表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
252/797

帰還

【フツノミタマ】・・・見た目は掌サイズの真っ白い玉だ。大きめの丸い卵みたいだ・・・表面はつるつるだが。


【フツノミタマ】と言えば布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)・・・建御雷神という神様が使っていたといういわゆる神剣・・・つまり剣のはずなのだが、どう見ても剣には見えない。おまけに使用不可。何故だ。


「言ったであろう? 神の力をそう簡単に手に入れられると思うな」


確かに言ってたが・・・逆に言えばこれも神の力っていうやつか。参加賞・・・とは思えないレアリティだが・・・負けた俺が貰えたってことは、何とかして使えるようになれば次に戦うときに有利になるってことかな。


「まあ、それを使えるようになった人間は今までいないんだけどねー」


・・・おい、今聞き捨てならないこと言った神様がいたぞ。


「それは入手難度より使用難度の方が高いんですよ。だからこそ手軽に渡しても問題にならないとも言えますね」


・・・まあ、渡しても使えないんじゃ確かに問題にはならないだろうけどな。


「ハッハッハ!・・・それも試練だ!!」


・・・ぶん殴ってやろうか、この神様。・・・あ、駄目だ。殴ってもダメージ0だった。


・・・まあ、全く使えないってわけではないみたいだから貰っておこう。案外簡単に使えるようになるかもしれないし。


「・・・だう?」


俺が【収納箱(アイテムボックス)】にしまおうとしたところでアウルが何故か【フツノミタマ】を見ている。・・・興味があるのか?


ならば、と【フツノミタマ】をアウルに渡してやる。


「だう~♪」


「クルー?」


アウルは【フツノミタマ】を両手に持つと楽しそうにアーテルに見せにいった。・・・なんか綺麗な小石を見つけて親に見せにいく子供みたいだな。まあ、気に入ったのならしばらくはアウルに持たせておこうか。


「・・・では最後に【ガティアス】の事ですが・・・」


と【月光神ツクヨミ】が切り出した。・・・そういえば、神々は【ガティアス】を倒す為に人間と協力しているんだよな?


「【ガティアス】の正体は我々にもわかりません。ですが、神々にとっても【ガティアス】は危険な存在であることには変わりありません。なので【ガティアス】を倒す事のできる人間に力を貸してきました。・・・ですが【ガティアス】はより強い力を持つ者に惹かれてやってくる傾向にあります。故に貴方の前にもより強い【ガティアス】が現れるようになるでしょう」


・・・できれば聞きたくなかった情報だな。


「勿論【ガティアス】を倒してくれるのならそれに越した事はないけど無理はしないでいいからねー? いざとなったら私達も協力を惜しまないからー・・・とは言っても私達だって取り憑かれる危険があるからそう簡単には下界に下りたりとかはできないけどねー・・・せいぜい、より強力な加護を渡すくらい?」


・・・神様に取り憑いて襲ってくるなんてゾッとしないな。だが力を貸してくれるのは素直にありがたい。・・・若干良い様に使われているような気がしないでもないが・・・それはお互い様か。


「しかし、加護を渡すのはそれ相応の働きをする者に限る。いかに【ガティアス】を倒せる強き者であろうと、加護を用いて悪事を働くようであればその加護を取り消す事もありえるからな」


