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霊刀・改

===ログイン===>【アークガルド】クランホーム


おはようこんにちこんばんは。


フッ、昨日は狩りに狩りまくったぜ。【武術界】の【ウルティム鉱山ダンジョン】から始まり、【魔法界】の【マナティア鉱山ダンジョン】、そして【人間界】の【海底神殿ダンジョン】とまわっていった・・・【ミスリルタイト】製の装備が2、3個作られる数だ。


俺には既に【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】があるが、他にも強力な武器がほしい。メンバーやラング、ガットには俺の武器が筒抜けである以上、切り札となるものが欲しい。・・・まあ、ガットに制作を依頼するから奴には筒抜けなんだが。


あとはスキルか・・・【魔法】系のスキルはアテナやアルマにはかなわないだろうからなぁ。俺の場合は【武術】系のスキルのほうなんだが・・・対【魔法】スキルが欲しいところだ。これに関しては自力で探さなきゃいけないんだが・・・無かったら、ひたすら避けるしかないな。


「・・・で、今度はなんだ? ラング」


ホームにはラングの奴が来ていた。てっきりトーナメントまでは接触はないのかと思ったが。・・・ロゼさんは来ていないようだ。


「なーに。この間の【緊急クエスト】の報酬だった【白虎の精霊結晶】の検証が終わったからね。君たちに教えておこうと思ってね」


どうやら用途不明だった【精霊結晶】の詳細が判明したようだ。それは良いのだが・・・


「まさか、押し売りする気か?」


「それこそまさかだよ。君たちにはタダで教えるさ。なにせ緊急クエストを教えたのは君だからね」


・・・ふむ、タダと言われると逆に悪い気がしてくるが、教えてくれるというのなら教えて貰おう。しかし・・・


「それなら教えて貰うがタダっていうのはいただけない。・・・代わりにこの焼き芋をやろう」


「・・・なんで焼き芋? まあ、貰えるのならいただくよ。・・・さて、説明を聞きたいメンバーを集めてくれるかい? あと、君らのホームの【練習場】を借りるよ?」


「わかった」


俺は全員にメールを飛ばした。どうやら全員ログインしているようだ。・・・そういえば、俺がログインしたとき、大抵だれかログインしているんだよな。というか俺が最後の場合が多い。・・・もうちょっとマジにならないと駄目かも。


そして小一時間後。【アークガルド】のメンバー全員が集結した。なお、アーテルたち【眷属】組は庭で遊んでいる。見ていても面白いか分からないし、ラングの話ではそう時間は取らない、とのことだからだ。


「さて、そろったところでこれを見てもらえるかい?」


ラングが見せてきたのは一本の刀だった。


【霊刀・白虎 ☆10】

特性:ATK+150 属性:聖 消耗度:0%

SLOT1:亡霊に対して特攻効果

SLOT2:【白虎の精霊】

亡霊武者の刀を打ち直した刀。白虎の精霊の力が宿っている。


「・・・これってもしかして前にお前らが作った【霊刀・虎】か?」


正直、あれっきりのネタ武器だったと思ったが。・・・ちなみに読み方はれいとう・とら、なのか、れいとう・こ、なのかは不明のままだ。


「そうだよ。【白虎の精霊結晶】を合成したらこうなった。SLOTに【白虎の精霊】という項目が追加されているだろう?」


確かに。俺の【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】にも【剣鎧の精霊】という項目が追加されているが、とうとうその詳細が判明するのか?


「まあ、口で説明するより実際に見せた方がわかりやすいだろう」


そう言うとラングは刀を抜き、上段に構える。しかし、ダミーターゲットまでにはかなり距離がある。どう見ても刀が当たる距離ではないが・・・?


「・・・ハッ!!」


そしてそのまま刀を振りかぶる。すると刀身から半透明の虎・・・白虎が飛び出した!


ドゴッ!!!


