触らぬ神に
試練クエスト【天凱十二将を探し出せ!!】
達成条件:【天凱十二将】の全員の発見
進捗:3/12
制限時間:無し
・・・なんか出てきちゃったよ。試練クエスト。確かに探す気はあったんだが・・・
「いくらなんでも6つの世界から探しだせっていうのは・・・」
しかも、探すのは名前だか物だか分からん曖昧なものだし・・・それもほぼノーヒント。
「そう簡単に見つけられるわけがないだろう。言うなれば神の力を得る為の試練だぞ」
・・・そう言われてしまうとなぁ。というか言われて気が付いたが、そうか・・・【天凱十二将】のスキルも神の力、ということになるのか・・・そう言われると激ムズなのも納得・・・できなく無くもない気がしないでもない。俺は【スキル獲得券】で簡単に取得しちゃったけどな!
「・・・簡単ではない。元々、我らとの縁はお前が取得した称号だ」
称号? ・・・それが【勇天ストラッシュ】たちとの縁だと?
「・・・それって俺が一番最初の頃に取得した【天衣無縫】【石破天驚】【意気衝天】【天真爛漫】【破天荒解】の5つの称号のことか?」
もう読者ですら忘れ去っているだろう天の称号シリーズだ。・・・俺も忘れてたけど。
「・・・そうだ。我の場合、【天衣無縫】がそれに当たる。己の力を証明した証だからな」
「アタシの場合は【意気衝天】ね! 成長スピードは中々のものだわ!」
「僕のは【石破天驚】。戦い方を良く知ってるってことだから・・・」
・・・良く分からんが天の称号にはそんな意味もあったのか・・・意味というか・・・特典? 偶然って怖い。
ということは【スキル獲得券】で【勇天ストラッシュ】たちのスキルを取得できたのは縁・・・つまり、条件が揃っていたからか・・・他の【天凱十二将】のスキルが取得できないのはまだ条件を満たしていないから・・・
「あれ? 【天真爛漫】と【破天荒解】に関する奴はいないのか?」
【勇天ストラッシュ】たちは首を傾げる。どうやら彼らも知らないようだ。
他に知ってそうなのは・・・
【戦闘神スサノオ】が顔を背けている。・・・これはあれだな。知ってはいるが答えたくは無い、もしくは何らかの事情で答えられないパターンだ。
・・・まあ、取得可能リストに他の【天凱十二将】のスキルが出てこなかった所を見ると他にも条件があるのだろう。そしてこれは自分で探せと言われるパターンだ。
「・・・分かりました。何とか自力で他の【天凱十二将】のことも探してみます。食事を中断させて申し訳ありません。引き続き料理をお楽しみ下さい。」
・・・あからさまにほっとしているのな、【戦闘神スサノオ】。だが無理に追求しても教えてくれないんだろうな。・・・また何か美味しいものでも持ってきたらポロっと喋ってくれそうな気がしないでもないが。
と、皆でわいわい歓談している中、気になっている事があったので素直に聞いてみる。
「なぁ、ククリ」
「なぁーにー?」
・・・甘エビやサーモンを手に答えてくれるククリ。・・・邪魔してスマンね。
「・・・ククリは縁結びの神様なんだろ? 俺と【天凱十二将】の他のメンバーとの縁を結ぶことって出来ないの?」
「ん? んんー・・・できるよぉー!!」
少し考えてから、元気良く答えてくれるククリ。・・・そうか、できるのか。それじゃあ是非に・・・
「待てぇーい!!」「ちょっと待って!!」
そんな俺たちを慌てて止めに入る【戦闘神スサノオ】と【月光神ツクヨミ】。
「おまえ! 先ほど自力で探すと言ったではないか!!」
おお、尋常ではない慌てようだな。
「ええ、勿論ですが・・・その過程で誰かに何かをお願いする事も普通にあるのでは?」
情報収集っていうのは必ずしも自分だけで行うものではなく、時には誰かにお願いすることもある。情報クランなんかその良い例だ。
「だからと言っていきなりククリに頼むのは反則でしょう!! いくらなんでも!!」
・・・冷静そうな【月光神ツクヨミ】までもこの慌てっぷり。
・・・やはりククリには何かあるみたいだな。
「・・・まあまあ、落ち着きなさいなぁー」
そんな慌てふためく二柱を止めたのは【太陽神アマテラス】だった。・・・顔は笑っているが目が笑っていないように見えるのは気のせいだろうか?