その話はここに来る前にも聞いたな。まあ、神様の力を悪事に使っちゃったら当たり前だが。


「なるほど・・・分かりました」


ここでも【ガティアス】に関する新しい情報は手に入らなかったか・・・加護や祝福をもらえただけ良しとするしかないな。


・・・とりあえず話はこれで終わったかな。


「・・・ではそろそろ本当にお暇しますね」


最後にどっと疲れたのでそろそろホームに帰って休みたい。・・・いや、マジで。


「えー!?」


そして相変らず不満そうなククリ。なんとなく頭をなでてしまう。


「・・・えへへー♪」


・・・機嫌直った?・・・お手軽で助かる。


「残念だけどしょうがないわねー・・・えい!」


【太陽神アマテラス】が指を鳴らすと門が現れた。【始まりの地】で見た【謁見の門】と同じだ。・・・どうやら帰り道は神様に用意してもらわないといけないらしい。


ということで俺、アーテル、アウル、カイザーはこの地で会った神様たちと向かい合う。


「・・・精進しろ。努力した分だけ技は応えてくれる」


【勇天ストラッシュ】・・・中々良いことを言うじゃないか。


「速さを極めなさい!どんな力も当たらなければ効かないのよ!!」


【俊天アクセル】・・・言ってる事は分かるが極端すぎ。


「・・・まあ、ほどほどにね。戦ってばかりじゃ疲れるよ?」


【全天エレメント】・・・君は単にサボりたいだけだろう?


つづいて三柱神。


「貴方は聡明ですが、まだまだ見識が足りません。広く世界を見て回りより広い視野を持ってください」


【月光神ツクヨミ】・・・中々深いことを言ってくれる。


「【神仏界】以外にもー、邪神や悪神がいたりするからー、十分に注意してねー?」


【太陽神アマテラス】・・・なに盛大にフラグ立ててくれてんの?


「強さを求めることを怠るな。強くあろうとする心を忘れるな。・・・そしてその強さで何を行うのか、常に考えよ」


【戦闘神スサノオ】・・・結局強くなれってことだよな?・・・いや、強さだけじゃ駄目だって言いたいのか?


まあ、神様からのアドバイスだ・・・素直に受け止めよう。


「ククリもー! ククリもおにいちゃんになにかいうー!!」


ククリよ・・・なにかいうって・・・別れの挨拶だよ?


「んーっと・・・んーっと・・・」


おお悩んでる悩んでる・・・そんな悩むようなことか? なにか良い事言おうとしてるんだろうか?


「・・・」


・・・おいおいなんか黙り込んじゃったよ?


「おい、ククリ? また会えるんだろうしそんな悩むことじゃあ・・・」


「・・・貴方は・・・」


お、ククリが話し出した。・・・なんで目を瞑ったままなんだ?


「貴方は既に運命に出会っている」


・・・なんかククリの様子がおかしいんだが・・・


「でもその運命は宿命によって縛られている」


運命? 宿命? ・・・意味深だな。


「その宿命を断ち切る力を貴方は持っている」


あの・・・ククリさん? 俺はそんなご大層な力なんて持ってませんよ?


「でもその力の矛先を間違えないで」


・・・一体何の話をしているだ?


「貴方の決断は取り返しのつかない悲劇にもつながるから」


・・・取り返しのつかない・・・悲劇?


・・・あ、ククリが目を開いた。にぱっと笑っている。


「・・・でもおにーちゃんならきっとだいじょーぶだよ!!」


・・・どうやら元のククリに戻ったみたいだが・・・一体何だったんだ?


「・・・【縁結神ククリヒメ】からのアドバイスよー。まあ、深く考えず心に留めていれば良いわー」


深く考えるなって・・・いやいや、かなり気になるんだが? アドバイスって一体、なんに対するアドバイスなんだ? 不安になる。


・・・当のククリは・・・にこにこ笑っている。・・・先ほどまでとは別人・・・別神?のようだ。二重人格か? これはククリ自身も何を言っているのかよく分かってないな。


・・・クッ・・・さすが神様・・・意味深な事を言ってこっちを翻弄してくれるぜ。・・・まあ、ククリ自身が大丈夫って言ってるんだから大丈夫なんだろう。・・・多分。


「・・・じゃ、じゃあ俺たちは戻りますね。お世話になりました」


「クルー!!」


「だう!!」


「・・・デハ、マタイズレ・・・」


こうして俺たちは神々に見送られる中、門をくぐって【高天原】を去っていった。


作者のやる気とテンションを上げる為に


是非、評価をポチっとお願いします。


m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