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謁見の門

===移動===>【謁見の門】


さて、いよいよやってきたのは【神仏界】でのメインイベント・・・なのか? それはまあ分からないが【謁見の門】である。


・・・これまでもそうだったが門も巨大だ。なんだか最近そんな感想ばかりだが実際にそうなのだから仕方ないと思う。そして目の前の門はやたら豪勢だ。金やら銀やら宝石やらで装飾されている。・・・さすがは神様に会うための門と言うべきか。


しかし今の所、目の前の門は硬く閉ざされている


「皆さん、ようこそおいでくださいました」


その門の前にいたのは、道中案内をしてくれたラグエルさんである。彼の後ろには・・・なんだ? 台座に置かれた・・・宝石? みたいな物がある。


「改めて説明させていただきますね? ここは【謁見の門】。皆様が神々の元へと向かうための門になります。そして私の後ろにあるのが【選定の宝玉】です。この宝玉に触れた者に神々にある資格があるかどうか選定し、この宝玉を通して神々が皆様を選定します」


・・・ようするに門を開くための鍵、か。現代風に言えば・・・指紋認証と顔認証機能が付いているような感じ?・・・違うか。


「資格有りとみなされた者にのみ、門が開きます。門をくぐれば、その者を選んだ神々の元へと向かうことができます」


・・・そして神々の元に行くことができるのは選ばれた者とその【眷属】だけ。他のプレイヤーからの助けは期待できない個人での戦いになる、と言うわけか。・・・いや、戦いになるとは限らないらしいけどな。


「まあ、皆さんは資格も力も十分にあります。どのような神に選ばれるかはわかりませんがきっと皆さんの助けとなるでしょう」


ラグエルさんは笑顔でそう言うが・・・不安だ。そもそも神様がタダで助けてくれるとは思えないし・・・そもそもギブアンドテイクを望む事自体不敬な気もする。


「それでは皆さん、一人ずつ【選定の宝玉】に触れてください」


・・・


・・・そう言われたにも関わらず誰も動かない。


・・・しまった! 順番とか特に決めてなかった! まあ、早いもの順じゃあるまいし、どういう順番だろうが特に意味はないとは思うが・・・


「・・・ふむ、ここはリーダーとして俺から行こうか」


という事で、一番に立候補してみたのだが・・・


「待ってくださいっす! アニキ! 今度こそボクが先陣を切るっす!!」


とアシュラまで立候補しだした。先陣って別に戦いに行くわけじゃないんだが・・・多分。


「・・・アシュラ・・・どうして君はそう怖い物知らずなんだ・・・」


同感。・・・ってそれ、俺も怖い物知らずって言ってないか?


「・・・この場合、一番の方が良いのです? それとも最後なのです?」


「結局全員バラバラで行くことになるのだ・・・順番は関係ないのだ」


それも同感。・・・順番が関係ないとかえって順番で揉めるという皮肉である。・・・もう早いもん勝ちで良いんじゃね?


「それならやっぱりアルクが一番に行かなきゃいけない理由も無いわよね?」


「ええ。こういうとき、アルクさんが一番に矢面に立とうとしますが・・・いつもアルクさんに押し付けるのは・・・」


・・・いかん。なんか俺がリーダーとしての責務を果たそうとしているみたいに思われている。・・・ぶっちゃけ俺はそんな深く考えていないんだがなぁ。


なにやらあーだこーだ言い合いが始まったのだが、結局ジャンケンで順番を決めることになった。


激しいジャンケン大会の末、アシュラ、アスター、アヴァン、アーニャ、アルマ、アテナ、俺、という順番になった。・・・見事に俺が出会った順番の逆順なのだが・・・本当に偶然である。あるいは神様の思し召し・・・違うか。


「じゃあさっそく行ってみるっす!!」


一番手のアシュラがさっそく【選定の宝玉】に触れる。


ドゥルルルルルルルルルルルルルル・・・


そして鳴り響くドラムロール・・・ドラムロール?


ルルルルルルルルルル・・・デェデン!!


