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海中再び

===移動===>【人間界】海中


「あいー♪」


「まうー♪」


「だーうー♪」


・・・気を取り直して【ミスリル】を手に入れるために【海底神殿】に向かう。今はその道中、海の中である。・・・アウルたち【精霊】組は普通にあっち行ったりこっち行ったりせわしない。とりあえず【精霊】たちは水の中でも問題ないらしい。


ちなみに前回と違い、今回は水着ではなく戦闘服だ。このゲームでは特に服が水を吸って重くなる、なんてことはないので、動きの上では変わりない以上、水着を着る必要がないと判明したからだ。・・・残念。


「むう・・・やっぱり水の中だと動きにくいっす・・・」


「そうだね・・・足場がないのがきつい」


アシュラ、アスターも水中戦の確認中だ。以前の俺たちもそうだったが、水の抵抗がリアルにあるために、武術職には特にきつい場所なのだ。


「まあ、危ない時は私たちがフォローしますから・・・あら?」


アルマの声に全員が振り向くと、その先にいたのは前回同様、魚・・・のモンスターの群れだった。ピラニアども、お久しぶり。


「・・・アテナ、アルマ。まだ手を出すなよ。まずは新顔組で相手をする」


「ええ」


「わかりました」


ここでつまずいてたら先には行けないからな。何事も経験と慣れである。


「・・・そういうわけだ、アシュラ、アスター。相手のレベルは低いが油断せずに行け」


「わかったっす!」


「はい!」


二人・・・ミコトちゃんとルドラくんもだが・・・に相手を任せる。


「・・・アウルの力も試させてもらう。水中でも問題ないかどうか、な。アーテルも手を出すなよ?」


「だう!」


「クルッ!」


うむ。良い返事だ。


「なら、アウル。【オービットソード】だ」


「だーうー!!」


アウルから放たれた20本の光の剣がピラニアの群れに向かっていく。・・・そして次々とピラニアを三枚におろしていく。


「だーう♪ だーう♪」


・・・問題はないみたいだ。むしろアウルは楽しそうだ。


・・・頼もしいと言うべきなんだろうな。実際、初めて俺が水中で戦った時よりも戦えてるし。・・・だが魚を三枚おろしにして楽しそうって、ちょっとやばい気がしないでもない。・・・アウルは俺がしっかり指導しないとな!


・・・さてアシュラたちはどうかな?


「【サイコリッパー】!」


「あいー!」


アスターが大鎌を振るうと、当たってもいないのにピラニアたちが真っ二つになっていく。【念動力】というスキルは水中でも有効か。こっちも問題なさそうだ。・・・ミコトちゃん? アスターを応援してるよ? ミコトちゃんは戦闘タイプじゃないし。回復役には戦闘の邪魔にならない位置にいて、随時回復してもらった方がありがたい。そういう意味ではミコトちゃんはちゃんと心得ていると思う。


アスターたちは問題ないみたいだな。問題は・・・


「おりゃーっす!」


「まうー!!」


豪快に殴りかかるアシュラとルドラくん。・・・だが素早いピラニアをとらえきれず、拳は宙をきる・・・もとい水中をきる。


なにしてんだ? あいつら?


「おい、アシュラ。ただでさえ不安定な水中なんだ。ただの格闘じゃ厳しいぞ。・・・ちゃんとスキルを使え」


チャレンジ精神は認めるし大事だと思うが、アシュラもルドラくんも若干ムキになってるな。ちょこちょこダメージを負ってるし・・・良くないな、これは。


「うう・・・なんか調子がでないっす・・・」


「まーうー・・・」


・・・どうやらこの二人、環境の変化に弱いタイプみたいだな。元々、近接格闘に特化したタイプだし無理もないかもしれんが・・・今してるのは試合ではなく戦いなんだよなぁ。


「・・・二人とも、まずピラニアを追いかけるのをやめろ。こっちから追いかけるんじゃなくて、近寄ってきたピラニアにカウンターを食らわせろ。それに出来るだけ手数が多いスキルを使え。一発で仕留めようなんて考えるな」


実際、俺が前回海に潜った時にも同じように対処した。経験者からのアドバイスである。幸い、相手のピラニアは群れで来ている。一匹を狙うより全体を狙った方が当たりやすい。


