兵器の可能性
すっきりさっぱりした所でここからは別行動になる。
アテナ、アルマ、アーニャ、アスター、アシュラたちは【ミスリルタイト】の材料を集めのために各地を巡りに行った。
残りの俺とアヴァン(+眷属たち+カイザー)は別口で行動することにした。・・・言っておくが俺が女性陣に嫌われたとかそんなんじゃないからね? 単に割り振りの結果こうなっただけだからね? いやー、一人だけ女性陣に混じってるアスターがウラヤマシイナー。
「アスター・・・涙目だったのだ・・・」
・・・きっとこの経験も将来、彼の役に立つはずだ、うん。頑張れ、アスター!
「ソンナコトヨリモマスターアルク、今回ノ編成ハバランスガ偏ッテハイマセンカ」
・・・そんなこと扱いされたアスターが不憫だが、今はラグマリアの問いに答えようか。
「向こうは回るところが多いからな。人数を集中させて時間を短縮する事が狙いだ。逆にこっちは必要な事ではあるが急ぎじゃない。今はあっちが優先だ」
「ふむ。で、我らはどうするのだ?」
「決まってんだろ・・・パーツ集めさ」
===移動===>【機甲界】マーズ前線基地
「うおりゃぁああああ!!」
ガッキーーーンッ!!
というわけでやって来たのは、今や懐かしき【機甲界】のマーズ前線基地である。カイザーを入手した思い出の地であるが・・・いまや【機械兵】のパーツ集めの狩場である。インフレ万歳。
ちなみに今のは司令官ロボにトドメを刺したときの音である。・・・戦闘描写?・・・前回の焼き直しになるので省略。クランメカロイドのカイザーがいたから大分助かったと行っておこう。
「・・・なるほどなのだ。ボスも視野に入れたパーツ集めなら、こちらにもある程度の戦力が必要なのもわかるのだ」
一度倒した事がある相手とはいえ、ボスが相手となればそれなりに苦戦するだろう。ただ前回よりもレベルアップしているし、カイザーもいるから人数を減らしても勝てるとふんでいたのだ。
結果は・・・目の前のスクラップになったボス司令官から察しの通りである。
「しかし、ここに来てなぜ急にパーツ集めなのだ?・・・まあ、我は大助かりなのだ」
そう、俺たちは普段、手が空いた時にパーツ集めを行っていた。アーニャが料理に使う食材集めも同様である。ただし、ガッツリ集めていたわけではないのでそこまで大量に在庫があるわけでもないのだ。
「無論、兵器開発のためさ。・・・兵器っていうか機械といったほうが良いかもしれんが・・・まず第一に農業用の機械を作れないか、だな」
実際に体験してみると分かるが、農業はやはり大変な作業だ。メンバー全員が揃っていればそれほど手間ではなかったが、今後も拡張を行い、メンバーが揃わないときのことも考えると、どうしても何か対策が欲しい。
【農業】スキルのレベリングもあるから全てが全て機械任せとはいかないが、今後の安定生産のためにも補助的な機械が欲しい所だ。・・・なんか本格的に農家の人みたいな悩みを抱えてるな、俺。
「なるほどなのだ。仮にトラクターのような物を作ろうとするならば、確かに大量にパーツが必要なのだ」
・・・俺としてはそんな大物まで作れるのか、という方が疑問なんだが?
