか凄そうな【加護】っす。
「その【加護】はごく限られた時間だけ、技の威力がアップするさね。使いどころを間違うんじゃないよ?」
「はいっす!!」
内容を見る限り一日一回くらいしか使えないみたいっすからね・・・いざという時使えるように。気をつけないといけないっす。
「さらに・・・これを渡しておくさね」
そう言って【武芸神ウィシャス】様から渡されたのは・・・巻物? みたいっす。
【武芸神の奥義書 ☆13】
武芸神が扱う【竜闘技】の奥義が書かれた書物。
「え、ええー!?【武芸神ウィシャス】様、これって・・・」
「弟子になったお祝いさね。おっと今開くんじゃないよ。帰ってからじっくり読みな。それと読んだからってすぐに会得できるとは限らないからね」
・・・何時の間にか弟子にされてるっすが・・・これは良い物を貰ったっす! 一体どんな事がかかれてるんすかね? 【武芸神ウィシャス】様が使ってた技とか使えるようになると良いんすが。
「さらに試練を追加さね」
試練クエスト【闘匠八武衆の奥義書を収集せよ!!】
達成条件:【闘匠八武衆】から奥義書を入手
進捗:1/8
制限時間:無し
「・・・【闘匠八武衆】・・・っすか?」
「そうさね。アタイを含む、武を極めた8柱の神。そいつらから奥義書を頂戴してくるさね」
・・・なんだか、凄い事になってきたっす。
「そ、その神様たちはどこにいるっすか?」
「さあ? どいつもこいつも神の力を封印して、修行の旅をしているさね。どこにいるかは自分で探しな」
むぅ・・・これは大変なことになってきたっす。でも【闘匠八武衆】の神様たちから【奥義書】をもらえたらボクももっと強くなれると思うっす!!
「・・・よーし! やってやるっす!! ルドラもよろしく頼むっす!!」
「まう!!」
ルドラも燃えてるっす! もっと強くなって【武芸神ウィシャス】様にリベンジするっす!!
「不屈の闘志・・・良いねぇ・・・頑張んな」
「はいっす!!」
このあと【武芸神ウィシャス】様と色々お話をしてホームへと戻ったっす。
===視点切り替え & 回想終了===>アルク
「・・・似たような神様があと7柱もいるのか・・・」
【闘匠八武衆】ね。・・・暑苦しい・・・おっとこの言い方は失礼だな。熱血指導してくれる先生が他にもいるのっていうのは喜ばしいこと・・・なのか?
・・・若干、俺も会って見たいなーと思ったのは内緒である。実力があることは間違いないわけだし、手合わせ願いたい所だ。・・・ただ、俺まで体育会系のノリでしごかれたくないので、あんまり積極的には会いたくない気もする。
それにしてもアシュラ、完敗したって言う割りに元気だな。立ち直りの早さは見習うべきか。
「・・・それでアシュラ。貰った【奥義書】は読んでみたのかい?」
「・・・それが・・・全然読めないっす。・・・アスターも見て欲しいっす」
と言って例の【奥義書】をアスターに渡すアシュラだが・・・おいおい。
「・・・その【奥義書】って僕に見せても良いの? だって【奥義書】だよ?」
普通、【奥義書】って門外不出で他の誰にも見せたりしちゃいけないものだよな?
「全部見せなきゃ大丈夫って【武芸神ウィシャス】様が言ってたっす。一人で解読するのは難しいから誰かに相談で見せる程度ならオッケーだそうっす」
・・・解読? どういうことだ。【奥義書】を開いて見たアスターも???って顔しているが。
「・・・なにこれ? なにかの記号? それとも暗号?・・・僕には分からないな。・・・アルクさんも見てもらえますか?」
そう言って【奥義書】を渡されたので中身を見てみる。
「・・・これ、梵字じゃん・・・」
梵字というのは・・・確か古代インドの言語、サンスクリットの文字・・・だったかな。仏教を始めとした色んな宗教で使われていると聞いたことがあるが・・・なるほど、神様が記した書物ならある意味納得だ。
・・・問題なのはこれを読める奴がいるかってことだ。
「サンスクリットが分かる人ー?」
メンバー内で聞いてみるが・・・誰も手を挙げない。当然俺も手を挙げられない。
「・・・と言うわけでアシュラ。解読頑張れ」
「そんなぁー・・・」
大丈夫大丈夫。今時はネットで調べればちゃんと文字の説明や翻訳とか乗ってるから。・・・文法とか難しいらしいけどな! まあ、まったく未知の異世界言語とかよりマシだろう。
うんうん唸っているアシュラを無視してアスターを見る。
「では、最後は僕ですね」
いよいよこの報告会も残す所、あと一人となった。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




