カラミティモンスター べヒーモス
『緊急レイドクエスト開始5分前となりました。クエストに参加される方はべヒーモス湖にて【メニュー】から参加申請を行ってください。』
「なんか湖がこんもり盛り上がってきたんですけど。」
「ええ、平坦だった湖が水の山みたいになってますね。」
「なんか怪獣が出てきそうな感じね。というかでかすぎじゃない?」
あれからでてくるのがべヒーモスなら相当な大きさになる。
「プレイヤーも大分集まってるが・・・300人くらいか?」
ゲーム全体から考えたら100分の一未満だけど急にしては結構集まったんじゃないか?
『緊急レイドクエスト開始時間となりました。これよりべヒーモス湖エリアを封鎖します。以降のクエスト参加は出来ません。』
いよいよ始まるのか。
『参加プレイヤーのレベルの集計が終了しました。集計結果よりべヒーモスのレベルを確定します。』
・・・なんだって?
『べヒーモスのレベルは40に決まりました。それではプレイヤーの皆さん、討伐をお願いします。』
・・・どうやらプレイヤーによってボスの強さが変動するタイプだったようだ。俺のレベルの倍近いんだが・・・。果たしてそれがよかったのか悪かったのかは・・・これから判る。
「グゥオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
アナウンスが終わると同時に湖の水が弾け、姿を現す超巨大モンスター、べヒーモス。体は虎のような筋肉質の4足の動物のものだが紫色をしている。頭には巨大な角が二本、顔つきは牛のようであるが、隙間から見せる牙は凶悪で何者も噛み砕く印象を与える。そしてなにより、
「で、でかい!」「どう見ても100メートル以上あるぞ!?」「あんなの倒せるのかよ!!」
そうなんといってもその巨体である。学校のグラウンドとほぼ同じくらいの大きさといえばわかるだろうか?象とアリ、とまで行かないが人間と比較してもその巨大さは一目瞭然だ。
そのべヒーモスがその巨体をゆっくり立ち上がらせ始めた。・・・やるなら今か。
俺はアテナとアルマに目配せした後、呆然としているプレイヤー達を他所にべヒーモスに向かって一目散に走り始めた。
「みんな、何してる!!クエストはもう始まっているんだ!!早く攻撃を!!」
ラングの奴が檄を飛ばしているのが聞こえた。しかし俺にはそれを気にかけている余裕は無い。
「【ダッシュ】!」
高速移動用の無属性魔法で一気に距離を詰める。狙いはべヒーモスの足。
「【パワースラッシュ】!・・・ッ!!硬い!!」
大剣で切ろうとしたがあまりの硬さにはじかれた。
「アルクさん!【暗黒切り】!・・・駄目か!!」
いつの間にか来ていたベルバアルが同じように攻撃したがやはりはじかれた。みると他のプレイヤーたちも思い思いに攻撃を始めている。このゲームではPvPで無い限りプレイヤー同士の攻撃は当たらない。つまりフレンドリーファイヤの心配は無いのでみんな思いっきり攻撃している。
モンスターを連れているヤツもいるな。あれが眷属かな?
・・・なんかロボットみたいなヤツがミサイルみたいなのを撃ってるけどあんなのもアリなのか。
「炎の嵐よ!敵を焼き尽くせ!【ファイヤーストーム】!」
おお!ラングのやつが巨大な炎の嵐を!明らかに初級ではない中級、上級クラスの魔法だ。
「食らえ!【メガトンプレッシャー】!」
ガットも負けじとでっかいハンマーでべヒーモスをぶったたいている。
ロゼさんもヴィオレも、他のメンバーたちも強力な攻撃をべヒーモスに仕掛けている。うーん。明らかに今の俺たちとはレベルが違うな。
だがそんな攻撃も効果の程は・・・どうだろう?微妙?どうもほとんど効いている様子がない。ゆったりした動作で火の玉を吐いたり、爪で引っかこうとしているが、プレイヤーに避けられている。・・・まあ、それでも一部倒されて仲間に蘇生してもらったプレイヤーもいるみたいだが。
どうもべヒーモスはかなり余裕しゃくしゃくに構えているように見える。サイズ的に考えたら爪楊枝をチクチク刺された程度にしか感じていないのかもしれないな。
「アルクさん!レイドモンスターには弱点となる部位があるはずです!なんとかそこを探すしかありません!」
それは俺も考えたんだけどな。弱点てどこよ?この巨体じゃあ全体像を見るのも大変だぞ。
「しかたない。俺は上のほうに行ってみますんで後はよろしく。」
幸いな事にべヒーモスは猫のような4足動物型だ。頭から尻尾の先まではかなりでかいが、地面から頭の高さまではそれほどでもない。せいぜい20メートルといった所か。・・・いやそれでも高いんだけどね?
