アーニャの場合:地の支配者
===視点切り替え & 回想===>アーニャ
「ふにゅー・・・ここはどこなのです?」
「キュイ?」
「キュアー・・・」
「キュウ、キュウ」
アーニャたちは今・・・よくわからない場所にいるのです。
「ここは・・・島なのです? それとも・・・お山なのです?」
アーニャたちは今、お山みたいに高いところにいるのです。広くて高いお山なのです。遠くに雲も見えるので、多分雲の上にあるお山のような島だと思うのです。ただ・・・
「何にもないのです・・・困ったのです」
お山みたいなのですが、草も木もなんにも生えていないのです。誰かいる影も気配もないのです。
「・・・そもそも、このお山、おかしいのです。地面が異様に硬いのです」
地面をコンコン叩いてみるのです。地面は緑色で鉄の様に硬いのです。こんなお山じゃあ、ピクニックは出来ないのです。
「うにゅー、アーニャたちはどうすれば・・・あわわわわわ!? じ、地震なのです!?」
「キュイー!?」
「キュア!?」
「キュウー!?」
突然地面が揺れ始めたのです! 立ってられないのです!!
「キュイ!キュイ!」
「どうしたのです、ブランちゃん・・・うにゃーーー!!」
なんか出てきたのです! アーニャたちのいるお山のすぐ近くの雲の中からなんかでっかいものが出てきたのです!!
なんなのです!? 火山の噴火みたいにでっかいなにかがどんどんお空へと延びていくのです!!
・・・あ、止まったのです。・・・と、思ったらでっかいものの先っぽが・・・こっちに向かってくるのです? そこでアーニャにもようやくわかったのです。
「お顔なのです!! でっかいドラゴンのお顔なのですー!!」
そうなのです。雲から飛び出てきたのはでっかいドラゴンの頭だったのです。とんでもなくでっかくて長い首を曲げながらアーニャたちに向かってくるのです!!
「はわわわわわ!!・・・ど、どうすれば良いのですーーー!?」
大パニックなのです! そんなアーニャを守るように【成体】化したブランちゃん、ノワールちゃん、テールちゃんが立ちふさがったのです。
「キュイ!」
「キュア!」
「キュウ!」
無茶なのです! あのドラゴンはお顔だけで【ヤマタノオロチ】よりもおっきいのです! 勝ち目なんてないのです!逃げた方が良いのです!
そうブランちゃんに言おうとした時なのです!!
でっかいドラゴンは動きを止めて、でっかい口を開いたのです。
「おおおおおおおおおおちいいいいいいいいいいいいつううううううううううううけえええええええええ!!!!!!!!」(特大エコー)
「ふぎゃーーー!!うーるーさーいーのーでーすー!!」
思わず耳を塞いでしまうのです! 声だけでビリビリするのです!!
アーニャが叫んだのを聞いたのかでっかいドラゴンは口を閉じて目も閉じたのです。
・・・ふー、なのです。どうやら食べられなくて済みそうなのです。・・・ところであのでっかいドラゴン、声が大きすぎてよく聞き取れなかったですが、もしかして落ち着け、と言ったのです?
と思ったら今度はアーニャたちの近くの地面がもりもり盛り上がってきたのです。
「こ、今度は何なのです!?」
気を付けながら盛り上がった地面を見ていると・・・
「ふぃー!!!」
なんか出てきたのです!!
「・・・ふー、分体なんぞ久しぶりぞ」
・・・出てきたのは小さいミニドラゴンだったのです。ブランちゃんたちの【幼体】くらいの緑色のちっこいドラゴンなのです。でもしっぽが地面と繋がっているのです。まるで地面から生えているお花の様なのです。
「良くぞ来た! 我がお前たちをここに呼んだ【幻獣界】の地の支配者、【地竜帝ドラント】である!!」
・・・ちっこいドラゴンがなにやら偉そうに自己紹介し始めたのです。【地竜帝】なのです?
「・・・貴方がアーニャたちを呼んだのです? じゃあ、あのでっかいドラゴンは何なのです?」
でっかい方のドラゴンを目を瞑ったままじっとしているのです。・・・眠っているのです?
