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天使の力

獰猛な笑みを浮かべるゼルエル。


その表情はいかにも楽しく遊んでいるような子供のようだ。・・・子供にしてはいろいろ強すぎるが。


「あのゼルエルって【天使】、強いわね・・・」


「ええ、レベルではアルクさんより下のはずなのに、アルクさんと互角以上に渡り合っています」


外野の声が聞こえてくる。


「むぅ・・・空を飛びながら戦う人型の敵は珍しいのだ。・・・【エナジーフェザーマント】の改良案も考えねばならないのだ」


「アルクさんにはアーテルくんがいるので空中戦の心配はなかったのです。でもこういう場面では必要になるのです」


「確かに・・・ボクには対空のスキルはあるっすが、空中戦はできないっす! なにか手を考えないといけないっす!」


「実力以外にも気を付けないといけない部分があるってことだね」


ふむ。皆も見学しながら学んでいるようだ。それでこそ矢面に立った甲斐があったというものだ。


「クルー!」


「だうー!」


うむ。アーテルたち【眷属】組も応援してくれている。ここは頑張らねば!


そして当のゼルエルはというと・・・ゆっくりと空中へ浮かんでいく。・・・やはりそうなるか。空中戦は向こうのほうが有利だからな。


「君の強さに敬意を表して僕の全力で行くよ! 【ホーリーバーストレイ】!!」


ゼルエルの周囲に無数の光の玉が浮かび上がり、そこからレーザーのような光線が発射される。


・・・ちぃ! 向こうも乱射してきやがった。必死になって避ける俺。


「そこぉ!」


俺のスキを逃さず急降下してくるゼルエル。槍の切っ先をこちらに向け、猛スピードで向かってくる。対する俺はというと光線を避けるために体勢が崩れていた。ゼルエルの狙い通りということだろう。


・・・が、甘い。


「【シンクロ】スキル発動! 【オービットソード】!!」


アウルのスキルを借り受け、俺の周囲に数十本の剣が出現する。その剣の切っ先はすべてゼルエルの方を向いている。


「なに!?」


「行け!」


今度はゼルエルの方が回避一択となった。今のゼルエルは剣山に自ら突っ込んできたようなものだ。とっさに急停止して剣を避けるのはさすがだが、今回は数が多い。さらに・・・


「【シンクロ】スキル発動! 【シャイニングフェザーインパクト】!!」


アーテルのスキルで追い打ちをかける。俺の背中から生えた光の翼から無数の光の弾丸がゼルエルを襲う。さしものゼルエルもこれは避けきれないだろう。となると次にくるのは・・・


「くっ・・・【フェザーシールド】!!」


やはり先ほどと同じ防御スキル。空飛ぶ剣と光の弾丸がゼルエルの翼に突き刺さる。


今度はゼルエルに隙が出来た・・・この隙を逃さず突撃していく俺。【エナジーフェザーマント】を展開し空を駆ける。


「【マキシマムスラッシュ】!!」


先ほどまでと変わらず翼に覆われているゼルエルに向かって【豪剣アディオン】を振り下ろす!!


「甘いよ!!」


しかし、ゼルエルは急に翼を開き、同時に槍を俺に向かって突き入れる!!


・・・向こうのほうが早い!


距離が近すぎる! 避けるのは無理だ!!


なすべもなく俺の体に槍が突き入れられた!!


「ハハハ! これで終わり・・・!?」


勝利を確信したゼルエル。・・・だが気づいたのだろう。()()()()()()()()()()()に。・・・そしてまたも()()()()()()()()()()に。


「【ヴァーティカルチャージ】!!」


ゼルエルの()()()()()俺は真上から遠慮なく【豪剣アディオン】を突き入れる。


「うわぁ!?」


咄嗟に体の向きを上に向け槍で受け止めるゼルエル。・・・その反応の速さはさすがだ。・・・しかし、今回は体勢が悪かったな。


「うらあああああ!!」


俺は槍で受け止めたゼルエルを力ずくで押していく。その向かう先は・・・地面だ。


「がはっ!?」


またしても地面に叩きつけられるゼルエル。先ほどと違うことといえば、すでにゼルエルの上に俺がいること、ゼルエルが持っていた槍がすでにその手を離れていること、そして【豪剣アディオン】をゼルエルに突き付けていること。


さしものゼルエルもこの状態ではなすすべもないだろう。


「・・・勝負あり、だろ?」


俺はゼルエルに向かって問いかける。このままとどめを刺すこともできるが・・・まあ、気まぐれだ。


「・・・そのようだね。・・・さっき君に槍を突き入れたけど手ごたえがなかったのは【魔法】か何かなのかな?」


「あれは【分身の術】だ」


あの一瞬、【分身の術】で作りだした俺の幻を先行させ、ゼルエルの目が幻に向かっている間に俺は上空に飛んでいた、というわけだ。


ゼルエル相手に一筋縄ではいかないことはわかっていた。だからこそ、ゼルエル相手に一度使った手が通用するとは思わなかった。きっとあの防御スキルを囮にカウンターを張ると思っていた。幸いというべきか・・・あの防御スキル・・・翼に覆われている間は外の様子を直視できないようだった。おそらくゼルエル自身が気配か何かで外の様子を察知していたのだろうが、そのせいで俺が分身を入れ替わったのが分からなかったというわけだ。あとは翼が開く直前に分身と入れ替われば良い、ということだな。


「・・・【武術】に【魔法】、【兵器】に【モンスター】に【精霊】・・・この世界に来るまでに随分力をつけてきたようだね? ここまで多彩に使いこなす者も珍しいよ」


・・・これは褒められているのか? 言われてみれば確かに色んなスキルを使っていたし。・・・ちなみにアーテルやアウルと一緒に戦わなかったのは【シンクロ】スキルを使うため、あとはゼルエルの実力を確かめるためだった。・・・俺一人では敵わなそうだったらさすがに参戦してもらっただろうが。


単に俺自身が【神仏界】での戦いというのを推し量りたかった、というのが大きい。そして多分だが、このゼルエルはLv.50ということだったがステータスはそれ以上だったと思う。おそらく【転生】しているのだと思う。2度か3度の【転生】によってステータスが上昇し、lv.50相当以上の力を持っていたんだと思う。


ようするにこの世界では単純にレベルだけ見て判断するなっていうことだろう。先に【進化の神殿】で説明を受けていて助かった。


・・・ということはこの塔に出てくる敵の強さは俺の想像よりも大分上なのかもしれない。・・・1階でさえこの様なんだからな。


「確かに君は強いよ・・・でも慢心するのはいただけないな?」


「ん?」


慢心? どういうことだ?


「・・・敵にトドメを刺す前に気を抜いちゃダメってことさ!! 【ホーリーバーストレイ】!!」


先ほどのようにゼルエルの周囲に光の玉が浮かぶ。だが・・・


「誰が気を抜くか。【勇天の一撃(アーク・ストラッシュ)】!!」


俺は動じることなく【豪剣アディオン】を突き入れた。無論、スキルも使って確実にトドメを刺す。


「ぐふっ・・・」


ゼルエルはスキルの発動も間に合わず、そのまま光となって消えていった・・・


作者のやる気とテンションを上げる為に


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― 新着の感想 ―
[一言] これは慢心ではない、余裕と言うのだ
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