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お芋はおいしい

===ログイン===>【アークガルド】クランファーム


おはようこんにちこんばんは。


結局略さないままの挨拶で行こうと思う俺である。でも、俺は思うんだ・・・なんでも略そうとする現代の日本だが、このままで良いものかと。それじゃあ、本当に伝えたいことが伝わらないんじゃなかろうかと。だからこそ、略さずこのままでも良いんじゃなかろうかと!・・・すまん、嘘だ。結局良い略し方が思いつかなかっただけだ。


まあ、それはさておき、俺は今、いつものホームではなくファーム・・・畑の方を見に来ている。


「・・・成長が早いなぁ~」


「クルー!」


「だう!」


ちなみに俺の頭の上にはアーテルが、さらにその上にはアウルが乗っかっている。何故だ。


まあ、それも置いておくとして2日前に植えた種たちは順調に育っているようだ。・・・むしろ順調すぎて不思議なことになってるんだけどな。リンゴの木やミカンの木のような木がなるタイプは地面から木がちょこっと出てきてさすがに時間がかかるようだが、キャベツやニンジンなど地面の中で育つタイプはもう既に青々とした草が生えている。・・・成長スピードが異次元だな。


「そうですね。僕もここまで大規模に育っているのを見るのは初めてです」


畑担当(笑)のアスターも一緒に来て畑を見ている。と、いつよりほとんどのメンバーがこの場に来ている。来ていないのはアルマにアヴァン、そして二人の【眷属】のフィオレとラグマリアだ。・・・どこに行ったのかって? 【精霊図書館】に決まってるじゃないか。二人ともログインした途端突撃していったそうだ。・・・二人とも熱心に調べものしているらしい。調べている内容は推して知るべし。


「アーニャはもう良かったのか?」


昨日はアヴァンと共に【精霊図書館】に突撃していったアーニャは今回はこちらに来ている。調べ物は終わったのか?


「残念ながら昨日だけでは調べきれなかったのです・・・ノワールちゃんのことについては昨日、アルクさんから聞いた以上の情報は見つからなかったのです・・・でも【料理】に関する情報はいくつか見つかったのです!!」


ほう、それは朗報だ。【眷属】に関する情報も重要だが、【料理】に関することはかなり重要だからな・・・主に俺たちのテンションを上げるために。食材やレシピを手に入れるためならば俺たちは協力を惜しまないだろう。・・・うん、俺たちも餌付けされてるな。


「今は、このお野菜たちの方が重要なのです!!」


「キュイー!!」


「キュアー!!」


「キュウー!!」


アーニャもブランもノワールもテールも目の前の畑の野菜に興味深々らしい。・・・気持ちは分かるんだが、それで良いのか?・・・特にノワール。


「・・・それで? もう収穫できそうな作物はあるのかしら? アスター君?」


アテナも興味津々か・・・コイツがアルマと別行動なのは珍しいな。いつもセットで行動しているイメージがあったが・・・食い気が勝ったのか・・・


「・・・今、何か失礼なことを考えなかった?」


「ノーノー、オレハ、ムジツ、デス」


俺はアテナとアルマが近くにいるときは心を無にすることを心に決めた。・・・実践できた試しはない。


「えーっと・・・」


アスターが畑を丁寧に見回っていく。正確には【収穫鑑定】というスキルで収穫可能かどうか、作物を一つ一つ【鑑定】していっているそうだ。便利ではあるんだが、スキルを習得しているのはアスターだけなので今後収穫の際はアスターがいるのが必須になるな。・・・俺たちも取得を検討すべきか。


「・・・解析不能」


ちなみにカイザーも同じように【鑑定】・・・いや、スキャンかな?・・・しようとしたが失敗したらしい。超高性能ロボットでも、作物の成長具合は分からないようだ。・・・そのあたりは後でアヴァンに頼め。


「・・・今、収穫できるのは()()だけですね」


アスターが指さしたのは畑の一部分にある草たち・・・はて? 何の作物だ? 残念ながら草の部分だけを見て何の作物か分かるほどの知識は俺にはない。


「お! ならさっそく引っこ抜くっすー!」


「まうー!」


アスターの収穫OKを聞いて早速アシュラがその草を引っこ抜く。・・・いや、正確には草ではなく、その下の実ごと、なんだが。・・・それを見て何の作物なのかさすがに分かった。


「これは・・・イモか」


正確にはサツマイモのようだ。形といい、色合いといいさすがに分かる。・・・あんな乱暴に引き抜いたのに、なぜ葉っぱがちぎれず、実ごと引っこ抜けるのか。・・・隣ではルドラくんは葉っぱだけちぎってしまって涙目だと言うのに。


