アテナの場合:天使の試練
===視点切り替え & 回想===>アテナ
「うわぁ・・・」
「ガオォ・・・」
【聖護神セラフィナ】についてしばらく飛んでいくと、前方の空に綺麗に整列している集団が見えた。
空に整列しているというのもおかしな光景だと思うけど、全員が背中に翼がある【天使】のようなのでそこまでおかしくは無い・・・かな?
その【天使】の集団たちはみんな武装していた。剣、槍、斧、弓矢などなど。西洋風の甲冑のような物も着ている。さらに顔まで覆い隠すような兜を被っているので表情が分からない。
「ここにいる【エンジェル】たちで貴方たちの力を試させてもらうわ」
【聖護神セラフィナ】がそう告げた後、アナウンスが入る。
試練クエスト【エンジェル軍団を倒せ!】
達成条件:【エンジェル】30体の撃破
制限時間:無し
試練クエスト?・・・そのまんまのネーミングね。それにしても・・・
「【エンジェル】? 【天使】ではないんですか?」
意味としては同じなんだけど・・・わざわざ使い分ける必要があるのかしら? 単に呼び方の問題? でも【聖護神セラフィナ】はさっき、私のことを【天使】って呼んでたし・・・
「ここにいるのは私の力で作りだした兵たちよ。【ゴーレム】や【式神】、もしくはロボットに近い感じかしら」
なるほど・・・なぜそんなものをわざわざ作って戦わせるのかしら? 神様だったら部下の強い【天使】くらいいると思うのだけど・・・もしかしてボッチ・・・
「試練のためとはいえ、戦い、傷つけあうのは私の望む所ではありません。本来、私の力は多くの者達を守り、癒し、浄化する為の物です。犠牲を出すような行為ははばかられます。その為の【エンジェル】たちなのです。あ、勿論、貴方たちが傷ついた場合は試練の後で回復してあげますのでご安心を」
・・・あ、そういう理由・・・うーん、どうやら心優しい神様、みたいね。私のことを気にかけてくれてるみたいだし・・・でも・・・
私は【聖弓レッドセラフ】を構える。
「・・・守る力は確かに重要よ。でも私はそれだけじゃ嫌・・・だから戦う力も求めるの・・・行くわよ、レオーネ!!」
「ガオ!!」
私の叫びにレオーネは雄雄しく応えてくれる。
「・・・よろしい、でははじめて下さい」
【聖護神セラフィナ】の言葉を合図に【エンジェル】たちが襲い掛かってきた。
「【ラピッドアロー】!!」
「ガオオオオ!!」
・・・
『試練クエスト【エンジェル軍団を倒せ!】をクリアしました』
・・・戦闘開始から5分ほど。【エンジェル】たちはそれほどレベルは高くなかったのか、割と苦労せず全滅させる事が出来た。私もレオーネもまだ余裕がある。
「さすがですね。では次の試練と行きましょう」
「え? まだあるんですか!?」
今ので終わりじゃなかったの!?
驚く私達に【聖護神セラフィナ】は良い笑顔のまま答える。
「試練というのはあくまで貴方を試すためのものですからね。貴方の強さだけではなく、気構えや性根を試すためのものでもあります。・・・なので貴方の限界を見せてください」
そういうとパチンッと指を鳴らす【聖護神セラフィナ】。同時に新たな【エンジェル】たちが姿を現す。
試練クエスト【アークエンジェル軍団を倒せ!】
達成条件:【アークエンジェル】20体の撃破
制限時間:無し
・・・なんだか【エンジェル】たちの装備が豪華になっているような?
