気になること
「・・・それで戦闘中に言ってたことなんですけど・・・」
「む? ・・・何か言ってたか?」
言ってただろ。わざとじゃないかっていうくらいわざとらしいフラグ的な話を。
「・・・まず、【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】が真の姿ではないっていうのはどういうことですか?」
「ああ、そのことか。・・・【亡霊武者】は知っているな? 【ヤマタノオロチ】を封印した【不死山】はかつて【ヤマタノオロチ】と戦い、命を落とした戦士たちの亡霊が彷徨っている。かつての戦士たちの武具もそのままだ。強い念と長き年月を経て変化した武具・・・それがお前の使っている刀だ。我らの結界の影響を受けて浄化の力に特化したのが【霊刀】、【ヤマタノオロチ】の妖力によって変化したのが【妖刀】と言うわけだ」
・・・ちゃんとした由来というか原点があったのね、【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】。
「その【霊刀】や【妖刀】はさらに強い力を受ければより強い刀へと進化できる。いうなればお前の使っている刀は完成形ではなくまだまだ未成熟な刀、ということだ」
だから真の姿ではない、ね。
「・・・なるほど。それでどうすれば完成形になるんですか?」
「それは自らの力で探すのだ」
・・・やっぱりかい。まあ思いつくのはレイドクエストをもっと高難易度でクリアしたときの報酬かな。
「では【クランメカロイド】については?」
【戦闘神スサノオ】はアークカイザーを見て、人の手により作られし機神と言った。どう見ても機械に聡いようには見えないのに、まるで何か知っているかのような口ぶりが気になった。
「・・・」
カイザーも興味深そうに耳を傾けている。カイザーはメモリーを破損していて・・・いわゆる記憶喪失状態だからな。
「む?・・・【クランメカロイド】とやらは対【ガティアス】用に作られた【兵器】なのだろう? 神々としても興味深いのは当然であろう?」
そういえばそうだったな。【ガティアス】は神々も警戒する敵なんだから、興味があって当然か。だがその口ぶりからするに・・・
「・・・その様子では知ってはいるけど詳しくはない、と言う感じですか?」
ここで答えたのは【戦闘神スサノオ】ではなく【月光神ツクヨミ】だった。
「期待を寄せている、という意味では注目していますが、確かに詳しいというほどではないですね。そもそも、【クランメカロイド】というのは人にしか使えないようで、神々の戦力になる、と言うわけではないですから」
人にしか使えない?・・・ああ、【クランメカロイド】はクランに対しての【眷属】という特殊な扱いだから、使用できるのはクランに属する者・・・つまりプレイヤーだけってことになるな。
自分たちに使えないんだったら確かに詳しく知らないのも無理ないかもしれない。
「とは言ってもー、【クランメカロイド】の製作には神々もかかわってるって噂だからー、全く無関係と言うわけでもないわー」
・・・さっきからさらっと爆弾発言をしてくるよな、【太陽神アマテラス】。
「アマテラス! 口を滑らしすぎですよ!! 第一、その話はあくまで噂であって真偽の確認は取れていないでしょう?」
あ、真偽がわからない噂程度なんだな。・・・神様たちでも噂なんてするんだ。
「だが十中八九いずれかの神々がかかわっているのは間違いないだろう」
「・・・それはまたなんでそう思うんですか?」
「うむ、その性能のみならず、武器を巨大化して再現、スキルの増幅など通常では考えられん」
それは俺も思ったな。【クランメカロイド】は特殊な武器の能力もそのまま再現できるし、搭乗者たちの【魔法】も増幅できるが、どういう原理なのかはさっぱりだ。
「実際に手合わせしてみてその有用性は良く分かった。叶うならより多くの【クランメカロイド】を揃え、対【ガティアス】用に備えて貰いたいところだ」
言いたいことは分かるが・・・ラングの話だと【クランメカロイド】を入手しているクランはそれほど多くはないらしい。実力派のクランは大抵入手しているらしいが・・・
うーん、【クランメカロイド】について何かわかるかと思ったが余計に謎が増えたな。
これは今度また、カイザーとアヴァンを交えて相談だな。
「では、【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】の真の力を引き出せていないっていうのは?」
「それはお前自身もわかっているんじゃないのか?」
そう言って【戦闘神スサノオ】の視線がアウルに向かう。
「だう?」
当のアウルは【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】の修復で若干お疲れのようだ。よしよし。
「その大剣と鎧には特殊な力が宿っている。しかし、お前はその力を引き出せていない。その力を引き出せれば俺に傷をつけることが出来たかもしれんぞ」
確かに【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】のSLOTには【剣鎧の精霊】という項目はあるが・・・どういう力なのか不明なんだよなぁ。
だが、その力を使えばクエストクリアできたかもしれないと言われたら調べる価値は十分にあるだろう。・・・手掛かりは【剣鎧の精霊】であるアウル本人しかいないが。さらに当の本人も良く分かっていないみたいだが。
・・・総合すると俺はまだまだ未熟ってことだな。
「だが俺に傷こそ付けられなかったが力は十分に見せて貰った。・・・【堅牢厳敵】もすぐに破れるようになるだろう。・・・どうだ? 俺としては報酬を渡しても良いと思うが?」
・・・さっきの【神刀クサナギ】とやらを? これはまた意外な申し出だが・・・これは・・・試されてるな。
「・・・温情はありがたいのですが自分たちは負けた身です。・・・にも関わらず報酬を寄越せなどと言えるはずもありません。・・・それに試練はまた受けることができるのでしょう? であるならば自力で試練をクリアできるようになりたいと思います」
と優等生発言してみる。・・・ほとんど本音だが。【神刀クサナギ】は喉から手が出そうになるほど欲しいが、今貰わなくてもクエストクリアまでもう少しだったのだったら、やはり実力でクリアして手に入れたい所だ。
「ハッハッハ! その意気や良し!! まあ、そう言うとは思ったがな。・・・では代わりにこれをくれてやろう。お前たちが言う所の・・・参加賞と言ったところか?」
そう言って【戦闘神スサノオ】が取り出したのは・・・手の平サイズの玉だった。一体何なのかわからないが・・・報酬ではなく参加賞か・・・そういわれると受け取らないのも失礼か。
「・・・ありがとうございます」
そう言って玉を受け取る。早速【鑑定】。
【フツノミタマ ☆13】
???????????????????????????
使用不可
覚醒率:0%
・・・謀られた! ☆13って絶対参加賞じゃないだろう!! いや、使用不可っていうのが良く分からんが。しかも【フツノミタマ】って!!
【戦闘神スサノオ】はニヤリと笑った。
「その【フツノミタマ】は今はまだ使うことが出来ん。眠っている状態だからな。しかし、目覚めさせることができればお前にとっても強き力となるはずだ」
「・・・でその目覚めさせる方法っていうのは?」
「それは自分の力で見つけるのだ」
・・・そればっかりだな。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




