巨神 vs 巨大ロボット
「・・・なんかどこぞの映画のサブタイトルみたいだな」
「クルー?」
「だう?」
「・・・いや、なんでもないんだ」
つい今日のタイトルに文句を言ってしまった(メタ発言)。
現実逃避とも言う。・・・いや、ゲームの世界なんだから現実では無いのか?・・・しかし、目の前の巨大化した神様は間違いなくいるわけで・・・やっぱり現実逃避だな。
「どうした!? かかって来い!!」
あー、はいはい。・・・目の前にはアークカイザーと同じ位の大きさまで巨大化した【戦闘神スサノオ】の姿が・・・巨大化して一層元気になったような気がするな。
とはいえどうするか・・・
【勇天の一撃】を受けて無傷となるともう既に勝ち目が無い気がするんだが・・・かといって逃げ場も無いし・・・ハッ!もしや【太陽神アマテラス】や【月光神ツクヨミ】が結界を張ったのはそのためでは!?
「あらー、張り切っちゃってるわねー」
「やり過ぎです。結界、持つでしょうか・・・」
・・・ワザとではなかったらしい。【戦闘神スサノオ】は思ったよりハッスルしているようだ。このままでは・・・
「来ないのならこっちから行くぞっ!!」
「うおっ!!」
「緊急回避シマス!!」
【戦闘神スサノオ】のパンチを避ける。スキルではないただのパンチだ。・・・空を切った拳から突風が吹き荒れているような気がするが。
スキルを使わないのもハンデのつもりか・・・?
「【ダブルラッシュパンチ】!!」
俺たちはパンチの連打で応酬する。だが・・・
「・・・!?」
当たらない!? 【戦闘神スサノオ】は一歩もその場から動いていないのに、こちらのパンチの軌道が逸らされる!
「化剄か!!」
「ほう、良く知っているな」
化剄とは簡単に言えば相手の攻撃を逸らして無力化する技術のことだ。言うのは簡単だが、相手の攻撃を完全に見切り、最小限の動作と力加減で敵の攻撃を払いのける繊細さが要求される。そう簡単にできるような技じゃないのに・・・
「もっともこれはスキルではなく、自前の技術だがな・・・ほれっ!」
こちらのパンチをすり抜け、逆に向こうのパンチが迫ってくる。BPは・・・よし、多少は回復してるな。
「【ガードアーマー】!!」
スサノオのパンチを防御スキルで固めた左腕で受け止める。
「・・・カイザー!」
「損傷軽微・・・問題アリマセン」
・・・やはり手加減されているな。腹が立つ。
「【クラウドドライブ】で空を飛ぶ!!」
「了解」
空へ急上昇し、【戦闘神スサノオ】から距離を取る。【武術】が駄目なら【魔法】はどうだ!
「【シャイニングフェザーインパクト】!【オービットソード】!!」
再び光の羽の弾丸と飛翔する剣が【戦闘神スサノオ】に向かっていく。
「そんなものは効かないと分かっているはずであろう?」
しかし、【戦闘神スサノオ】は避けるまでも無いと仁王立ちしている。・・・効かないのは分かっているさ。
「【結晶粒子】・・・」
俺はアークカイザーの周囲に結晶の粒子を発生させる。さらに・・・
「【全天の属性】! 行け!!」
結晶の粒子に属性付加。これで破壊力は増したはずだ。だが・・・
・・・やっぱ効いていないな。
属性付加した【結晶粒子】を前にしても【戦闘神スサノオ】は仁王立ちしたままだ。攻撃が直撃しても気にした様子が無い。・・・蚊に刺されたほどにも感じてないってことか?
どうやら【戦闘神スサノオ】は物理防御力も魔法防御力もとんでもなく高いようだ。なら・・・
「【グランディススナイパーライフル】」
取り出したのはいつぞや使用したスナイパーライフルだ。完全に遠距離武器なので近距離や中距離では使いにくいが・・・今、相手は仁王立ちしているままなのでこの距離でも狙いやすい。・・・狙うのは・・・【戦闘神スサノオ】の・・・脳天。
「ヘッドショット!!」
「うおっ!・・・驚いた。神が相手でも本当に容赦ないな、お前。」
・・・はい、ノーダメージでしたー。急所への攻撃なら効くと思ったんだが・・・せめて痛がる素振りを見せて欲しい。急所攻撃が駄目となると・・・あれ? 詰んだ?
【勇天ストラッシュ】たち相手には何とかなったから、【戦闘神スサノオ】に対しても何とかなると思ったが・・・これは厳しいな。・・・象に挑む蟻になった気分。力の差がありすぎる。
傷を付けることすらできんとは・・・
「どうした! 考え事か!?」
「うおぉあ!?」
いつの間にか目の前に【戦闘神スサノオ】が!? こっちは空飛んでんのに! ・・・神様なら空を飛べて当たり前か。
【戦闘神スサノオ】の蹴りをギリギリでかわす。・・・いや、かわしきれなかった。アークカイザーの右膝から下が吹き飛んでしまった!!
「カイザー!」
「修復開始!・・・戦闘二問題ハアリマセン」
ナノマシンによる自己修復機能があるとはいえ、まずい。このままではアークカイザーがスクラップにされてしまう!!
俺は【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】を取り出し・・・
「【疾風連斬】!!」
二刀で滅多切りにする。
「フッ!!」
だが、【戦闘神スサノオ】は先ほどの【ラッシュパンチ】と同様に、刀を逸らし攻撃を無力化する。・・・なお、素手で刃物を弾くのは大変危険です。良い子も悪い子も決して真似してはいけません。やっていいのは達人と神様だけです。
「【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】か・・・だが、その二刀は未だ真の姿にあらず!!」
「なにっ!!」
「その程度では俺に傷一つ付けることは出来ん!!」
バキィィィン!!
【戦闘神スサノオ】のパンチを受け、粉々に砕け散る【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】。・・・せっかく直してもらったのに・・・すまん!・・・何気に気になる事を言ってたが、今、気にする余裕はねぇ!
まだ戦闘開始から5分も経ってないのに・・・くそっ! もうこっちはボロボロだ。このままじゃあ10分も持たんぞ。
「・・・マスター、一ツ提案ガ」
と、ここでアークカイザーが話しかけてきた。これは・・・内部音声? 外部には聞こえないないよう、コクピット内だけで聞こえる音声だ。
「・・・なんだ?」
「ハイ・・・マスターアヴァンニ取リ付ケテ頂イタ【自爆機能】ヲ・・・」
「却下だ!!」
アヴァンの野郎! なんて物を取り付けてやがるんだ!! 自爆は男のロマンとでも言うつもりか!!
「シカシ、コノママデハ・・・」
「それで勝ったとして何の意味がある!?」
相手はこれだけやって傷一つ付けられない相手だぞ!? 自爆してちょこっと傷だけつけて勝利なんて・・・むなしすぎる!!
「どうした!? 人の手により作られし機神よ!! お前の力はこんな物か!!」
そんなこと言われても・・・って今のは俺に言ったんじゃないよな。
「・・・!?」
「【クランメカロイド】の事を知っているのか!?」
驚くカイザー。俺もだが・・・なんで【戦闘神スサノオ】が人間の作ったロボットの事なんて知ってるんだ!?
「知りたければ俺を倒してみろ!!」
・・・ですよねー。
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