始まりの地
これまた意味深な建造物が出てきたな。
「【進化の神殿】は、皆様の【種族スキル】を覚醒させたり、新たな種族に【転生】させたりすることができる。新たな力を欲する場合はこちらを訪れてください」
おおう、さっそく新情報が・・・【転生】については前にラングに聞いたことがあったかな。別の種族になる時はあそこに行くらしい。
それはそれとして・・・
「【種族スキル】?」
「【種族スキル】とは文字通り、その種族専用のスキルです。ある一定以上の強さがないと取得することができません」
・・・ふむ、要するに一定レベル以上になると解禁されるスキルってことか。・・・そうなると今の俺たちでも取得できるスキルがあるかもな。
「【試練の塔】は文字通り、試練が与えられます。具体的に言えば、塔を上るたびに強力な敵を相手に戦うことになります。腕に覚えのある強者が果敢に挑戦していますね。試練をクリアできれば強力な武器や防具、アイテムなどを手に入れることができます」
文字通りの試練か・・・だが、報酬ありっていうのは気になるな。わざわざ試練と言って場所まで用意してるんだから、それなりに期待できる者なんだろう。
「ただし、塔内部では挑戦者は今以上に成長することはできませんが」
・・・んん?・・・それはつまり経験値が手に入らないってことか? レベルアップできないのはかなり痛いが・・・だが、そのマイナス要素を打ち消すくらい貴重な物が手に入るってことでもある・・・のか? それともカンストしたプレイヤー向け・・・つまり、エンドコンテンツって事なのか?
・・・ここも要チェックだな。
「そして一番重要なのが【謁見の門】です。文字通り、様々な神々と謁見するための門です。神々の住まう領域へと向かうための【大転移門】と考えて貰って構いません」
・・・神々の元へと向かう門か・・・ぞっとしないな。
「つまり、あの門を使えば、俺たちが希望する神様の下へ行けるということですか?」
もしそうなら、とりあえず【ヤタガラス】に謁見賜りたいな。色々聞きたい事があるし。もしくは・・・【知識神オモイカネ】か。
「いえ、残念ながら皆様から選ぶことはできません。神々の方から皆様を自分たちの元へ呼び寄せるようになっています。どのような神に選ばれるかは、皆さんのこれまでの行動によって決まります。・・・ちなみに神々から認められれば【加護】や【守護】を得ることができます」
こちらから選ぶのではない? それに俺たちの行動によって、ということは・・・
「・・・それはつまり、戦闘職の人間は戦闘系の神様から、生産職の人間は生産系の神様から選ばれる、ということですか?」
「ええ、その通りです。ここを訪れる人は必ずしも戦いに秀でているとは限りませんからね。しかし、どのような職業だろうと、神々はちゃんと見てくださっています。また、神々に認められる方法も様々です。戦いを見せろという神もいれば、何か物を納めろという神もいます。・・・自分と全く合わない神から選ばれることはないので安心してください」
・・・ある意味でガチャ要素みたいだな。しかし、まったくの外れ・・・神様を外れ扱いするのは大分失礼だが・・・は無いみたいだな。戦闘職では無いアーニャやアヴァンには朗報か・・・ん? 待てよ?
「神様の方から俺たちを呼び寄せるということは、その神様の元に行けるのは、その選ばれた人のみってことですか? 仲間たちと一緒に行くことはできない?」
「そうですね。その人の【眷属】は一緒に連れて行く事ができますが、他の方々と一緒に行くことはできません」
・・・これはまた面倒な展開だ・・・つまり、個人戦になるってことか・・・いや、必ずしも戦いというわけでは無いらしいが・・・
「・・・ラグエルさん・・・【魔族】の私を選ぶ神様がいるのでしょうか?」
・・・うーん、アルマが気にしているとおり、【魔族】と神様って相性的に悪い感じがする。【魔族】を選ぶ神様と言われると・・・魔神?
「ええ、もちろんですよ。便宜上、神々とは言っていますが、より正確には神の力を持った者たちが集まる場所・・・それが【神仏界】です」
・・・神の力を持った者たち?
