【神仏界】へ
===ログイン===>【アークガルド】クランホーム
「おはようこんにちこんばんは」
「・・・その挨拶、まだ続けてたのね・・・」
「なんだか久しぶりに聞いたような気がするんですが」
・・・珍しく声に出して挨拶したが、そう言えばあんまり声に出してなかったような気がする。・・・はて? じゃあ、俺は今まで誰に挨拶していたんだろうか? ・・・気にしないでおこう。
さて、なぜ俺が声に出して挨拶したのかと言うと、既にメンバーが揃って庭にいたからだ。・・・また、俺が最後か。
「全員、そろっているみたいだな」
「はいなのです!」
「・・・何気に皆、緊張しているみたいなのだ」
・・・だから早めにログインしてしまったと? 子供じゃないんだから・・・君らは見た目子供だけど。
「アニキ! わくわくするっすね!!」
「・・・アシュラは全然緊張してないみたいです」
・・・緊張はしていないみたいだが、わくわくして早めに来るのも子供みたいだと思うぞ?
「・・・まあ、今回は全員一緒だ。気負わず行こう。・・・アーテルたちも良いか?」
「クル!」「がお!」「ピュイ!」
「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」
「ハイ」「勿論デス」
「だう!」「あい!」「まう!」
・・・うむ、気合十分だな。
「なら早速行こうか!」
こうして【アークガルド】総出で【神仏界】へと向かった。
===移動===>大転移門
というわけで【神仏界】の【大転移門】前である。
最後の【大転移門】・・・何やら感慨深いものがある。・・・どの世界も途中までしか進んでいないがな!
ちなみに全員フル装備状態である。俺も【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】を装備中だ。何故って?・・・今のところ、神様関係でろくなことが無いからだよ。
「・・・よし! 行くぞ!!」
「「「「「「お~~!!」」」」」」
俺たちは気合を入れて【大転移門】へと突入した・・・何故ただ新しい世界に行くだけでここまで気合を入れなきゃいけないのか?
===移動===>【神仏界】始まりの地
「・・・これは・・・」
「・・・摩訶不思議な世界ですね」
【大転移門】を潜り抜けて出た場所を見たアテナとアルマの感想だ。俺も同感である。
今、俺たちのいる場所を端的に伝えると・・・雲の上、だ。
地面がふわふわとした綿菓子の様な感じで、見た目は雲そのものだ。それが360度、どこまでも続いている。空は雲一つない快晴・・・ここが雲の上なら当たり前だが・・・青い空がどこまで続いている。
いわゆる天国ってこんな感じなのかなぁ~と思わなくもない。そこら中から【神気】を感じられるし。
「・・・これはまた、奇妙な場所なのだ。・・・ここが雲の上なら、遥か下に地面があったりするのだ?」
「いや、多分無いと思うぞ」
「何でそう言い切れるのです?」
俺は周囲を確認しながら答える。
「この雲みたいな地面・・・どこまでも続いているが・・・地平線が見えないだろ? 多分、地球の様な球体ではなく完全にたいらな世界なんじゃないかな。それに空をよく見てみろ。太陽も月も無いし、星の光すら見えない。なのに周囲はこんなに明るいし、空が青く見える。・・・多分どっかの星の空の上、とかではなく、最初からこういう世界ってことなんじゃないか?」
なんとも不可思議な世界である。だがどう見ても人間・・・生物が暮らしているような世界には見えないな。というかマジで何も無いんだが、どうすれば良いんだ?
ここは手分けして何か探すべきかと思ったが・・・
「アニキ! 誰かいるっす!!」
「・・・こちらに向かってきてるみたいですね」
アシュラたちの指さす方向を見ると確かに人影が見える。・・・人、っていうかあれは・・・
「・・・【天使】・・・か?」
確かに人の陰に見えるが、翼が生えているし、空を飛んでるし。
「皆さん、ようこそおいでくださいました」
その【天使】・・・男性は俺たちの前まで飛んでくると、着地して柔らかな微笑みを浮かべながら挨拶してくれた。
アテナ以外で初めてみた【天使】だ・・・ただし、羽が4枚ある。男性は金髪のイケメンで、古代ギリシャ風の白い服を着ている。
「私の名はラグエル。皆さんをご案内するためにやってきました」
・・・案内? ・・・それにラグエル、だと?
「・・・ありがとうございます、ラグエルさん。俺はアルク。このメンバーのリーダーです」
順に挨拶していき、最後に質問する。
「それで、ラグエルさん。俺たちをどこに案内しようと?」
ラグエルさんはやはり、微笑んだままま優しく答える。
「勿論、皆様の行くべき場所ですよ。この世界は特殊なのです。我々【天使】の案内が無ければ、延々と何もない場所を彷徨うことになりますよ?」
・・・案内が必要だとは、これまでの世界とは全然違うな。しかもさらっと怖いこと言ってるし・・・
「・・・どうするの? アルク?」
アテナが警戒しながら聞いてくるが、俺たちには選択肢はないだろう。
「・・・わかりました。案内をお願いします」
「はい、それでは私に付いてきてください」
そう言って歩きだすラグエルさん。・・・飛んで行くんじゃないんだな。何はともあれ、彼に付いて俺たちも歩き出す。
「・・・信用しても良いのですか? アルクさん」コソッ
アルマが小声で話しかけてくる。・・・そういえばラグエルさんは【魔族】のアルマに何の反応もしなかったな。逆にアルマは【天使】に付いていくのは不安そうだ。
「・・・大丈夫だろう。敵意はないみたいだし・・・それに手掛かりがない以上、他に選択肢もないだろう」コソッ
・・・それにラグエルという名前。確か、天国に来たエノクという人物を案内をしたのがラグエルという【天使】だった、という話を聞いたことがある。おそらく、この人・・・もとい【天使】が案内役というのは本当だと思う。
「・・・アルク」コソッ
今度はアヴァンが話しかけてきた。何やら深刻そうな顔だが・・・
「・・・【ビートル君】が動かなくなったのだ・・・偵察に出そうと思ったのだが・・・無理なようなのだ」コソッ
・・・この世界では録画禁止ってことか? 試しに俺が持っていた【ビートル君】も全く動かない。ラグマリアやカイザーは動いているから機械系が駄目というわけではないようだが・・・
「・・・下手な動きはしない方が良さそうだ」コソッ
「・・・わかったのだ」コソッ
「・・・さあ、皆さん。着きましたよ」
え? もう? さっきの場所から数百メートル程度しか移動していないが、なにも・・・あれ?
「・・・いつの間にか建物があるのです」
立ち止まった俺たちの前に現れたのは確かに先ほどまではなかった建造物だった。建造物は・・・三つ。
巨大な門、巨大な神殿、巨大な塔だった。
「この場所が【神仏界】の始まりの地・・・皆様に分かるように言えば拠点・・・でしょうか。あの門は様々な神々と会うための【謁見の門】、神殿は各種族の有り様を決める【進化の神殿】、そして塔はあらゆる強者を受け入れる【試練の塔】になります」
・・・うーむ、中々一筋縄にはいかないようだ。
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