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ゼルエル戦

なんと【試練の塔】、1階の相手は目の前にいる【天使】ゼルエルでしたー!


なんでやねんと言ってやりたいが、彼はそんなことお構いなしに塔の内部まで俺たちを(ほぼ強制的に)連れてきた。


「さあ! ここが塔の1階だよー!」


塔の内部は非常に広大な空間だった。まあ、外見からして広いのは分かっていたが・・・何にも無い殺風景な風景だ。ただただ平らな地面が広がっているだけで遮蔽物が何も無い。・・・壁も無い、階段らしき物も無い、ついでに天井も無い。


「いやいや、壁や天井が無いのはおかしいだろ!?」


ここは塔の中だろうが!? この塔は100階まであるんだろうが!? 2階どこ行った!?


「いやだなー。ここは【神仏界】だよ? 常識で考えちゃ駄目駄目。塔の内部は特殊な空間になっているのさ! だからいくら暴れても平気だよ? ちゃんと敵を倒せば上の階へ行ける【転移装置(ポータル)】が出現するから心配しなくて良いからね?」


・・・人間の常識は通用しないって言いたいのだろうか?


「あ! ちなみに上の階に向かう【転移装置(ポータル)】は一方通行だから戻ってくることは出来ないからね」


そんなことは聞いてねぇ・・・前進あるのみ、退路は無いって言いたいのか?


「さあ! どっからでもかかってきなよ!」


そう言うとゼルエルは俺たちと相対する。ゼルエルの獲物は・・・槍か。・・・装飾の無いシンプルな槍だ。特別強そうには見えないが・・・


「じゃあ、ここは自分が行くっす!」


さっそくアシュラが突撃しかけたが・・・


「待てや」


「はうぷ!?」


襟元を掴んで止める俺。・・・前にもこんな事があったような?


「まずは俺が行く。お前達は後ろで待機してろ」


「え~~!?」


アシュラは不満そうだ。・・・他の連中は仕方ないなぁ、という感じなのに。


「昨日、【ヤマタノオロチ】戦、メインを譲ってやっただろう? ここは俺に譲れ」


「う・・・」


・・・自分で指示してやらせたくせにここに来て恩着せがましく譲れと迫る。・・・外道な俺である。


「・・・止めておこうよ、アシュラ。・・・アルクさんの方が何枚も上手だよ」


アスターも賛同してくれている。・・・賛同じゃなく諦めかもしれんが。


「う~・・・仕方ないっす・・・アニキの戦い方を見て勉強するっす」


うんうん、その前向きな姿勢、嫌いじゃない。


・・・悪いな、アシュラ。多分、今のお前じゃまだ勝てない相手だと思うからな。


「・・・と、いうわけで俺が相手だ」


俺は一人、ゼルエルの前に出る。


「いーよー。あ、さっきも言ったけど、他の皆も一応戦闘中になるからねー? 僕は控えの人たちを襲ったりはしないけど、流れ弾とかに当たったりしないように気をつけてねぇー!」


・・・これは純粋な注意喚起なのか? ただの親切心? ・・・嘘を言ってあっちを襲うようには見えないが・・・


とりあえず俺は【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】を取りだし、二刀流で構える。


「あれー? 背中の大剣は使わないのかい?」


・・・イマイチ緊張感に欠けるが、実力は本物だと思う。隙無く槍を構えているし、俺の挙動をくまなく観察している。この感じは・・・【剣士(セイバー)ギルド】のギルドマスター、ヤマトタケルと対峙した時と同じだ。


巨大モンスターと相対した時とはまた違う独特の緊張感と緊迫感。そして・・・殺気。・・・油断はしない。


「【一刀突き】!!」


まずは俺の先制。一気に距離を詰め、抜き身の刀を突き入れる。


「甘いよ!」


しかし、ゼルエルは上手く槍で刀を逸らした、さらにそのまま槍を突き入れてくる。


「うおっ!?」


それを紙一重で避けつつもう一方の刀で切りかかる。・・・が、流れるように手元に戻した槍で弾かれた。むぅ・・・やはり戦い慣れしているな。


「【疾風連斬】!!」


二刀流による連続攻撃。しかし、当たらない。槍を巧みに動かし、上手く捌かれている。しかも合間合間に攻撃までしてくる。


やりづらい・・・回避でもなく防御でもなく、上手く捌かれ、流れるように攻撃を返される。柔良く剛を制すというか・・・テクニックタイプだな。おまけに力も強い。刀が弾かれる度に腕ごと持っていかれそうだ・・・さすがは力と戦を司る【天使】。


力押しはきついかな。ならば!