「アルクちゃん? 貴方の考えもわかるわぁー。でもククリちゃん・・・【縁結神ククリヒメ】の力を使うことだけは認められないわぁー」
「【縁結神ククリヒメ】・・・」
ここに来てやっとククリの本当の名前が出てきたな。
「ククリちゃんはー、神々の中でもかなり特別な存在なのよー? なにせ縁を結ぶ神なんだからー、その力を使えば全ての神々とも縁を結ぶ事が出来るってことなのー」
・・・なるほど。【天凱十二将】だけではなく全ての神々とも・・・とんでもない事だよな? それ?
「それはつまりー、全ての神々からの干渉を受けると同時にー、全ての神々へ干渉できるっていうことでもあるのー・・・・・・・・・・・・下手をすれば【神仏界】が滅びるくらいに、ね」
・・・!?
とぼけた口調とは裏腹に・・・凄まじい殺気交じりの【神気】!
俺だけではなくこの場に居る全員が固まって動けなくなってしまった。・・・どうやら俺は触れてはいけないものに触れてしまったらしい。。
なるほどな。ククリの力は【神仏界】の存続に関わるくらい特別な力ってわけだ。そのククリからもらえる加護や祝福も特別なんだろう。・・・三柱神が警戒するほどに。
「・・・それにー。ククリちゃんから加護を貰ったらアルクちゃん大変なことになっちゃうわよー?」
ころっと表情を変えて再びとぼけた口調に戻る【太陽神アマテラス】・・・【神気】はそのままだが。
「ククリちゃんはまだ幼いせいかー、自分の力が制御できていないのよー。だからククリちゃんの加護も制御の利かないものになってー、何でもかんでも寄ってきちゃうと思うわー。具体的にはー、アルクちゃんのレベルでは敵わない敵がわんさか出てきてー、四六時中狙われるようになるー、なんてこともー・・・」
「すいません、調子に乗ってしまいました」
ためらわずソッコーで頭を下げる俺? 戦闘が好きでも戦闘だけをしたいわけではない。降りかかる火の粉は払うが、自ら劫火の中に飛び込む気は無い。勇気と無謀を履き違えてはいけないのである。
素直に頭を下げたのが良かったのか、【太陽神アマテラス】はフッと気を緩めてくれた。
・・・危なかった。あのまま消し炭にされるかと思った。
「えー!? ククリもおにーちゃんの役に立ちたい!!」
・・・なのにただ一柱、異議を唱える者が。・・・やめてくれククリ。余計なこと言った俺が悪かったから。
「・・・ククリは俺たちをここまで連れてきてくれただろ? それだけで十分に役に立ってくれているよ。・・・そうだ! また今度来たときにも案内してくれよ。美味しいもの一杯持ってくるからさ!!」
話を蒸し返されてはたまらないと全力で方向転換を促す。結果は・・・
「ほんと!? わーい♪」
無邪気に喜ぶククリ。・・・ふぅー、子供で助かった。・・・実年齢知らんから本当に子供かどうか分からんけど。
「うふふ、その時が楽しみねぇー」
そんなククリの頭を撫でる【太陽神アマテラス】。
・・・うん。
とりあえずこの神様には俺の中の怒らせてはいけない神様No.1の座についてもらおう。
・・・触らぬ神に祟りなしって本当だったんだな。
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