白虎はダミーターゲットに体当たりをして、ターゲットごと消えていった。


「・・・ふーっ」


「・・・【白虎の精霊】の精霊の力が宿ってるってこういうことなのか・・・」


言うなれば【白虎の精霊】の超限定的な召喚か。見た感じ、緊急クエストで見た【禍白虎】とは大きさも強さもかなり制限されているようだが。


「そのようだね。ただ、これを使うとLPを消費するから無限には使えない。【眷属召喚】他を考えるとそう何回も使えるものではないかもね」


ふむ。逆に言えば戦闘用の【眷属】が居なければ重宝するかもしれない。威力のほどは微妙だが、攻撃手段としては意表を突くものだし。


「あと、レアリティによって威力が変わるみたいだ。まあ、僕たちはこれ以上のレアリティの武器がなかったから、これ以上は試せていないけど。あと、合成に使った【白虎の精霊結晶】は当然なくなるから、これを付けられるのは一つだけ。ただ、【白虎の精霊】の項目のある武器を素材にして新しい武器を作った場合、その項目は引き継がれるみたいだ」


なら弱っちい武器に使ってしまっても取り返しがつかない、と言うわけではないのか。・・・もっとも武器自体は素材として使う以上、なくなってしまうのだが。


「・・・こんな感じだね。個人的にはBPやMPを消費しない攻撃という意味ではかなり強力だと思うよ?」


なるほど、ね。


「はい! 質問!!」


今まで黙っていたアテナが手を挙げている。


「何かな?」


「今の攻撃ってターゲットに当たったら消えたけど、武器や【魔法】で打ち落とすことはできるのかしら?」


おっとそれを忘れてた。・・・まさか防御不能な攻撃じゃないだろうな。


「僕たちの検証した結果によると、迎撃は可能だよ。ただし、それなりの攻撃を与えないと【白虎】は消えなかった。僕たちの検証した範囲だと、あるプレイヤーのパンチでは一発で消えたのに、他のプレイヤーでは何発パンチを当てても消えなかった。これは僕たちの予想だけど、【白虎】には疑似的にHPみたいなものがあってそれを削り切らないと消えないものとみてる。・・・あ、使用時に目標として定めたターゲットに攻撃を加えたら一発で消えるから、使用には注意が必要だね」


・・・ふむ、本当に疑似的に【眷属】を呼び出す感じだな。


「はい」


今度はアルマが手を挙げる。


「はい、アルマ君」


ラングがアルマを当てる。お前は学校の先生か。


「先ほどLPを消費すると言いましたが、LPが残っている限り何度でも使えるのですか?」


「使えるね。ただし、同時に2体出すとかはできない。一度【白虎】を出したら、その【白虎】が消えるまで次の【白虎】を出すことができない。僕たちの試した感じだと、どうしても数秒のタイムラグが出るね。これはプレイヤーの腕の違いだと思うけど・・・あとLPの消費が案外大きいからそう連発もできないと思うよ?」


・・・まあ、一度に何体も出せたら、そればっかり出すよな。LPが続く限りとは言ったがLPポーションを用意していればそれなりに・・・大変だろうけど。


「・・・」すっ


今度はアヴァンが手を挙げた。え? もうこういうシステムになったの?


「【白虎の精霊結晶】は武器以外にも合成できるのだ? 具体的には防具や【兵器】などには使えるのだ?」


「防具には使えなかったね。合成できない場合は、この装備には合成できません的なメッセージが出てくるから【精霊結晶】を無駄に失うなんてことはないよ。合成できる場合は、合成しますか?のメッセージとYES/NOの選択肢が出てくるからね。【兵器】には・・・申し訳ないが試せていないので分からないな。うちにはアヴァン君の様なエンジニアがいないからね。もし試すようなら結果を教えて貰えるとありがたいね」


「むう・・・仕方がない。後でできるかどうかだけは試してみるのだ」


【白虎の精霊結晶】は一個しかないからな。次、いつ入手できるかもわからんから、なんの武器に使うかは皆で相談だな。


それはそれとして、せっかくの質問タイムだ。俺からも質問しよう。


「・・・なんだい?」


・・・なんで俺だけ嫌そうな顔するんだ? まあ良い。


「ラングはトーナメントでこれを使う気か?」


「そんなこと、ここで答えるわけないだろう?」


・・・すげなく返された。


・・・当然か。

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― 新着の感想 ―
[一言]  さすが情報ギルドの頭目。  説明が丁寧でわかりやすいですね。
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