「まあ、そこまで行かなくても例えば・・・スプリンクラーのような物があれば水やりの手間が省けるだろ?」
「・・・ふむ、分かったのだ。こちらでも確認してみるのだ」
俺としても農業用の機械には詳しくはない。レシピが必要かもしれないし、このあたりは調査が必要だろうな。
「第二に・・・これは完全に兵器の話だな。・・・大人数の敵を相手にしたとき用の兵器が欲しい」
「む・・・それは先日の緊急クエストを受けて、なのだな?」
そう、先日の緊急クエストでは大量の【邪霊】相手に立ち回ったばかりだ。
「ああ、俺たち・・・特にアシュラやアスターだな。大量に敵を巻き込むようなスキルを持っていないメンバー用にサブウェポンが欲しいと思ってな」
アシュラやアスターは基本的に1対1に特化している。勿論、それについて文句も口出しもないのだが、大人数の敵・・・特にザコを相手にチマチマ戦うのは効率が悪く消耗も大きい。アテナやアルマのような大規模な【魔法】を覚えれば良いのかもしれないが、スキルのレベリングに時間がかかるし、場合によってはSPや【獲得券】を使わなきゃいけない場合もある。
さすがにそこは俺からは強制できない。自分の使うスキルは自分で選んでこそだと思う。
そこで代案。それ用の武器、中でも比較的扱いやすい【兵器】が適当だと思うんだ。
「ふむ・・・複雑な【兵器】は扱いも難しいのだ・・・扱いやすく、多数の敵を相手に出来る【兵器】・・・候補としては【アサルトライフル】や【ショットガン】・・・いや、ただ引き金を引くだけならば【ミサイル】や【ナパーム】なんてどうなのだ?」
・・・自分で頼んどいてなんだが、どんどん物騒な方向に進んでいるな。仕方が無い。
「サテ○イトキャノンや月○蝶でも良いぞ?」
「世界を滅ぼす気なのだ!?」
・・・やだなー、そんなわけないじゃないか。HAHAHA。
「まあ、冗談は置いておいて、そういうのがあればBPやMPが0になった時とか武器の消耗度がやばくなった時でも戦う手段の一つになるからな。あって損は無いだろう?」
実際、緊急クエストでも回復が間に合わないまま連戦になる事は多々あった。そういった場面も想定して備えておくのは悪い事ではない。
「・・・わかったのだ・・・まだ、あるのだ?」
アヴァンのその顔は、まだ本題があるだろう? と言いたげだった。・・・アヴァンも中々鋭いな。
「・・・ああ、これが最後である意味本題だが・・・これを試して欲しい」
俺が【収納箱】から取り出したのはとある結晶だった。
「む・・・それは・・・?」
「【雷の精霊結晶】だ。緊急クエストの報酬の中にいくつかあった。ラングの話ではこの結晶を使えば武器や防具に属性を付加できるらしいな。なら兵器にも同じ事が出来るんじゃないか、と思ってな」
ただし、【精霊結晶】のドロップ率はかなり低いらしい。他のメンバーに確認したところ、同じように報酬の【精霊結晶】がいくつか【収納箱】に入っていたらしい。ただ、属性はバラバラで数も少なかったが。・・・あれだけ倒してこの数なのだから本当にレアなんだろう。
なもんで、使わない奴はクランの【共有倉庫】に入れておけば良いが、せっかくドロップした貴重な【精霊結晶】なのだから自分が貰った分は自分で使おう、と各自で持っておくことになった。ただし、【白虎の精霊結晶】や【朱雀の精霊結晶】は一つずつしか入手できなかったので、リーダーの俺が保管してメンバーの同意なしに勝手に使わないようにしているが。
「むぅ・・・アルクの取り分の【精霊結晶】を使って【兵器】を作れ、というわけなのだ?」
・・・アヴァンは難しそうな顔をしているが、目が興味深げにキラキラ輝いている。
「そうだな。・・・【雷の精霊結晶】を【グランディスマグナム】に【合成】すれば・・・どうなるか楽しみじゃないか?」
ウンウンと頷くアヴァン。勿論、結果としては何も起きないかもしれないし、ただ【精霊結晶】を失うだけの結果になるかもしれないが、それはそれ。試してみる価値はある。チャレンジ精神を忘れてはいけないのだ。
「・・・面白いのだ・・・上手くすれば新しい【兵器】を開発できるかもしれないのだ」
おお、アヴァンがやる気だ。
やはりアヴァンもチャレンジ精神旺盛のようだ。
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