やっぱりこのパターン
加護の使い方などを聞いたところで、そろそろ料理も尽きてきた・・・
「と、いう事でそろそろお暇したいのですが・・・」
「えーー!?」
俺の帰りたい宣言に異議を唱えたのはククリ・・・だけだった。他は十分に飲み食いしたからだろうが・・・ククリよ、あれだけ飲み食いしたのにまだ足りないのか。
「もっと遊ぼうよー!!」
違った。飲み食いの方じゃなくただ遊びたいだけだったらしい。おいおいククリ、俺は遊びに来たわけじゃ・・・いや、ゲームの世界なんだから遊びに来たであってるのか?
「ククリ、わがまま言っては駄目ですよ」
「そうよー、きっとまた会えるわー」
そんなククリを【太陽神アマテラス】と【月光神ツクヨミ】がたしなめている。・・・【神仏界】にいるのは退屈なのだろうか? 少なくともこの【高天原】に遊ぶような場所があるようには見えないからな。
「・・・ふむ」
そして【戦闘神スサノオ】がなにやら考え込んでいる。・・・あ、嫌な予感。
「・・・アルクよ。では最後に俺と闘って行かぬか」
「「「え!?」」」
予想通りのことを言い出す【戦闘神スサノオ】と驚く【勇天ストラッシュ】【俊天アクセル】【全天エレメント】。
「お断り申し上げ候」
「「「えー!?」」」
即お断りする俺と驚く以下略。
「・・・ふむ、そう言うだろうと思っていたがつれないな」
「勝てないのは目に見えてますので」
負けず嫌いで負けるのが嫌いな俺は負け戦には挑まないのだ。
「おまえだけではないぞ? お前の【眷属】たちにも興味があるからな」
「クルッ!?」
「だう?」
「・・・!?」
いかん、アーテルたちまでロックオンされとる。・・・だが4対1でも勝てる気がしないんだよなぁ。
「さらにハンデをやろう・・・俺に傷一つでも付けられたらお前達の勝ちとしてやろう」
・・・ほう・・・それはつまり俺たちじゃあ傷一つ付けられないとでも言いたいのか? ちょーっと負けず嫌いの心に火が付いてきましたよ?
「更に報酬としてこれもくれてやろう」
そう言って【戦闘神スサノオ】が差し出した手の上に現れたのは・・・
・・・!?・・・凄まじい【神気】を発する刀、だった。
「【神刀クサナギ】だ。いかなる物を切り裂く文字通り神の刀だ。俺に勝てばこれをくれてやろう」
「やります」
・・・ハッ! 口が勝手に返事を!?
くっ! 俺としたことが物に釣られるとは・・・だが、あの刀は欲しい!!
「あらー、乗っちゃったわねー。アルクちゃんも男の子ねー」
「私には物欲に負けたようにしか見えませんでしたが・・・」
・・・むぅ・・・何も言い返せないな。さすが【戦闘神スサノオ】、駆け引きもお手の物か。
「ガーハッハッハ! 仕方あるまい! 戦士ならば誰もが欲する刀だ。願い、欲し、挑むのもまた、【人間】の特権よ!!」
・・・願うのはともかく、神様の物を欲しがったり、神様に挑んだりするのは違うと思うが・・・ここまでお膳立てされて逃げるのも、な。
と言うわけで俺はアーテルたちに集まってもらう。
「・・・という事になったがお前達はどうする? 相手が相手だけに無理して参加しなくても良いけど・・・」
「クルッ!!」
「だう!!」
・・・そんなこと言わないで! 僕らも戦う!!・・・と言っているような気がする。残念ながら言葉は分からんが・・・目がやる気だ。
「勿論、オ供シマス」
カイザーも参加、と。これで・・・少しは勝ちの目は出たかな。なんにせよ一緒に戦ってくれる皆には感謝だ。・・・また今度、美味しい物食べさせてやるからな。
「・・・わかった。ありがとう。・・・・作戦会議をしても?」
「無論構わん」
【戦闘神スサノオ】は腕を組んで待ってくれている。・・・良かった、問答無用でバトル開始とか言われないで。
「待ってください。スサノオに暴れられては【高天原】が沈んでしまうかもしれません。なので私とアマテラスで結界を張ります。あなた方は結界内で戦ってください。あと時間は10分とします」
と【月光神ツクヨミ】からの注意が。戦闘フィールドは制限、制限時間は10分か。・・・【高天原】が沈むとか、何気にとんでもない事を言ってる気がするが怖いので考えない事にしよう。
「ぬぅ・・・10分か・・・」
【戦闘神スサノオ】はやや不満そうだが異は無いようだ。・・・自分の力の自覚はあるらしい。
さて、それらを踏まえて現状はというと・・・【グランディスバンカー】が壊れたままだが他の武器は使える。アイテムは・・・【ハイポーション】は残り少ないな。まあ、元々数は用意できてなかったから当然だ。【丸薬】もあるにはあるが・・・回復量としては心許ないんだよなぁ。・・・まあ、10分なら持つか?
