お参りする
HAPPY NEW YEAR!!!
今年もよろしくお願いします。
(*゜▽゜)ノ
焼き芋食べながらほわほわほくほくしているとアルマとアヴァンが戻ってきた。
「よう、今日は早かったな、・・・ほれ」
焼き芋を渡しながら話しかける。・・・収穫に参加していないのにあげるのもどうかと思ったが、畑を耕したり、種を植えるのは二人も手伝ったからな。・・・それに、俺や他のメンバーだって必ずしも収穫に参加できるとは限らない。だからって食べられなくなる、というのも困る・・・俺が。
なのでそういう場合は気持ち多めに素材などをクラン倉庫に収める、ということで決着した。まあ、ようするにいつも通りなのだが・・・働かざる者食うべからず、は守るつもりだ。
「ありがとうございます」
「すまないのだ・・・あちち・・・美味なのだ・・・」
うむ、二人も味に感動しているようだ。フィオレやラグマリアも同様である。
「・・・その様子じゃあ、あんまり収穫はなかったようね」
もぐもぐ焼き芋を食べながらアテナがアルマに聞く。・・・口の中の物を食べきってからしゃべれや。お兄さん、そこらへん、厳しいよ?
「ええ、ミミングさんに【禁忌魔法】についての本を教えて貰ったのですがやはり抽象的なことしか書いていませんでした。島を一つ沈めたとか、隕石の雨を降らせたとか、マグマの海を作ったとか・・・」
・・・抽象的ではあるがヤバさが良く分かるな。というか、そんなやばい【魔法】をそう簡単に覚えらたら苦労はないよな。・・・というか使ったら普通に味方も巻き込まれそうだ。
「・・・なるほど・・・アヴァンは?」
同じく焼き芋をモグモグさせていたアヴァンは口を開きかけたが、口を閉じて芋を食べきってから口を開いた。・・・うん、今のは俺の話しかけるタイミングが悪かった。
「・・・ゴクン・・・こちらも似たようなものなのだ。【兵器】の参考になりそうな本はあったのだが具体的な入手法やレシピなどはなかったのだ・・・やはり、あの【精霊図書館】は基本的にプレイヤーにヒントを与えるための場所だと思うのだ」
ふむ、こっちも同じか。そして図書館に関する感想も同じだな。つまり今後も活用していこうってことだな。
「だた、気になるのはラグマリア・・・【ヴァルマキナ】という種族の情報もなかったのだ。【クランメカロイド】の情報が手に入ったのだから、【ヴァルマキナ】についても何かあると思ったのだ・・・昨日のうちに【機甲界】のコーナーは予め調べ、今日は念のため他のコーナーも確認してみたがそれらしい本がなかったのだ。・・・・アルマのようにミミングとやらにも聞いてみたが、やはり無かったのだ」
ふむ・・・すぐそこで焼き芋をリスみたいに頬張っているラグマリアの情報もなかったか。ロボットではなくアンドロイドだそうだし、今のところラグマリア以外の【ヴァルマキナ】という種族は見たことがないな。・・・なんか理由があるんだろうか。
まあ、そこら辺も【機甲界】の攻略が進めばわかるんだろう・・・多分。
「・・・それでアニキ、この後の予定はどうするっすか?」
一通り焼き芋を食べ終わったところでアシュラが確認してきた。・・・話し合いならクランホームの会議室で・・・今更行くのもめんどくさいな。
「素材集めは終わったから基本的に自由行動だぞ。レベリングに行こうが、冒険に行こうが、食材集めに行こうが、パーツ集めに行こうが、農業しようが自由だ」
・・・自分で言っといてなんだが自由の幅が随分広いなぁ。
「なるほどっす。・・・ちなみにアニキはどうするんっすか?」
「俺か?・・・基本的にレベリングだが・・・その前に【人間界】を少し回ってみようと思う」
「【人間界】? 今更見て回るようなものあった?」
話を聞いていたアテナが不思議そうに俺に尋ねる。
「いやいや、案外、盲点的になにかあるかもしれないだろ? 確かに【人間界】はプレイヤーが最初に訪れる世界だし、冒険の拠点として色々見てはいたが・・・どうもまだまだいろいろあるみたいだ。・・・カジノとかテーマパークとかな。・・・まあ、レベルが上がることはなさそうだから適度に切り上げるが・・・とりあえず、【神仏界】に行く前に、行っておきたいところが一つできたからな」
実は【人間界】についてはあまり調べたことがなかったので改めて調べてみると、結構いろんな施設があったのだ。
「行っておきたい所?・・・どこですか?」
アルマも興味深そうに聞いてくるので答えてやる。
「・・・【カミヨロズ神社】」
===移動===>【人間界】【カミヨロズ神社】
「・・・なんでみんな付いてくるかな」
さっそく移動してきた俺だったのだが、なぜかメンバー全員付いてきた。
「良いじゃない。私たちも興味あったし・・・」
「そうっすよ、アニキ! ・・・にしてもでっかい鳥居っすねー」
【人間界】の移動は基本的に【転移装置】で移動する。他の世界のように歩いて次の街へ移動、ということはない。なので位置関係がよく分からない。神社というからには日本のことなんだろうが、地名が出てこないので断言はできない。同じく【海底神殿】もどこの海底にあるのか不明だ。まあ、これも運営の何らかの意図があるんだろうが。
それはそれとして、【転移装置】から出ると目の前には巨大な鳥居がある。軽く30メートルオーバー・・・巨人でもお参りに来るのだろうか?
