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高天原

目の前の少女は・・・アウルよりも少し年上・・・小学校の低学年くらいの幼い子供に見える。見た目は長い黒髪、黒目の人間の子供みたいで、赤い着物を着ている。


しかし、そんな幼い見た目とは裏腹に強力な【神気】を感じる。これは道中にいた【天使】のラグエルさんやレリエルさん、そしてゼルエルよりも強い。・・・いや、下手をしたら【ヤタガラス】よりも強いかも。


そしてさらに驚きなのは、強力な【神気】を纏っている彼女が()()現れた事だ。先ほど、カイザーたちに偉そうな事を言った俺だが、彼女の接近にはまるで気が付かなかった。俺だって常に周囲に気を張っていたにもかかわらず、気づいたら俺たちの真後ろに付かれていた。


もし、彼女が攻撃してきていたら、俺たちはあっけなく死に戻っていただろう。


幸いな事に彼女からは敵意も殺気も感じられなかった。何をするでもなく俺たちの後に付いて来ていたので、俺も様子見を決め込んでいたのだが・・・普通に俺たちの会話に入り込んでいたので、話の通じる相手だと判断した次第である。


「・・・えーっと、はじめまして、ククリ・・・さん? 俺はアルク。それにアーテル、アウル、アークカイザーだ」


とにもかくにも自己紹介からはじめる。・・・下手したら全滅しそうだし。


「はじめまして! ククリはねー、ククリだよ! ククリって呼んで!!」


・・・元気があった大変よろしいのだが、何回ククリって言うんだ。


それにしてもククリ・・・ククリヒメノカミのことかな? 確かイザナギとイザナミを仲直りさせた縁結びの神様だった・・・かな。あとは生者と死者の間を取り持つ神様だって言うのも聞いた事があるな。


どちらにせよ、このククリって子はNPCみたいだし、この場所の関係者である事は間違いないだろう。


・・・ハッ!? まさか俺を選んだ神様っていうのはこの子なのか!?


「えーっとククリは俺たちに何か用があったのか?」


恐る恐る確認する。


「えーっとねー・・・ククリはねー・・・おつかいを頼まれたの!」


「おつかい?」


「うん! 【高天原】はとーっても広いから迷わないように案内してあげてって!!」


「・・・【高天原】だって?」


高天原とは、日本の神話にも出てくる天照大神が治め、天津神たちが暮らしている天上の場所の事だ。要は神々の住んでいる場所ってだな。


・・・うーむ、俺たちはそんなおっかない(大分失礼)場所に足を踏み入れていたのか・・・


「・・・つまり、ククリは俺たちが迷わないよう案内してくれる、ってことで良いのか?」


「うん! そうだよ!!」


それはありがたいんだが・・・


「それは一体誰が頼んだんだ? そして俺たちをどこに連れて行くんだ?」


そこが一番大事な所だ。


「えっとねー・・・来れば分かる! だって!!」


・・・一番大事なところをぼかされた。どうもこの子はほんとにおつかい、案内役って事らしいな。・・・疑問はいくつもあるのだが・・・付いていくしかないだろうな。この子からは悪意を感じないし、俺たちを騙すなんてことは無いだろう。・・・この子も神様なら、俺たちを簡単に騙せそうな気がしないでもないが・・・いや、俺は純粋なこの子の瞳を信じる!


「・・・わかった。それじゃあ、案内してくれるか? ククリ?」


「うん!・・・あれ?」


元気良く返事をしてくれたククリだが、急に首を傾げ始めた。


「ど、どうしたんだ?」


何か問題でも? 俺、何かやらかしてしまったのか?


「・・・どこに行くんだっけ?」


思わずずっこけてしまう俺たち・・・それは俺たちが聞きたいんだけどなぁ。


===移動中===>【高天原】上空


・・・あの後、何とかククリに思い出してもらった結果、高天原の中心に連れて来るよう頼まれた事が判明した。・・・言われるまでも無く、この島の中心に向かっていたんだが・・・案内っているのか?