・・・うん、ベストではないが、いつも通りに戦えるだろう。・・・敵がいつもより大分強大だが。
あとは作戦だが・・・
「良いか、お前達・・・ごにょごにょごにょ」
「クルッ!」
「だう!」
「了解デス」
・・・よし、こんな物かな。
「・・・お待たせしました」
「・・・もう良いのか? 決断すると早いな。ではアマテラス、ツクヨミ、頼む」
【太陽神アマテラス】と【月光神ツクヨミ】の手が輝くと俺たちの周囲を光の膜を覆っていく。・・・結構広いな。半径およそ1キロといった所か。
「・・・では始めるぞ!! どこからでもかかって来い!!」
試練クエスト【戦闘神スサノオを倒せ!!!】
達成条件:【戦闘神スサノオ】の負傷
制限時間:10分
「・・・むぅ」
「大丈夫なのかしら・・・」
「・・・相手が悪すぎ」
・・・外野、不安を煽るようなこと言うのやめてもらえないかな。
「がんばれーー!!」
・・・うん、ククリ、君は良い子だ。
「行くぞ! アーテル、アウル!! 【シャイニングフェザーインパクト】!!【オービットソード】!!」
「クルー!!」
「だうー!!」
【成体】化したアーテルの放つ光の羽の弾幕とアウルの空を飛翔する剣が【戦闘神スサノオ】を襲う。
ドドドドドッ!!
凄まじい爆音の中、【戦闘神スサノオ】は何事も無いかのように仁王立ちしている。・・・効いていないのか?
「【俊天の疾走】!!」
そんな爆音が鳴り響く中、俺は【豪剣アディオン】を抜き、高速で【戦闘神スサノオ】に近づいて行く。
「ハッハッハ! 来い!!」
・・・!? 避ける素振りも見せないだと!? 舐めやがって!!
「【勇天の一撃】!!!」
俺はBPを全消費した必殺の一撃を【戦闘神スサノオ】に振りおろした!!
ガキィィン!!
「・・・!?」
「・・・初撃から最強の一撃を打ち込んでくるか。そのセンス、その思い切り、見事だ・・・」
・・・コイツ・・・【勇天の一撃】を・・・片腕で止めやがった!!!
「その意気や良し!!」
ドゴッ!!
「ガハッ!!」
【戦闘神スサノオ】のもう片方の腕が俺の腹にめり込んだ。
ピシピシピシピシッ!
・・・一撃で【攻鎧アルドギア】にヒビが・・・スキルも何も使っていない・・・ただのパンチなのに・・・
「クルー!!!」
殴られた俺をアーテルが口でくわえ、高速で離れていく。その向かう先は・・・
「マスター! 急イデ!!」
後方で【クランメカロイド】として巨大化していたアークカイザーだった。
「だう!!」
アーテルとアウルと一緒にコクピットに乗り込む。
ふぅー・・・やばいやばい。初っ端から瞬殺される所だった。
・・・普通の【人間】サイズの【戦闘神スサノオ】相手に巨大ロボットで対抗するのはどうかと思うが・・・このままじゃあ勝負にならない。悪いが・・・
「ほほう、機械の巨人か・・・面白い!!【巨神化】!!」
そう叫んだ【戦闘神スサノオ】の体が・・・見る見る内の巨大化して行く。
・・・何でも有りかよ! この神様は!!
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