「【結晶の障壁(クリスタルウォール)】!!」


「うわっ!?」


俺とゼルエルとの間に結晶の壁を作る。同時にバックステップで距離を取りつつ刀をしまう俺。


「こんなもの!!」


一方のゼルエルはあっけなく【結晶の障壁(クリスタルウォール)】を破壊した。・・・だろうな。こんな物で足止めできるとは思ってはいない。だが一瞬でも時間が稼げればそれで十分だ。


俺は【グランディスマグナム】を2丁、両手に取り出す。まずは片方を実弾で発射。


パン! パン! パン!


「ハハハハ! 甘い甘い甘い!!」


しかし、ゼルエルは槍を使って弾丸を打ち落としていく。・・・器用なヤツ。だがそれも想定内だ。今度はもう片方をエナジー弾にして実弾と共に乱射。


「だから甘・・・アイタッ!」


・・・やはり油断したな。2丁の【グランディスマグナム】は見た目、まったく同じだ。故に、片方が実弾だと思えばもう片方も実弾だと思ってしまったのだろう。そして実弾と違い、エナジー弾は槍で弾く事ができない。エナジー弾は物質ではなくエネルギーの弾だからな。


さしものゼルエルも実弾とエナジー弾の乱射は避けきれないだろうな。ゼルエルほどの使い手なら弾道からでも弾を避けられるだろう。だからこそ俺もしっかりと狙わず乱射を続けている。俺自身、ゼルエルのどこに当たるのか意識していないからな。


そして、実弾を弾き、エナジー弾を避けるゼルエルだが、そろそろ・・・


「~~~ッ!!」


バサッ!


そう、空へと逃れるだろう。【天使】なんだから空も飛べるのは当然。俺がアシュラでは勝てないと思った理由の一つでもある。だってアイツ、空飛べないし。


それはそれとして、空を飛べる以上、空に逃げるのは道理。そしてその軌道は真上一択である。なので・・・


「【グランディスマグナム】バスターモード・・・ダブルシュート!!」


その軌道目掛けて、バスターモード×2をぶち込む。ゼルエルは反応するも避けられない。これで決まったかと思ったが・・・


「【フェザーシールド】!!」


ゼルエルは背中の翼を前面に、その姿を隠すように翼に覆われた。そこにバスターが直撃する。爆発が起こるも・・・手ごたえは無い。おそらく防御系のスキル・・・仕留めそこなったな。


ならばと俺は次の行動に入る。


「・・・いやー、危なかったよ! もう少しでやられ「【エナジーフェザーマント】ウィングモードだ」・・・あれ?」


【エナジーフェザーマント】で空を飛翔し、ゼルエルに迫る。今度こそ背中の【豪剣アディオン】を抜く。


「【マキシマムスラッシュ】!!」


渾身の力を込めてゼルエルに振り下ろす。ゼルエルも槍で防ごうとするが・・・勢いがある分、俺の方が上だ!!


「うおりゃああああああ!!」


そのまま槍ごとゼルエルを地面に叩き落とす!!


「がはっ!!」


盛大に背中を地面に打ち付けるゼルエル。


このまま一気に「【ホーリーレイ】」・・・!?


ゼルエルは地面に倒れたまま人差し指を俺に向けると、指先からビームが出てきた。


咄嗟に避ける俺。


・・・しまったな。今のはダメージを食らってでも一気に決めるべきだった。咄嗟に反応して避ける為に止まってしまった。・・・ほら、もうゼルエルは起き上がってきた。


口元の獰猛な笑みを浮かべながら。


「・・・フフフ、ハハハハ! 良い! 良いよ!! やっぱり戦いはこうじゃなくっちゃね!!」


・・・やっぱり一筋縄じゃいかないか。

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