調べ物
===ログイン===>【アークガルド】クランホーム
おはようこんにちこんばんは。
上手い挨拶の略語が思いつかない俺がいる。・・・できれば他で使われていない独創的で斬新でワンダフォーな略し方は無いものか・・・悩ましい。
まあ、それは置いておいて今日は何時もより早めにログインしてみた。ちょっとした調べ物をする為だ。今日はアシュラたちの素材集めに付き合う予定だから、それまでに終わらせないとな。
「クルッ!」
「だうっ!」
おっと、さっそくアーテルとアウルがやって来た。・・・いつきても元気だな、お前ら。よしよし。
しかし、割と早い時間だから他のメンバーは誰も・・・
「あら? アルク?」
「今日は何時もより早いですね?」
・・・いたよ、コイツら。
「ちょっとな。二人こそ今日は早いんじゃないか?」
「今日は他にやる事がなかったのよ。だから早めに来て、レオーネたちと遊んでたの」
・・・他にやる事がないって・・・実はリアルではぼっちとか?
「今、人のこと言えないこと考えませんでした?」
「・・・なんか日本語おかしいぞアルマ」
しかし、言っていることは間違いではない不思議。・・・だれがぼっちだ!
「それはそうと、昨日は大活躍だったらしいじゃない?」
「誰から聞いたんだ? アテナ?」
昨日はあの後、顔を合わせずそのままログアウトしたはずだが?
「アヴァンがもう来ているのよ。さっそく工房に引きこもってなにやら作ってるわ」
・・・え、もう? 早くね?・・・機械弄り好きだな、アヴァン。
「新しい【機械兵】がまた、空から降ってきたそうですね? 前回もそうでしたが・・・輸送機でも飛んでいるのでしょうか?」
俺の脳裏に映画なんかでよくある、上空を飛んでいる輸送機からパラシュート部隊が降下する場面が浮かび上がった。あれを見ていつも思うが、ちゃんと目的の場所まで降りられるのだろうか? 普通に風に飛ばされてとんでもない場所まで流されていきそうなもんだが・・・
・・・それはともかく、実際の所、基地上空を探してみてもただただ赤い空が広がっているだけで何も見つからなかった。一体【機械兵】たちはどこからやってくるのか・・・今のところ有力なのは輸送機みたいなのが運んできて、そのまま飛び去っているんじゃないか、という考えだ。・・・今までは、な。
「ああ、それに関しては掲示板とかも調べてみたんだが、いくら調べても輸送機らしき物の目撃情報がないんだよなぁ。ただ、他の場所でも空から【機械兵】が降ってきているのを目撃した奴がいたみたいだ。そいつも本当に上空から降ってきたようにしか見えなかったと言ってるらしいがな。・・・アヴァンとも話したが、もっと上に【機械兵】の基地があるんじゃないかと今は疑っている」
「もっと上って・・・空の上に基地があるってこと?」
「いや・・・もっと上だ」
「・・・それってもしかして・・・宇宙ってことですか!?」
そう、大気圏外に基地があって、随時、【機械兵】を降ろしてるんじゃないかと思うんだ。【機甲界】は、【アースヴェルト帝国】っていうのが幅を利かせている世界らしいから、俺たちがいたあの場所が火星で、【アースヴェルト帝国】とやらが地球にいるのなら、あながちおかしなことではない。
「まさか・・・今から現地に行って確認してくる気!?」
「いやいや、まさかまさか。いくら俺でもそこまで無謀じゃねぇよ」
というか俺たちって宇宙にまで出られるのだろうか? アーテルに乗っけてもらって高高度まで上昇した事はあるが、さすがに宇宙まで行った事は無い。・・・生身で宇宙に出られるのだろうか? このゲーム。【魔法】かスキルで何とかなるのか? 摩擦熱で燃え尽きるなんて嫌だぞ、俺は。・・・あ、アークカイザーに乗って行くって手もあるか? だが時間制限があるしな・・・
なんにせよ、もっと調べてからだな。基地に乗り込む正規ルートがあるかもしれないし。
「・・・まあ、そこも含めて調べに行くのは合っているけどな」
「調べに行く? どこにですか?」
「・・・【精霊界】の【精霊図書館】だ」
===移動===>【精霊界】エリア0【精霊図書館】
「・・・で、なんで付いてくるんだ?」
【精霊図書館】へと移動してきた俺。アーテルとアウルがいつものごとく付いてくるとして、アテナとアルマまで一緒についてきた。ついでに彼女たちの【眷属】であるレオーネをフィオレも。さらについでに、アーテルたちの相手を頼むつもりだったカイザーも一緒である。
「良いじゃない。一度来てみたかったし」
「もしかしたら私達にとっても有益な情報があるかもしれませんからね」
・・・ふむ、まあ良いか。どうせ一度は案内しなきゃいけない場所だったしな。
「やれやれ・・・カイザー、アーテルたちの相手を頼む」
「オ任セ下サイ。・・・サア、皆サン、行キマショウ」
「クルッ!」「だう!」「がお!」「ピュイ!」
・・・モンスターと【精霊】を引き連れて去っていくロボットの図。いつ見てもシュールだ。・・・ちなみにカイザーが読み聞かせる為に取った絵本は・・・『三匹の子豚の精霊』?・・・ちょっと中身が気になるな。
「・・・よし、アーテルたちはカイザーに任せてこっちはこっちで調べるとするか」
「そうね。・・・あっちが【人間界】のコーナーで・・・【武術界】、【魔法界】、【幻獣界】、【機甲界】、【精霊界】っと・・・」
「・・・【神仏界】のコーナーが無いですね」
・・・そういえば【神仏界】のコーナーだけが無いな。【精霊】はどんな世界にもいるんじゃなかったのか?・・・やっぱり【神仏界】は特別扱いなのか? いくら【精霊】でも神様には敵わないか?・・・いや、それとも2階以上の階に? 確か何かの条件を満たさないと2階には上がれないらしいが・・・そういえば階段が無いな。どうやって上にあがるんだ?
「・・・まあ、無い物は仕方が無い。各自、調べたい物を調べるって事で。・・・あ、読める内容がプレイヤーの行動範囲で違うみたいだから気をつけろよ。もしそういうのがあったら後で教えてくれ。もしかしたら二人が読めない内容でも俺なら読める箇所があるかもしれないからな」
「わかりました」
「了解です」
そんなわけで別行動開始である。
まず俺が確認したかったのは、前回アスターたちと一緒に来たときに確認した『冒険者エルクスの冒険録 vol.52』と『剣鎧王と拳武王の伝説』である。
俺とアスターとアシュラは実際に【拳武王の遺跡】まで行き、アシュラは【拳武の精霊】であるルドラを、俺は【剣鎧の精霊】であるアウルを【眷属】にする事ができた。
要するに現場に行って色んな事を知った今なら、読める内容も増えているんじゃないか、と思ったわけなのだが・・・
「・・・前回と変わりないな」
残念ながら記述されている内容は前回と同じで変化は無かった。出来れば【武術界】のどこかにあるという【拳武王】と【剣鎧王】の遺跡の情報を得たかったんだがな。ならば、と他の本も探してみたがそれらしい情報を得る事はできなかった。・・・やはり【武術界】の方の現地を探し出して直接確かめてみるしかないか。
・・・まあ、残念ではあるが、これについては半ば予想していたからな。それほど落ち込むようなことじゃない。
では次・・・あともう三つの用件を片付けるとしよう。
向かうのは【幻獣界】のコーナーだ。
目的の本を探す事、少し・・・
「・・・あった」
俺が手に取った本。
タイトルは『天馬と魔龍』である。
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