敗北の理由
「スサノオ相手に10分持つなんてすごいわー。そんな【人間】は今までいなかったわよー?」
【太陽神アマテラス】に慰めの言葉を掛けられる。
「うんうん、おにいちゃんは頑張った! すっごく頑張ったよ!!」
ククリからも・・・気を使わせてすまん。
「クルー・・・」
アーテルも落ち込み気味だ。役に立てなかったと思ってるんだろう。しかしそれは俺の指示ミス・・・一番役に立たなかったのは俺なんだから気がするな。
「現在、修復率60%・・・」
【ヒューマロイド】形態に戻ったカイザーも吹っ飛んだ手足を自己修復中だ。その姿は見るからに痛々しい。あんな姿になるまで戦ってくれたのに・・・すまない、カイザー。
「だうー・・・」
アウルには【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】を修復してもらっている。・・・ヒビの入った【攻鎧アルドギア】はすぐに直ったが、砕け散ってしまった【豪剣アディオン】は直すのに時間がかかるようだ・・・直るだけマシだが・・・すまん、アウル。そしてありがとう。
「まったく・・・やり過ぎですよ」
【月光神ツクヨミ】には先ほど同じく【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】を直してもらっている。・・・お手数かけて申し訳ない。
「ハッハッハ、戦士に手抜きなど無礼! 強き者相手ならなおのこと!!」
偉そうにふんぞり返る【戦闘神スサノオ】。いや、アンタはもう少し手加減を覚えた方が良い。
「・・・」
そして・・・膝をつき、orzな状態な俺。
はい、落ち込んでます。クエスト失敗は・・・まあ、仕方がないだろう。負けることが許されぬ身なれど勝つばかりとは限らぬって誰かが言ってたし。毎回毎回クエストクリアできるとは限らない。死に戻らなかっただけマシだろう。
ただなぁ・・・クエストの内容がなぁ・・・。
傷一つ負わせられないなんて初めてだ。いくら相手が神様とはいえ、【豪剣アディオン】を使い、【勇天の一撃】や【精霊憑依】、【帝釈天の勇撃】を使ってもこの結果とは・・・最初から勝ち目なんてなかったのか?
「いや、実際のところ、かなり惜しかったぞ?」
「どこが?」
そんな見え透いたお世辞は不要、まして勝者に慰められるとは・・・屈辱。
「やはり、気が付いていなかったか。俺は戦闘開始と同時に【堅牢厳敵】というスキルを使っていたのだ」
「【堅牢厳敵】?」
なんだそのスキルは?
「【堅牢厳敵】は敵からのダメージを0にするスキルだ。一定以上のダメージを受けると効果は消えるがな。それに攻撃系のスキルも使えなくなる。・・・累積ダメージを一定以上受けると砕けるバリアーと言ったところか」
・・・そんなスキルを使っていたのか・・・だからあれだけ攻撃しても効果がなかったのか。・・・いや、正確には目に見える効果がなかっただけで実際には効果があったみたいだが。
・・・スキルを使わず徒手空拳で向かってきてたのはこちらを見くびってたからじゃなかったのね。まあ、どちらにせよ実力差は歴然だったけど。
俺はorzな状態から立ち上がり、【戦闘神スサノオ】と向き合う。
「つまり、今の戦いは【堅牢厳敵】を破れるかどうかが肝だったということですか・・・そして【堅牢厳敵】を破ってからが本番だった、と・・・」
「ふむ、そういうことだな」
さしずめ今の戦いは【戦闘神スサノオ】と本気で戦う資格があるかどうかのテストといったところか。
そして俺たちはそこまで届かなかった、と。・・・いや、惜しかったということはもう少しだったのか? ・・・いや、どちらにせよ最後の攻撃の時点で精根尽きていたから結果は一緒か・・・
「ちなみに【敵状看破】というスキルを使えば俺が【堅牢厳敵】を使っている状態だとお前にもわかったはずだ。【スキル看破】というスキルを使えばどんなスキル効果かもわかっただろうしな」
敵の状態がわかるスキルか。なるほど・・・最初にそれらのスキルを使って【戦闘神スサノオ】の状態がわかっていればそれなりの対応ができたということか。・・・と言ってもそんなスキル持ってないんだけどな。
それにそんなこと関係なく全力で攻撃してたから、あれ以上のダメージを与えられたかと言えば疑問も残るし。
「それを知らず戦い続けたのはお前が初めてだ。大抵の者は最初の一撃が効かなかった時点で心が折れるか、俺の一撃で終わるかのどちらかだからな」
・・・それはアンタが強すぎてアンタのスキルが強力過ぎるからだと言いたい。・・・負けた言い訳にもならないから言わないが。
結局は俺の実力不足か・・・まあ、絶対に勝ち目がないというわけではない、と分かっただけでも良いか。もっとレベルを上げてリベンジだな!
「・・・ふむ、立ち直りが早いな。それも一流の戦士の証か・・・」
某アメフト漫画で一流の選手はあらゆる努力を払い速やかに立ち上がろうとするって言ってたしな。いつまでも横たわっている敗者にはなりたくない。
「・・・でも僕たちのスキルを使っても届かなかったのはくやしい」
「そうね! これじゃあアタシたちが何のためにいるのかわからないし!!」
「・・・無念」
と【天凱十二将】の三柱、【全天エレメント】【俊天アクセル】【勇天ストラッシュ】がぼやいてる。【天凱十二将】のスキル・・・天より勝ち戦を約束された神々のスキルでも【戦闘神スサノオ】には届かなかったからな。
・・・まあ、【全天エレメント】【俊天アクセル】【勇天ストラッシュ】のスキルは俺自身のステータスの高さに左右されるからな。単純に俺のレベルが足りなかったか。
「ハッハッハ、いかにお前たち【天凱十二将】のスキルを使うとは言え、十二将すべてのスキルを集めきっていないのだ! まだまだ負けるわけにはいかん!!」
・・・その言い分だと【天凱十二将】のスキルを集めれば【戦闘神スサノオ】も倒せるっていう風に聞こえるんだが・・・それほどのスキルなのか。
「そもそもスサノオは戦闘の神、戦闘に関しては【神仏界】でも一、ニを争う実力者です。そう簡単には・・・」
あ、【月光神ツクヨミ】が二刀を持ってやってきた。
「刀の修復、ありがとうございます」
「いえいえ、元々はスサノオがやらかしたことですからね」
じとーっと【戦闘神スサノオ】を見る【月光神ツクヨミ】。当の【戦闘神スサノオ】はまったく気にしていないが。
しかし、【戦闘神スサノオ】は【神仏界】で一、二を争う実力者だったのか・・・いわば【神仏界】のラスボスに近いってことか。・・・そりゃ勝てねぇわ。
・・・まあ、諦めるつもりはないけどな。
「クルー!!」
「だう!!」
「・・・修復完了シマシタ」
お、【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】の修理も終わったか。カイザーの手足も戻っているし・・・良かった。
「・・・ふむ、やはり【眷属】たちも普通ではないな。【天龍馬】に【剣鎧の精霊】、それに【クランメカロイド】か」
・・・神様からみても特別なのか・・・まあ、【ユニーク眷属】と特殊なクランの【眷属】だからな。
・・・しかし、それでも【戦闘神スサノオ】には届かなかった。
だが、まったく勝ち目がなかったわけではない。
とりあえず俺のこのゲームの目標の一つが打倒【戦闘神スサノオ】に決定した。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