そして当のククリはと言えば・・・


「だう! だーう! だうだう!!」


「アハハハハ!!」


アウルとなにやら話している・・・らしい。残念ながら俺には彼らの話す言語が理解不能なので、あくまでらしい、だが。


ちなみに現在、アーテルの背にアウル、ククリ、俺の順番で乗っかっている。一番幼い(ように見える)アウルをククリが抱きかかえ、そのククリを俺が抱き抱えているような状態だ。・・・なんでこうなった?


これは・・・そう、ククリが「お馬さんに乗ってみたい!」とか言い出したからだな。目をキラキラさせた少女のお願いを断れなかった結果だ。


幸いアウルもアーテルもククリのことは嫌いじゃないみたいだ。実は【ヤタガラス】の件があったので少し心配していたのだが・・・神様なら誰でも嫌いというわけではないらしい。


・・・問題なのはククリがアウルと遊んでばかりで案内も何もないって事だが・・・もしかしてこの子って案内役ではなくメッセンジャーだったのでは?


「でも珍しいね! 【人間】が【高天原】に来るなんて!!」


唐突にククリに話しかけられる。今のは俺に言ったんだよな?


「そうなのか? あいにく【神仏界】には今日、初めて来たから詳しくは分からないんだ」


もっと言えばここが【高天原】というのも君から聞いて初めて知った。


「そうなの?【高天原】はククリたち以外の神様は立ち入り禁止だー! って皆言ってたから、ククリ、神様以外の人に会うのすっごい久しぶりなの!!」


・・・さらっと自分のことを神様だって認めたな。っておい・・・


「神様以外は立ち入り禁止? じゃあ、俺たちはここにいても大丈夫なのか?」


まさか、神様に会った途端追い出されたりしないよね? 今の所、ククリ以外には誰とも会っていないが。


「おにーちゃんはちゃんと招待されてきてるから大丈夫だよ! 百年くらい前にも【人間】の男の人が来た事があったしね!!」


つまり、前例はあるってことか。あと、百年以上生きているかのような発言だが、君一体何歳なんだ? 見た目どおりの年齢じゃないだろう? まあ、精神年齢は・・・いや、ノーコメントで。


「なるほどね。・・・ちなみにその、前に来た【人間】っていうのはどんな奴だったんだ?」


「えっとねー! エルクスっていうおにーちゃん! ぼーけんしゃ? なんだって! ククリも一杯遊んでもらったんだ」


・・・冒険者エルクス? それって【精霊図書館】にあった冒険録を書いた人物だよな。その冒険碌から【拳武王の遺跡】を見つけてルドラくんやアウルを【眷属】にしたんだが・・・偶然か?


「・・・マスター」


「ん? どうした、カイザー?」


「ソロソロ中心部分ニ到着シマス」


「あ! ほんとーだ!!」


・・・そうか、なぜそれをククリからではなくカイザーから教えられるのか、謎だ。


何はともあれ、目的地に着きそうだ、ということで減速。ククリの誘導で目的の場所まで飛んでいく。


・・・なのだが・・・


「本当にここなのか?」


俺たちが止まったのは何にも無い草原のど真ん中だ。人影も遮蔽物も無い、ただの草原だ。


「みんなー! 来たよー!!」


しかし、そんな事はお構いなしにククリが大声で誰かに呼びかける。すると・・・


「・・・!?」


地面から三つの光の柱が立ち昇る。同時にその柱から感じられる圧倒的で巨大な【神気】!


これは・・・ククリや【ヤタガラス】とは比べ物にならないほど巨大な【神気】だ・・・


俺だけではなくアーテルやアウル、カイザーも混乱している。・・・いや、正直、恐れていると言った方が正しいか。


やがて光の柱の中から人・・・いや、神が現れる。


「・・・私は【太陽神アマテラス】」


「私は【月光神ツクヨミ】」


「俺は【戦闘神スサノオ】だ」


3人・・・いや、三柱の神の降臨であった。

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