「・・・当然ですが【エンジェル】たちは徐々に強くしていきますよ?」
・・・訂正、この神様、全然心優しい神様じゃなかった。
「・・・んもー! こーなったらヤケよ!! レオーネ! 【サンダーブレス】!!」
「ガオオオ!!」
先手必勝とばかりに【エンジェル】軍団に突っ込んでいく。
「フフフ、頑張ってください」
そんな私達を【聖護神セラフィナ】は変わらず微笑みながら見ていた。
・・・
その後も戦いは続いたわ。
試練クエスト【アルケー軍団を倒せ!】
達成条件:【アルケー】15体の撃破
制限時間:無し
「怒れる炎よ、渦巻く嵐よ、すべてを焼き払え!【大爆発】!!」
・・・
試練クエスト【エクスシア軍団を倒せ!】
達成条件:【エクスシア】10体の撃破
制限時間:無し
「あまねく太陽の輝きよ、灼熱の赤き炎であらゆる物を焼き尽くせ!【太陽の劫火】!!」
・・・
徐々に敵が強くなっていく中で、レオーネと協力しながら強力な【魔法】を駆使して勝ち抜いていったわ。戦いが終わる度に【聖護神セラフィナ】がHPだけじゃなくBPもMPも回復してくれるから毎回、万端の状態で戦いに望んではいるんだけど・・・それでも徐々に厳しくなっていったわ。
試練クエスト【ヴァーチャーズ軍団を倒せ!】
達成条件:【ヴァーチャーズ】5体の撃破
制限時間:無し
ガキンッ!
「クッ! 強い・・・」
敵の振り下ろした剣を【聖弓レッドセラフ】で受け止める。・・・駄目だわ・・・相手の方が力が強い。
「ガオッ!!」
と、そこへレオーネが割って入ってくれた。
「ありがとう、レオーネ!【雷獅虎襲撃】!!」
「ガオオオオオ!!」
巨大な雷の獅子が敵を倒す。
『試練クエスト【ヴァーチャーズ軍団を倒せ!】をクリアしました』
「ハァ、ハァ・・・」
「ガオォ・・・」
・・・敵は倒せたけど私もレオーネも疲労困憊だった。
「・・・そろそろきつくなってきましたか? とは言っても初めてでここまで戦ったのは貴方たちが初めてなので、そこはさすが、と言っておきますが」
【聖護神セラフィナ】が私たちを回復させながら、そう評価した。
・・・でも敵の名前・・・【天使】の階級から考えてあと4回あるはずなのよね。残りは【ドミニオン】【スローンズ】【ケルビム】【セラフィム】・・・かしら?
「どうします? 私としては十分に貴方の力は見せてもらったと思いますが・・・」
・・・ここで終わりにするか? と聞いているのかしら。
私はレオーネを見た。・・・その目の闘志はいまだ燃え尽きていなかった。・・・そうよね。諦めるなんて【アークガルド】らしくないわよね。
「・・・勿論、続けますよ。さあ、次を!!」
そんな私達に【聖護神セラフィナ】は微笑みながら指を鳴らした。
試練クエスト【ドミニオン軍団を倒せ!】
達成条件:【ドミニオン】3体の撃破
制限時間:無し
・・・試練の度に敵の数こそ減っていくものの、確実に敵は強くなっていき装備も強力なものになっていく。・・・それでも諦める理由はならない。
「太陽の紅炎よ!あまねく敵を焼き尽くせ!!【紅炎の嵐】!!」
赤く燃え上がる炎の嵐が敵を包み込んだ。
・・・
『試練クエスト【ドミニオン軍団を倒せ!】をクリアできませんでした』
===視点切り替え & 回想終了===>アルク
「【天使】・・・いや、【エンジェル】軍団との連戦か。それは確かにきついな」
【精霊界】であった緊急クエストに似ているな。・・・だが、一戦終わる度に回復していたにも関わらず途中で力尽きたってことは相当きつかったんだろうな。
「ええ、私達は【ドミニオン】を2体まで倒して、残り1体となった所で力尽きてしまったわ。回復アイテムはまだ残ってたんだけど・・・そんな隙を敵が見逃してくれるわけないわよね」
苦笑しながら報告してくれるアテナ。
確かに回復については色々問題がある。なんせ回復アイテム・・・【ポーション】を飲んでる時は無防備そのものだ。敵からしたら良い的である。
残りの回復方法としては【回復魔法】があるが、あれはHPしか回復できない上にMPを消費するから、MPが残っていない状態では当然使えない。・・・まあ、アテナの場合は強力な【魔法】を使いすぎてMPがすっからかんになってるからでもあるんだが。
「幸い、死に戻る前に【聖護神セラフィナ】が回復してくれたからその場で復活したんだけどね。・・・回復と言うより蘇生かしら」
アテナはそう言って話の続きをはじめた。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