・・・ひときわ大きな音が鳴ったと同時に【選定の宝玉】が光りだし、門が開いていく。・・・それは良いんだが・・・なんだろう? 無駄な効果音のせいでなんか急に安っぽい演出に見えてきた。


「「「「「「・・・」」」」」」


多分、全員がそう思ったんだろう。


そして両開きの門が完全に開く。


門の向こうは・・・霞がかっていてよく見えない。・・・お約束である。


・・・だが門の向こうから【神気】が漏れ出ているのがわかる。ここまでの道のりでも【神気】は感じていたが、それらとは違う濃密で強力な【神気】。


「・・・じゃあ、さっそく行ってくるっす!! さあ行くっすよ、ルドラ!!」


「まう!!」


しかし、そんなこと知ったことじゃねぇ! と言わんばかりに我がクランの元気はつらつコンビが門に向かって突撃していく。うーむ、怖い物無しもあそこまで行くと逆に見習うべきなのかもしれないな。


「・・・あの勢いでなにやらやらかしそうなので心配なのですが・・・」


・・・やっぱ見習うべきではないのかもしれん。


アシュラとルドラくんが門をくぐったところで、門が閉まっていく。どうやらプレイヤーひとりひとり開閉をやるらしい。


門が完全に閉まった所で、今度はアスターが【選定の宝玉】触れる。そして再び鳴り響くドラムロール。・・・この演出いるか?


ドラムロールが鳴り止み、門が開く。


「それじゃあ行ってきます。ミコト!」


「あい!!」


アスターとミコトちゃんが門を潜り抜けていく。・・・この後も、特に何か起こるわけでもなかったので、順調に順番に門を潜り抜けていく。


「では行ってくるのだ。・・・ラグマリア」


「了解デス」


「行ってくるのです!」


「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」


・・・うーん、なんだか子供たちを見送るお父さんみたいだ。・・・きっと成長した子供を送り出す親の

気持ちってこんな感じなんだろうなぁ・・・違う? 違うか。


「それじゃあ、私達も行きますね。行きましょう、フィオレ」


「ピュイ!」


今度はアルマの番だ・・・が門の前で何故か立ち止まった。そしてこちらを振り返って一言。


「・・・無茶はしないでくださいね? アルクさん」


・・・俺はそんなに無茶するように見えるのだろうか? 俺は無茶な事はしても無理はしないぞ。・・・うん、してるな、無茶な事。


「それじゃあ、私達も行きましょう、レオーネ」


「がう!」


次にアテナが門へと向かう・・・が、彼女も門の前で立ち止まり、振り返って一言。


「・・・アナタも気をつけなさいよ、アルク」


・・・そう言い残して門の向こうへ消えていく。


・・・うーむ、過剰に心配されるとかえって不安になるのだが・・・これはあれか。アルマとアテナのリアル事情を知った俺に、気を許してくれている証拠、だろうか。秘密を共有している仲、みたいな?


・・・俺としてはお前達の方が心配なんだが・・・というか人の心配なんぞ百年早いと言ってやりたいが、あいにく当人たちは門の向こうだ。やれやれ。


最後に俺の番となり、【選定の宝玉】に触れる。


鳴り響くドラムロール。


・・・


・・・


・・・長くね?


なぜか分からんがいつまで経ってもドラムロールが止まらない。


「・・・おかしいですね? ・・・神々が取り合いでもしているのでしょうか?」


ラグエルさんがなにやら呟いているが・・・なにそれ、怖いんですけど。


・・・デェデン!!


あ、ようやく終わった。門が開いていく。


「・・・なんかよく分からんが、行くか。アーテル、アウル、カイザー」


「クル!!」


「だう!!」


「了解デス」


うむ、元気があってよろしい。


「では行ってきます、ラグエルさん」


「ええ・・・十分に気をつけてくださいね?」


・・・今まで誰にもそんな事言ってなかったのに、何故、俺の時だけ言う?


微妙に不安になりながら、俺たちも門の中へと入っていった。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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