試練の報酬
「クルー!」
「だう!」
「マスター、オ疲レ様デス」
戦いが終わった途端、近寄ってくる。アーテル、アウル、カイザー。
よしよし、心配かけたな。・・・いや、本当に、マジで疲れたよ。今まで何度も死に戻りを覚悟した事はなかったが、今回ほどギリギリだった事は無い。
「うむ、良くやったぞ!」
「すごいわねー」
「よく頑張ったわ」
【戦闘神スサノオ】【太陽神アマテラス】【月光神ツクヨミ】も俺を称えながら近寄ってくる。・・・【戦闘神スサノオ】はともかく【太陽神アマテラス】と【月光神ツクヨミ】はちゃんと見てたのだろうか?
「おにーちゃん、凄いねー!!」
ククリも一緒だ。・・・口元にクッキーの食べかすが付いてるぞ。
そして・・・
「・・・」
「負けちゃったかー」
「サクサクサクサク」
【勇天ストラッシュ】【俊天アクセル】【全天エレメント】もいる。
うん、普通に復活した、コイツら。ゼルエルもそうだったが、【神仏界】では復活も早いのだろうか?
ちなみに一番最初に倒した【全天エレメント】は早々に復活し、外野と共に俺たちの戦いを見ていたんだとか。その際、ククリに渡したクッキーをおすそ分けしてもらい、今もサクサク食べている。・・・何しとんじゃ。
「・・・ありがとうございます。これで試練はクリアできたんですよね?」
俺は【戦闘神スサノオ】【太陽神アマテラス】【月光神ツクヨミ】の三柱神に尋ねる。・・・これで不合格とか言われたら暴れるぞ、俺。・・・そんな余力残ってないけど。
「うむ。お前の戦いぶりは存分に見させてもらった。【戦闘神スサノオ】としてお前を認めよう」
この神様は終始、俺たちの戦いを見ていたからな。苦労した甲斐もある。
「私もよー。貴方は【天凱十二将】の皆の想いにちゃんと応えてくれたわー。【太陽神アマテラス】として貴方を認めるわよー」
この神様も俺たちの戦いを見ていたようだ・・・強さよりも、ちゃんと相手のことも考えた事が評価に繋がったのか? 俺としては単に意地張ってただけなんだが。
「自らに制約を課し、最後までそれを破る事はしなかった・・・その誠実さ、【月光神ツクヨミ】として認めましょう」
この神様もちゃんと見ていたようだ。何となく自分にも他人にも厳しい感じがする。規律を重視する感じ? 今回は俺自身を律することが出来た事が評価に繋がったようだ。
「・・・ただ、その前にまずは貴方の傷を癒しましょう」
と、そこで【月光神ツクヨミ】が俺に向けて掌を向けてきた。その掌から放たれた光が俺の全身を包む。・・・おお、HPだけじゃなくBPやMPも回復していくぞ。さすが、神様!
・・・だが、【豪剣アディオン】はヒビが入り、【攻鎧アルドギア】は半壊。
【グランディスバンカー】はぶっ壊れちゃったし、【霊刀ムラクモ】【妖刀オロチ】もぽっきり折れてしまった。
・・・ぶっちゃけ大損害である。orz
ヒビ入りや半壊は【リペア】の魔法を使って修理・・・つまり消耗度を下げる事ができる事で元通りにすることが出来る。だが全壊・・・消耗度が100%を超えてしまった物については【リペア】を使っても直せない。これは【鍛冶士】などに修理・・・いや、作り直してもらわないといけないわけだ。
・・・【グランディスバンカー】はアヴァンに作り直してもらえるだろうが、【霊刀ムラクモ】【妖刀オロチ】はどうだろうか。元々レイドクエストの報酬だしな・・・ガットに修理してもらえるだろうか。
・・・直らなかったらどうしよう(泣)。
「・・・ついで、ではないですが貴方の壊れた装備も直してあげましょう」
「本当ですか!?」
なんと【月光神ツクヨミ】が装備の修理まで請け負ってくれるとは! ありがたやー、ありがたやー。・・・元々、この神様たちに課せられた試練でぶっ壊れたんだけどな!