「なるほど・・・わかったっす!!」


「まう?」


アシュラは分かったようだが、ルドラくんはよくわかっていないようだ。・・・俺、そんな難しいこと言ったっけ? それとも、他人の【眷属】へのアドバイスはこんな感じなのか? ・・・いや、たしかラグマリアやレオーネたちにはちゃんと俺の言葉は通じてたよな・・・多分、ルドラくんのレベル不足・・・かな。


アシュラは動くのを止め、拳を構えたまま静かにその場で佇んでいる。そんなアシュラの元にピラニアの群れが近づいていく。そして・・・


「・・・【ショットガンパンチ】!!」


高速で拳を突き出し、ピラニアたちを次々と倒していく。


【ショットガンパンチ】は【ラッシュパンチ】の上位スキルだ。散弾銃のように気力の拳を飛ばす、今回のような複数の敵と戦うのに便利なスキルだ。一発一発の威力は弱くなるが、ピラニア相手にはそれでも十分なようだ。


・・・ピラニアの方に警戒心がなくて助かったな。先ほどまでとは雲泥の差だ。水中での動作はアシュラよりピラニアの方が上だが、パンチのスピードはアシュラの方が圧倒的に上だ。的確にとらえることができれば、いかに水中といえど負けるような相手ではない。


ちなみに格闘好きなプレイヤーには人気のスキルらしい。何故か知らんが・・・


「だてにあの世は見てな「やめろ!!」」


アシュラが危険な発言をし始めたので止める。お前、あの世なんて見てないだろうが。・・・某主人公が使ってた技に似てるから人気なのか・・・俺? 勿論取得しているが何か?


「・・・まう!」


そんあアシュラの様子を見ていたルドラくんが何かを理解したのか、アシュラと同じように動きを止め、同じように拳を構える。・・・そして向かってきたピラニアを・・・


「まーうー!!」


アシュラと同じように高速で拳を突き出し、次々とピラニアを倒していく。


「「おお~~!!」」


アテナとアルマが感嘆の声を漏らす。俺も驚きだ。


アシュラと同じ【ショットガンパンチ】だ・・・【拳武の精霊】なら使えてもおかしくはない。一見ただの真似をしてるだけの様に見えるが、着実にピラニアたちを倒していく。ちゃんと狙ってやってるようだ。


・・・先ほどルドラくんのレベルが低い、と思ったのは訂正しよう。ルドラくんは言葉で説明するより、やって見せた方が理解できるタイプらしい。理屈や理論より感覚で覚えてく・・・アシュラにぴったりじゃないか。アイツも感覚派だし。


そして新顔組の活躍であっという間にピラニアの群れは全滅したのであった。


「お疲れ、アウル」


「クルー!」


アウルの働きを労う俺とアーテル。


「だうー♪」


嬉しそうなアウル。うん、大分強くなってきたな。


「・・・ふぅー、疲れた。・・・大丈夫だよ、ミコト」


「あい!」


アスターが疲れ気味のようだ。スキルを連発していたからな。【サイコリッパー】は数体の敵に切りつけるスキルらしいから、数を相手にするのは厳しいらしい。今後の課題だな。・・・ミコトちゃんが頭をなでなでしてるからきっとすぐに回復するだろう。


「よくやったっす! すごいっす、ルドラ!!」


「まうー♪」


アシュラがルドラくんを抱えて活躍を讃えているが・・・アシュラよ。本来ならお前がルドラくんに指示しないといけない立場だと思うんだが?・・・アシュラの課題はルドラくんと上手く連携ができるようになることだな。


「・・・お二人とも、やはり多数相手にするのは苦手のようですね」


「ああ。まあ、二人の戦闘スタイルは近接系だからな。俺だって多数を相手にする場合は【魔法】か【兵器】頼みだし」


「逆に私やアルマは一人相手には向かないのよね。【魔法】は発動までにタイムラグがあるし・・・」


魔法職相手にはその隙を狙うのが定石だからな。やられる前にやれ、ならぬ【魔法】を使われる前にやれ、である。まあ、二人の場合は【眷属】のレオーネやフィオレという壁役、もしくは引き付け役がいるから、実際にはそう簡単にはやられはしないだろうが。


まあ、対策案は各自でも考えているだろうし・・・多分だが・・・クランとしてはできることをした上であとは各自に任せよう。


さあ、この調子で【海底神殿】まで行こうか。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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