「【精霊イモ】ですね。まあ、そのまんまサツマイモですが、割とすぐに収穫できるのでよく出回ってますね・・・リアルだと半年近くかかるんですが」


リアルでは半年、ゲームの中では2日か・・・さすがにゲームの中で半年も待つのはほぼ不可能だが・・・早すぎだな。リアルで農家な人たちに怒られそうだ。


「他の作物も、明日か明後日には収穫できそうです。リンゴの木などは成木になるまで時間がかかるので収穫にはもうしばらくかかりますが・・・代わりに、一度成木まで育てると、後は定期的に実を収穫できるようになるんですけどね」


リンゴやミカンの実食はもう少し後か・・・まあ、楽しみに待とう。今は・・・


「・・・なら、この【精霊イモ】を皆で掘り出して、さっそく実食といこうか」


「良いわね!」


「はいなのです!」


こうして俺たちは【精霊イモ】を全員で掘り出した。幸い人数がいたのであっと言う間に収穫を終えた。


【精霊イモ】を抱えて日本家屋風の別宅まで戻り、早速イモを洗ってどのように食すか考える。


「茹でてみるのです?」


「・・・いや、ここは古き良き日本風で行こう。アスター、落ち葉とかってあるか?」


「え?・・・ああ、【農業ギルド】に行けば譲ってくれると思いますよ? ちょっと行ってきます」


俺が言いたいことを理解したのかアスターは早速落ち葉を取りに行った。わざわざすまん。


アスターが戻ってくるまでの間に、俺たちは別宅の庭に出て適当に場所を作りたき火の準備をする。アスターが戻ってきたところで落ち葉を置き、点火。【魔法】の火のためかあっという間に火力がでる。アルミホイル(アーニャが持っていた)で【精霊イモ】を包み、火の中に入れる。


「焼き芋っすか! 良いっすねぇー」


そう、一度はやってみたかった焼き芋である。それも落ち葉を集めて焼くタイプの。漫画やアニメではよくあるシーンだがリアルでやるのは色々大変なのでやったことはないのだが、ゲームの世界ではモーマンタイ! 素晴らしきかなゲーム世界!!


「【料理】とは言えないかもですが、これはこれで良いものです!」


アーニャが火を見てくれている。高い調理技術がある彼女に任せれば大丈夫だろう。アーテルたち【眷属】組も今か今かと待ち遠しそうに見守っている。


パチパチイモが焼けるのを眺めながら雑談する俺たち。


「しっかし、イモ掘りなんて小学校でやって以来だな」


確か、野外実習だがなんだがでやった覚えがある。


「・・・そうなんだ・・・私は・・・覚えてないわね」


・・・そうか、アテナは10歳以前の記憶が無いんだったな。小学生で言えば4年生くらいか・・・さすがに焼き芋食って記憶は戻らないよな?


「え? ・・・アーニャが小学生の時はそんなことやったことないのです」


「僕もないですね」


「ボクもっす!!」


・・・え?・・・ジェネレーションギャップ? それとも地域によって差があるのかな? まあ、だから何だという話だが。・・・もしかして今のでリアル年齢ばれた?


「・・・そろそろできたと思うのです!」


アーニャの声にそれぞれ焼き芋を取り出し、早速実食する。


「・・・美味い」


少し熱いがホクホクで柔らかく、優しい味だ。・・・心に染み入るようだ、といったら年寄りくさいか? しかし、なんというか、強烈に美味い!!という感じではないが、なんというか・・・ほっこりするな。


「・・・これはおいしいわね・・・」


「・・・なんだか優しい味なのですー」


「本当ですね。これはおいしい」


「・・・」はぐはぐはぐ


・・・皆も同じようだ。アシュラだけ夢中になって食ってるが。


「クル!」「がお!」「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」


「だう!」「あい!」「まう!」


「・・・」コクコク


アーテルやアウルたちもはふはふ言いながら夢中になって焼き芋を食べている。うむ、何というか・・・平和な風景だ。・・・【兵器】やら【禁忌魔法】やらを調べているアヴァンやアルマにも見せてやりたいところだ。


昨日とはうって変わってほっこりとした一日の始まりであった。


なお、アルマたちの焼き芋は・・・無い!!と言いたかったが、二人についていったフィオレやラグマリアがかわいそうだったので、ちゃんとこの場にいない連中の分もとっておいた。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 芋って実じゃなくてねでしたよね?(困惑)
[気になる点] 濡らした新聞紙に包んでからアルミホイルではなかっただろうか。
[一言] 正直、ゲームの中でのグルメなんてのはどうでもいいのだ… どう考えても健康に悪いし
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