俺は【月光神ツクヨミ】の前に【グランディスバンカー】×2、【霊刀ムラクモ】【妖刀オロチ】【豪剣アディオン】を並べて置き、最後に【攻鎧アルドギア】を脱いで横に並べる。
「・・・皆、見事な装備ばかりですね。・・・残念ですが、この・・・【兵器】?については私では直すことは出来ません。外見は直せますが中の構造が私には良く分かりませんので・・・」
・・・さすがに神様に機械を直せというのは無理か。まあ、仕方が無いだろうな。これについては帰ってからアヴァンに直してもらおう。
「他は大丈夫ですね」
と言うと俺にしたように【月光神ツクヨミ】の掌から発した光がそれぞれの装備を包み込む。
まずは【霊刀ムラクモ】が・・・そして【妖刀オロチ】が元の姿を取り戻した!
「おおー! ありがとうございます!!」
最悪、レイドクエストでの周回ドロップまで覚悟したけど・・・良かった! 本当に直って!!
しかし、【月光神ツクヨミ】は何故か怪訝な表情をしている。
「どうしたのー?」
その表情を不思議に思ったのかククリが話しかける。【月光神ツクヨミ】の目線の先にあるのは【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】だ。・・・あれ、こっちは光に包まれているのに直る様子がないな?
「・・・いえ・・・もう一度、今度は強めに・・・」
そう言うと【月光神ツクヨミ】が更に強い光を発し、【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】はその光に包み込まれる・・・が・・・
バチィィィン!!!
まるで何かに弾かれるように光が消えた。【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】に変化は無い。・・・どゆこと?
「これは・・・既に何らかの力が宿っているようですね。私の力が及びません・・・貴方、ですか?」
「だう?」
そう言って【月光神ツクヨミ】が見ているのは・・・アウル?
確かに【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】のSLOTには【剣鎧の精霊】という謎の項目があるが・・・神様の力を弾くってどゆこと? 確か【リペア】での修理は問題なかったはずだが?
「・・・どうやら貴方にも特殊な力があるようですね。ならばこれらは貴方が直しなさい」
とアウルに優しく話しかける【月光神ツクヨミ】。・・・っておいおい。
「・・・だう!!」
わかった!と言わんばかりに手を挙げて【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】に近づいて行くアウル。
「だーうー!!」
アウルの叫びと共に【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】が光りだす。すると【月光神ツクヨミ】でも直せなかった損壊が次々と元の形に戻っていく。
・・・アウル? お前、そんなことも出来たの? ・・・なんでもっと早く教えてくれなかったの?
「・・・だう♪」
おお、完全に元に戻った。そしてアウルがキラキラした目で俺を見てくる。これは・・・
「・・・よしよし、良くやってくれたな、アウル」
褒めて欲しそうだったので頭を撫でながら褒めてあげる。うむ、アウルは満足そうだ。
「・・・神の力を弾くとは・・・主も規格外なら【眷属】も規格外、か」
なんていう【戦闘神スサノオ】の呟きが聞こえた。誰が規格外だ。失礼な。
「かわいいわねー・・・じゃあ、彼の治療も終わった所でー、私達の加護をあげちゃうわよー」
と【太陽神アマテラス】に声をかけられる。
いよいよか。
俺は【攻鎧アルドギア】を装備しなおし、【豪剣アディオン】を背負い、他を【収納箱】にしまって三柱神の前に立つ。
「それじゃあ私からー」
そう言うと【太陽神アマテラス】が俺の右手を手に取る。
「?・・・アチチチチチ!!」
と右手が急に燃えるように熱くなり出した。見ると右手の甲に太陽のような形をした紋章が浮かび上がる。
『【太陽神アマテラスの加護】を手に入れました』
メッセージが出ると共に【太陽神アマテラス】が俺の右手を離す。と同時に手の甲に浮かび上がっていた紋章が消えた。
「・・・説明は後にしてまずは加護を与えましょう」
そう言うと今度は【月光神ツクヨミ】が俺の右手を手に取った。ってまさか・・・
「冷たっっっ!!」
右手が凍りついたかのように冷たい感触に包まれると、今度は右手の手の甲に三日月のような紋章が浮かび上がった。
『【月光神ツクヨミの加護】を手に入れました』
いや、それは良いんだけど・・・【月光神ツクヨミ】が俺の右手を離すと紋章は消えた。
「最後は俺だな!!」
そう言うと【戦闘神スサノオ】が俺の右手を握る。
「いや、だから・・・アイダダダダダ!!」
今度は右手に凄まじい痛みが! 右手の甲に星型の紋章が浮かび上がるがぶっちゃけそれどころではない。
『【戦闘神スサノオの加護】を手に入れました』
【戦闘神スサノオ】が右手を離してくれたところで痛みも収まり紋章を消えた。
・・・こうして俺は神々の加護を手に入れた。
それは良いんだけど、何故俺の右手を滅多打ちにする?
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