「あれぞ我の本体だ。だがお前たち人間は小さい。本体で話すのは困難極まるゆえ、この姿の我・・・お前たちの大きさにあわせた分体で話をするのだ」
・・・なるほどなのです。確かにあんなでっかいドラゴンとお話なんてできないのです。耳が壊れちゃうのです。
「・・・わかったのです。アーニャはアーニャなのです! それにアーニャの【眷属】のブランちゃん、ノワールちゃん、テールちゃんなのです」
なにはともあれ、アーニャたちを呼んだ神様・・・神様? ドラゴン?に挨拶をするのです。
「キュイー・・・」
「キュアー・・・」
「キュウー・・・」
ブランちゃんたちが神妙に項垂れているのです。ノワールちゃんやテールちゃんはともかく、いつも元気なブランちゃんまで・・・珍しいのです。相手がドラゴンの神様だからおびえているのです?
「うむ、苦しゅうないぞ、楽にしろ」
それを見たちっこいドラゴンがブランちゃんたちに声をかけたのです。・・・あのでっかいドラゴンならともかく、ちっこい方のドラゴンが言うと子供が大人相手に偉そうにしてるように見えるのです。
「えーっと・・・【地竜帝ドラント】?様は【幻獣界】の地の支配者?なのです?」
どうやら話が通じるようなのです。聞きたいことは聞いておくのです。
「うむ、【幻獣界】の天、地、海を支配する三体の【竜帝】の内の一体だ。敬うが良いぞ」
・・・こんなでっかいドラゴンが他にもいるなんて驚きなのです。
「その【幻獣界】の地の支配者がなんで【神仏界】にいるのです?」
普通、支配者なら支配地にいるものだと思うのです。
「・・・お前、とぼけた顔をして直球で聞いてきよるな? まあ、良い。理由は二つだ。一つ、【ガティアス】から身を守る為、もう一つは我が【幻獣界】にその身を置けば世界のバランスを壊してしまう為だ」
・・・たしかにでっかいドラゴンさんはとっても強そうに見えるのです。アーニャたちは勿論、アルクさんたちを一緒でも歯が立たないと思うのです。もし【ガティアス】さんに取り憑かれでもしたら世界が終わるかもしれないのです。
「理由は分かったのです。でもそれで支配者としてやっていけるのです?」
「・・・本当に物怖じしない娘よな。我のいう地の支配者というのは【幻獣界】の島々の管理者という意味ぞ。【幻獣界】に生きる者たちの支配者、という意味ではない」
・・・? 良く分からないのです。
「【幻獣界】はお前も知ってのとおり、各島々で生息する者たちの強さが異なる。我ら天、地、海の【竜帝】は、それぞれの場所に、強さに見合った命が生まれてくるよう調整しているのだ」
「それは・・・何のためになのです?」
「無論、世界の存続のためにだ。【幻獣界】は様々な形の命が生まれる場所。生まれながらに強き命もあれば、長き年月を経て強者に到る命もある。弱肉強食が自然の掟なれど、それだけでは命が育つ事は無いのだ」
・・・【幻獣界】の各島にいるモンスターがレベルごとに分けられているのはそういうわけだったのです? 確かにLv.100のモンスターがエリア1・・・Lv.10前後のモンスターたちのいる島に出現したらモンスターたちはあっという間に全滅しているのです。
「そして我は【幻獣界】の地に生まれし者たちと、その者たちが生きる場所を調整するのが役目なのだ」
要するに【幻獣界】の生態系を維持している、ということなのです?
確かに【地竜帝ドラント】さんは地の支配者、なのです。
===視点切り替え & 回想終了===>アルク
「・・・山のようにでっかいドラゴンか・・・」
「・・・【幻獣界】の地の支配者・・・」
「・・・三体の【竜帝】の一体ですか・・・」
新情報のオンパレードだな。ラングの奴が喜びそうだ。しかも【幻獣界】のかなり重要な情報じゃないだろうか?
にしてもアーニャはドラゴンの神様か・・・てっきり料理系の神様か、美食的な神様かと思ったのに。やっぱりブランたちの影響かな? 本人もドラゴンが好きみたいだし。
・・・だが、問題はここからだな。果たしてアーニャはどんな試練を受けさせられたのか・・・
「では続きを話すのです」
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




