ミスリルは硬い
===移動===>海底神殿ダンジョン B1F
というわけで【海底神殿】ダンジョンに到着。
「なんとも不思議な場所っすねぇ」
「なぜこんな場所が【人間界】にあるのでしょうか?」
確かにアシュラやアスターの言う通り、海底に遺跡があることといい、ダンジョンがあることといい、【人間界】にこんな場所があるのは不自然に思える。・・・あ、しまった。【精霊図書館】で調べてくれば良かった。
「・・・理由は分からんが、今回の目的は調査じゃなく【ミスリル鉱石】集めだ。・・・っとさっそく出てきたぞ」
ダンジョンに入っていくとさっそく【ミスリルゴーレム】が出てきた。
「早速行くっすよー!!」
「まうー!!」
そして早速突撃していくアシュラと、アシュラについていくルドラくん。元気な奴らだ。
「はあああ! 【竜撃拳】!!」
【ミスリルゴーレム】に思いっきりパンチを食らわせるアシュラ。その結果は・・・
「~~~いったあああああ!!!」
殴った拳をとても痛そうに抱え込むアシュラ。そりゃそうだろう、と言いたいが【竜人】の拳よりも硬いとは【ミスリル】の方がさすがというべきかもしれん。
「ま、まう・・・」
アシュラの様子を見ておじけづいたのかアシュラの背中かに隠れるルドラくん。・・・痛いのは嫌だよね。
「もう、何してるんだよ、アシュラ! ミコト、回復を頼む!!」
「あい!!」
ミコトちゃんがアシュラたちの方に向かい、アスターが代わりに【ミスリルゴーレム】に向かう。
「【暗黒の大鎌】!【サイコリッパー】!! ・・・なにぃ!?」
アスターが闇属性鎌や【念動力】スキルで攻撃を加えるがいまいち効果が低いようだ。・・・なんかデジャヴだなぁ。・・・昔は俺たちもあんな感じだった。
「いやいやいやいや、しみじみとしてないで助けないとダメじゃない?」
「さすがに今回は手助けが必要なのでは?」
・・・確かに、アスターは闇属性しか持ってないみたいだし、アシュラは属性攻撃ができるが武器がない。素手でも頑張ればなんとかなるかもしれんが・・・あの様子じゃ厳しいそうだ。・・・さすがに俺もそこまで鬼ではない。
俺は【豪剣アディオン】を取り出し【ミスリルゴーレム】に突撃する。
「【俊天の疾走】!・・・【勇天の一撃】!!」
【ミスリルゴーレム】を真っ二つにする俺。
「い、一撃っすか・・・」
「・・・さすがに自信がなくなるんですけど・・・」
二人が言うが、これは単に武器性能とスキルの力だぞ。
ミスリルと同等以上の金属の武器なら割とあっさり倒せるんだが、金属的に劣っている武器だと厳しい。属性を付けてカバーするか、強力なスキルで一気に決めないとな。
前回は火属性と水属性をつけた攻撃による金属疲労を引き起こして倒したが二人には厳しいか。
とりえず二人には前回、俺たちがどうやって倒したのかを説明してやる。
「・・・なるほど、わかったっす! 次は任せてほしいっす!!」
・・・ほう? なんか知らんがアシュラに策があるようだな? そこまで言うなら任せてみよう。
「・・・本当に大丈夫かな・・・」
・・・その不安はよくわかるぞ、アスター。
===移動===>海底神殿ダンジョン B2F
続いて地下二階、【ミスリルゴーレム】が2体、挟み撃ちするように迫ってきている。
「・・・あっちのゴーレムはアテナ、アルマ。二人に任せる。俺はアシュラが失敗したときのためにフォローにまわる」
アシュラを信用していないわけではないが、備えは必要だ。もしアシュラが失敗して死に戻ったら、見殺しにしたみたいになるしな。
「わかったわ」「はい」
俺が言う通り、後方のゴーレムに向かっていく二人。・・・ドゴンとかバゴンとか聞こえてくるが気にしない。
「それじゃあ行くっすよ! ルドラ! 【精霊憑依】っす!!」
「まうー!!」
・・・ここで【精霊憑依】だと? ルドラの力を借りても【ミスリルゴーレム】に通用するスキルが無ければ意味がないぞ?
「【竜撃掌】!!」
今度はパンチで殴るのではなく、掌打を打ち込む。・・・確かにあれだと拳を痛めることはないだろうが・・・アシュラは【ミスリルゴーレム】の攻撃をかわしながら掌打を何度も打ち込んでいる。・・・あの程度の攻撃じゃあ・・・いや、効いてる? 段々、ゴーレムの動きが鈍くなっていく。
そして時間をかけ、何度目かの打ち込みの末・・・ゴーレムは倒れた。
「・・・倒した、だと? 時間はかかったが、属性攻撃も使わずに?」
「あれは・・・そうか! 貫通ダメージですよ!!」
・・・なるほど。外的ダメージではなく、内部に浸透する攻撃でダメージを与えたのか。確かに硬い敵に対しては有効な手段ではあるのだが、ダメージ量という意味では普通の攻撃より落ちる。【ミスリルゴーレム】を倒すほどの攻撃となると、何度も何度も攻撃を当てる必要がある。
ああ、BPが尽きないようにするための【精霊憑依】か。しかし・・・
「や、やったっす・・・」
「まうー・・・」
【精霊憑依】を解いて戻ってくるアシュラとルドラくん。疲労困憊といった感じだ。一体倒すだけでここまで消耗していては・・・いや、倒すことができたことは素直にすごいとは思うが。
ちなみにアテナとアルマはサクっと既に戻ってきている。・・・インフレ、むなしい。
「・・・倒せたことはよかったけど・・・一体倒すのに、ここまで消耗するとなると・・・」
「むぅ・・・己の未熟さを呪うばかりっす!」
だが一体とはいえ、倒すことができた以上、地下一階を周回すればアシュラだけでも【ミスリル鉱石】を必要数まで入手することができるということだ。つまり・・・
「まあ、【ミスリルゴーレム】自体は倒すことができたんだ。あとは時間の問題だろう? 未熟さを悔やむのは良いことだと思うが、今は全員で協力して【ミスリルゴーレム】を倒していこうぜ? 装備さえ整えばアシュラもアスターも互角以上に戦えるようになるはずだ」
「アニキ・・・わかったす!!」
分かってくれたらしい。まあ、今はクランメンバーで来ているからな。リベンジするにも次の機会にしてもらおう。
「だう!!」
「ん?」
アウルに服を引っ張られる。これは・・・アウルもやりたいのか? さすがにアウルが【ミスリルゴーレム】を倒すのは厳しいんじゃないかと思うんだが・・・まあ、やりたいならやらせてやろう。
と、こんな調子でダンジョンを進んでいき、【ミスリルゴーレム】を倒しまくって【ミスリル鉱石】を入手していった。
なお、はやりというべきか、アウル一人では【ミスリルゴーレム】を倒すことはできず、俺とアーテルが手助けすることになった。・・・涙目になりながらぐずるアウルが少し可愛かった。よしよし、今度、【ミスリルゴーレム】に通用するスキルを覚えような。
必要数まで【ミスリル鉱石】を集めた所で、素材集めは終了。
【アイゼンガルド】に行ってガットに素材を渡し、装備の作成を依頼した。
これにて本日の作業は終了ということになった。
・・・なお、アーニャとアヴァンは戻ってきていなかった。
【精霊図書館】で本探しに忙しいらしい。・・・ほどほどにしてほしいところだ。
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