「でっかいのですー、でも早速突撃するのですー!」
「あ、ちょっと待て、アーニャ。鳥居を通る時は一礼して左寄りに左足からくぐるらしいぞ」
昨日たまたまテレビでやってたにわかの豆知識である。
「・・・あ、昨日テレビで言ってたやつね」
・・・なぜかちょっと恥ずかしくなった。
ま、まあ、とりあえず作法にならって鳥居をくぐる。・・・実はこの作法、鳥居の数だけやらなければいけないらしいが・・・幸い鳥居はひとつだった。代わりに・・・
「「「「「うわぁ~」」」」」
鳥居よりもさらにデカい本殿そして参道の両側には・・・
「像がいっぱいだな・・・犬、猿、鳥、魚、猫・・・良く分からない生き物もいるな。・・・しかし、一体いくつあるんだ?」
そこに並んでいる像はどう見ても十や二十ではきかない。というか百や二百でもきかない気がする・・・一体いくつあるんだ。・・・まさか八百万じゃないだろうな。
「これは・・・みんな神様の像なのか?」
これだけの数があるのに同じ像が一体もない。それでいて中々、造形が凝ってる。・・・ここの運営は一体どこに力を入れてるんだ?
なかなか・・・いや、かなり荘厳な参道を歩いていく。
「・・・【武術界】にあった【アマテラス神社】や【ツクヨミ神社】【スサノオ神社】とはまた違う雰囲気ですね」
・・・確かに厳かな雰囲気ではあるが、前に進めなくなるほどの圧迫感・・・【神気】は感じない。・・・いや微量には感じるかな。しかし、身動きできない程度ではない。
そんなこんなで本殿の前まで来る。・・・これまた大きな賽銭箱に・・・あの鈴がついた・・・ガラガラ?もある。そしてここから見える本殿の中だが・・・ご神体は見えない。多分、ご神体がお収められている木箱の様なものがあるのみだ。
「どうもこの神社ご神体は収められているがどんなご神体なのかはわからんらしい。本殿に入ったプレイヤーもいない。ゲームらしく謎ってことなのかもな」
「それはまた・・・不思議なところなのだ。・・・それで参拝客が来るのだ?」
それが意外と来るらしいんだよねぇ。どういうご利益があるのかはわからんが。
とりあえず、全員でお賽銭(5G)を投げ入れて、ガラガラを鳴らし、手を鳴らして拝む。
・・・願う内容、考えてなかった。・・・こういう場合、願うより祈る方が良いんだっけ。
今後も面白おかしく過ごせるように。
・・・違う意味で罰が当たりそうだ。
皆も終わったようだ。一体何を願ったのか祈ったのか聞くような野暮をしない。俺としてはみんなの望みが叶うよう祈るだけだ。・・・あ、しまった。そう祈ればよかった。
「あ、アニキ、アニキ! あっちでおみくじ売ってるっすよ! 皆でやってみるっす!!」
「お守りも売ってるようですね。効果あるのかな?」
・・・ふむ、なんか普通に参拝に来たみたいだな。・・・はて? 何しに来たんだっけ?・・・まあ良いか。・・・ちなみに売り子さんは普通に人間の巫女さんだった。
「やった! 大吉よ!!」
アテナがさっそくおみくじ引いたらしい。
「・・・あちゃー、凶でした」
ふむ、アルマは凶か。・・・まあ、これから運気も上昇するよ。・・・それにしても、いくら同一人物でも別々にくじを引いたら結果も違うか。
「うにゅー、平だったのです」
平凡の平か・・・いや、平穏の平か。・・・いずれにせよアーニャには平和に料理を続けてほしい。
「・・・ふむ、末吉なのだ。・・・微妙なのだ」
・・・圧倒的にコメントに困る微妙な結果だな。まあ悪いよりマシだが。
「・・・むむ! 中吉っす! 良い方の結果っすね!!」
「・・・僕は吉だった。確か中吉より吉のほうが上だったよね?」
確か大吉、吉、中吉、小吉、末吉、凶、大凶だったっけ? 神社によって違うんだったような気がするが・・・まあ、良い結果だよな。・・・あれ? 平ってどこに入るんだ?
おっと肝心の俺がまだ引いていなかった。巫女さんに頼んでくじを引く。
「・・・」
・・・うーん・・・これはどこから突っ込めばいいんだ?
「どうしたの? アルク?」
「何が出たんですか?」
アテナとアルマが俺の引いたくじを見たがったので、見せてやった。そこに書かれていたのは・・・
天凶
「「天凶!?」」
うん、びっくりだよね。俺も初めて見たよ。これを仕込んだ運営に悪意を感じる。というか天凶ってなに。天災級の災いが降りかかるってことか?
「むう・・・さすがなのだ、アルク」
「なぜアルクさんはこうも引き当てるのです?」
「やっぱりさすがっす! アニキ!!」
「・・・掲示板にも情報ないですね。やっぱりアルクさん持ってますね」
やかましい。俺をなんだと思ってる? しかも、このくじ、天凶の2文字しか載ってねぇ。アテナたちのくじには何かしらのアドバイスが載ってるのに・・・何故だ。
・・・そしてアーテルとアウルもくじを引きたがったので引かせてあげた。
・・・二人とも大吉だった。orz
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