「どんな存在であれ、その力が種族を超え、理を超え、生命としての規格を超えたとき、神へと到る道を歩み始めます。そしてその道の先にある神の力を手に入れるのです。故にこの世界には人間から進化した【武神】や、魔の力を極めた【大魔王】、人間によって作られた【機械神】、最強の種族の頂点に立つ【龍帝】、長き年月を存在し続けた【精霊王】など、様々な存在がいます」
・・・なんか想像以上に混沌とした世界みたいだ。そして色々ツッコミ所満載だ。・・・少なくとも俺たちの中で神様に会えない奴はいないみたいだが。
「・・・大雑把な説明は以上となります。より詳しい説明は各施設に案内人がいますので、実際に立ち寄って聞いてみてください。ちなみに私は【謁見の門】の案内人でもありますので、基本的に私は門の前にいます。あ、それと、一度ここを訪れた者ならば、今度からは案内無しでもこの場所を訪れることは出来ますので。それでは・・・」
そう言ってラグエルさんは【謁見の門】の方へと飛んでいってしまった。
「・・・予想以上に予想外な世界ね」
アテナの正直な感想である。俺も同感だが・・・
「それで、これからどうするのです?」
「んんー? ・・・とりあえず【進化の神殿】とやらに行ってみようか。【種族スキル】とやらが取得できるのなら、先にそっちに行った方が良いだろう。【転生】はさすがにしないが」
「【転生】はLv.1スタートになりますからね。現時点でやるメリットは無いでしょう」
仮にやるにしてもトーナメント後になるだろうな。今からLv.1に戻って今のレベルまで戻るには時間がかかりすぎる。
「ボクは【試練の塔】に興味があるっす!!」
我がクランの武闘派、アシュラはやはりそっちに興味がいったか。
「それは俺も興味があるが経験値が上がらないのがネックだな。・・・今のところ装備品は充実しているし、無理して【試練の塔】に行く必要はないだろう。・・・まあ、どんな感じなのか概要は知っておきたいから行くだけ行ってみても良いと思うが」
「・・・確かに塔に挑戦しても直ぐに成果があるとは限りませんし、トーナメントに向けてはレベリングを優先した方が良いでしょうね」
「なるほど・・・わかったっす!」
俺とアスターの説得に納得のアシュラ。素直なのは良いことだ。
「後は【謁見の門】だが・・・まあ、行ってみるべきだろうな。どんな神様が出てくるか不安だが・・・不利益になる事は無いだろう」
逆にここで行かなかった場合、トーナメントで不利になる可能性もある。上位陣は【神仏界】も当然訪れているだろうし。
「そうね・・・皆バラバラになるっぽいのが不安だけど・・・」
「今のうちに消耗品を振り分けておいたほうが良いでしょうか?」
「おっと、そうだな。少なくとも俺とアテナ、アルマ、アシュラは戦闘になる可能性が高いし、他のヤツラも・・・可能性が無いとは言えないしな。・・・今のうちにパーティ編成もしておくか」
アスターは腕も立つし、アーニャとアヴァンは本人が戦闘職ではなくとも【眷属】が強力だからな。戦闘の可能性は0では無い。
「あと、カイザーは・・・アヴァンのパーティに入れておくか」
唯一例外的な【眷属】であり、【クランメカロイド】のカイザーをどのパーティに入れるか、悩んだが人数的に妥当な所だろう。
「いや、カイザーはアルクのパーティに入るのだ。こちらよりもアルクの方がきっと厄介な戦闘になるに決まっているのだ。戦力は多いほうが良いのだ」
・・・と思ったら本人から却下されてしまった。・・・なんで俺の所だけ厄介なのが確定なんだよ。なんで皆、うんうん頷いてるんだよ。
「まあ、皆がそう言うのなら、そうするか・・・」
「ヨロシクオ願イシマス」
「クルー!」
「だう!」
・・・若干、俺の所に戦力が偏っているような気がするが皆が納得したのでこれで良しとしよう。
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