「え?上のほうって・・・」
「【ジャンプ】」
ジャンプ力を増強する無属性魔法を使ってべヒーモスの上体にまで登っていく。
「・・・随分器用ですね。」
ベルバアルがなんか言っていたが無視した。
手の部分から肘、肩に掛けて背中に到達する。何を隠そう、俺はパルクールを少々たしなんでいたりするのだ。しかし便利だなー魔法って。ありえないジャンプ力も可能になるんだから。
そんなこんなで背中まで来て見たが弱点らしきものは見当たらない。こういうとき、ゲーム的に何かしら目印があったりしないだろうか。ドラゴンだったら逆鱗が弱点!みたいな。
ハッ!もしやキ○タ・・・アイタッ!アレ?なんか当たった?あ、尻尾がこんな所にまで!あれにはたかれたのか。さてはあれが弱点か?あ、尻尾に攻撃してる人がいる。・・・アレ、アルマじゃないか?どうやら俺と同じ考えに到ったらしい。
まあ、尻尾はアルマに任せよう。他に弱点のそうな場所あるか?・・・やっぱ顔かな。目とか耳とかが生物上の弱点だし。しかし位置的に顔に攻撃するのは困難だ。空を飛べれば話は別だが、そうでない場合、十中八九振り落とされて地上まで真っ逆さまだろう。空を飛べるスキルがあればなぁ・・・。
・・・おや?首の根元に何かあるぞ?あれは・・・宝石?いや魔石か?なんか妖しく光輝いている。
・・・怪しいねぇ。実に怪しいねぇ。
「【パワースラッシュ】!」
謎の魔石に一撃食らわせる。
「グギャアアアアアア!!」
今までのっそりとしか動いていなかったべヒーモスが急に苦しみだした。って危ない!落ちる落ちる!何とか剣と突き刺してバランスを取る。危なかった。危うく地上まで紐なしバンジーになるところだった。
一方で謎の魔石のほうは変わらず妖しい光を・・・いや少しヒビが入っている。・・・ビンゴだ!!
「【パワースラッシュ】!【パワースラッシュ】!【パワースラッシュ】!【パワースラッシュ】!」
ひたすら剣を振り下ろす俺。少しずつだがひび割れが大きくなる。
「グギャアアアアアアアアアアアア!!」
べヒーモスの悲鳴もどんどん大きくなる。そして。
「【パワースラッシュ】!」
とうとう魔石は砕けた。
「・・・・」
おんや?べヒーモスが静かになった。まさか倒しt
「グゥオオオオオオオオアアアアアアアアアアア!!!」
これまでとは比べ物にならない咆哮に俺は吹っ飛ばされた。
もう一度言おう。吹っ飛ばされたのだ。空中に。
「おわああああああ!!!」
紐なしバンジーもといパラシュートなしスカイダイビングである。ゲームの中の仮想世界であるはずなのに重力に引かれる感覚、落下による浮遊感、風の抵抗などがとてもリアルに感じられる。
ぶっちゃけ怖い。ゲームの体だから死にはしないだろうが精神的には死にそうだ。
「アルク!」
そこに天の助けが!冗談でも何でもなく天使のアテナさんが俺を助けてくれた。
「すまん、助かった。」
「助かったじゃないわよ!急に凶暴になって暴れだしたわよ!!アンタ何したの!?」
え?見ると確かに今まで緩慢な動きをしていたべヒーモスが急に暴れだし、プレイヤー達に襲い掛かっていた。今までゆったりしていた動きが機敏になり次々にプレイヤー達がやられていく。だが・・・。
「いや、よく見ろアテナ。みんなの攻撃が通用するようになっている。あれは暴れているんじゃない。べヒーモスの最後の抵抗だ!!」
よくよく見ると、剣が通らなかった足部分も剣で切れるようになっている。炎の魔法も効果がイマイチだったのが皮膚が焼け焦げるようになっている。その他の攻撃も同様だ。
「本当だわ。それじゃあアンタはべヒーモスを硬くしていた何かを破壊したってこと?」
「どうやらそうらしいな。それよりアテナ!俺たちも攻撃だ!」
「分かったわ!」
そう言ってべヒーモスに突撃していく俺たち。・・・よかったー。魔石を壊した効果があって。もし凶暴化するだけだったらきっと俺は後でみんなから責められていただろう。
攻撃が通じるようになった以上、あとは全員の総攻撃で押し切るのみだった。
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