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戦いはもう始まっている

「本当ならもっと早く果たさなきゃいけなかったんだけど、正直、うちの中でもごたついていてね。特に先日の【忍者】クラスとレイドクエストに関しては今でもバカ売れしているし、今回の緊急クエストに関してもこれから稼げるだろうから、今後も期待してくれて良いよ? ちょっと時間はかかるかもしれないけどね」


まだ増えるんかい。にしても1000万Gか・・・あくまで俺の金ではなくクランの資金だが・・・宝くじでも当たったかのような気分だ。


「ちなみに【アイゼンガルド】の武器、防具、アクセサリー情報も同じ位売れてるよ?」


ガットたちもか。確かにこれくらい儲けているんなら、メンバー全員に奢っても平気なわけだな。どうりで強く拒絶しなかったわけだ。・・・いざとなったら金貸してやろうとか思っていた自分が少し恥ずかしい。


・・・あ、そうだ。緊急クエストの報酬もついでに確認して置くか・・・なんで直ぐに確認しなかったんだっけ?・・・ああ、すぐにカオスの奴を見つけたからか。カオスが悪いな(ひどい責任転嫁)。


『クエスト5位の【アークガルド】への報酬は以下になります。

参加者全員に50万Gを贈呈します。

【アークガルド】クランに500万Gを贈呈します。

初回クリア対象者にSP20を贈呈します。

初回クリア対象者に称号【大邪霊を討つ者】を贈呈します。

クリア報酬を【収納箱(アイテムボックス)】に転送しました』


個人への報酬金とは別にクランに対しての報酬金もあったのか。・・・カオスの奴は一人で総取りしたんだよな。一体いくらだったんだろう。


【大邪霊を討つ者】

大邪霊を討伐した者に贈られる称号

大邪霊に対してダメージ増加


称号効果は予想通りだな。次に同じクエストを受ける時に有利になるだろう。あとは【収納箱(アイテムボックス)】か・・・おお、【精霊界】産の野菜が一杯・・・と言うほどでもないがそれなりに種類と数があるな。種も手に入ったし、今後の食生活が楽しみだな。


あとは・・・【精霊結晶】っていうのが手に入ってるな。レアリティがバラバラなのは・・・倒した【邪霊】の種類の違いかな。こんなのもあるし。


【白虎の精霊結晶】

白虎の力が宿った精霊の力の結晶。武器や防具、アクセサリーに使用できる


【朱雀の精霊結晶】

朱雀の力が宿った精霊の力の結晶。武器や防具、アクセサリーに使用できる


・・・うーむ、何に使うかは分かったが、どうやって使うのかと使ったらどうなるのかが分からない。前から思っていたが【鑑定】の説明文、不親切というか微妙にわかりにくいな。


「詳しいことは【詳細鑑定】というスキルを使って調べるんじゃよ」


「どっから湧いて出てきた、ガット」


人が思案している所で急に話しかけてくるガット。いつの間に部屋に入ってきた?・・・何故マイクを持っている?・・・ズ○ドコ節か・・・余談だが、ズ○ドコ節って原作者不明らしい。・・・違う、そうじゃない。せめてちゃんと説明してから歌えや。


「【詳細鑑定】というのは文字通り、より詳細な説明が見られるようになるスキルだよ。武器向きなのか防具向きなのか、属性はあるのか、どんな場所で手に入るのか、とかね。前にガットやヴィオレ君が素材を指定しただろう? あれは【詳細鑑定】でどんな素材が適切なのか前もって知ってたからだよ」


渋い感じで歌い始めたガットに変わって説明してくれるラング。そんなスキルがあったのか。ただの経験則で素材を指定したんじゃなかったのね。


「ちなみに、更に詳細な情報が見れる【詳細素材鑑定】とかもあるらしいよ? この素材を使えば、どのパラメータがどのくらい伸びるのか下がるのか分かるっているスキルだってさ。まだ取得した人に会った事なくて掲示板情報なんだけどね」


まさにガチ勢向けのスキルか。中には最強の武器を作ることに執心している奴もいるらしいしな。


「うむ、ワシも取得しようとしておるのじゃが、中々条件が分からなくてのぅ」


ちなみにその内の一人がコイツである。ガットは歌い終わって満足したのかマイクをヴィオレに渡して戻ってきた。・・・いや、なんでヴィオレがいる? あ、ロゼさんもマイク持っている。この曲は・・・プリ○ュア!? マジで!? あの二人が!? 何代目のやつを歌う気だ!?


「まだ、この部屋にしかカラオケ機器が無かったんだよ。悪いね」


「安心せい、少し顔を見せに来ただけじゃ。一度歌ったら直ぐに退散するわい」


違う、疑問に思っている事はそこじゃない・・・といっても本人たちに聞く勇気も無いが。・・・お前らは気にならんのか?


「・・・まあ、良い。すごく気になる事があるがまあ良い。【精霊結晶】とやらの使い道は後で皆と相談する。それよりもお前達は結局緊急クエストは何位だったんだ?」


10位までは見たがその中には【インフォガルド】や【アイゼンガルド】の名前は載っていなかった。


「ああ、【インフォガルド】は18位だったよ。【禍白虎】を倒したところでタイムアップだった」


「【アイゼンガルド】は22位じゃった。同じく【禍白虎】は倒したんじゃが【上級邪霊】たちは倒しきれんかったわい」


・・・ふむ、やはり【大邪霊】を倒せたかどうかで順位に差があるみたいだな。おそらく【アークガルド】より上の順位のやつらは【禍朱雀】を倒してもなお余力があった連中だろう。1位のカオスはおそらく【禍玄武】も・・・


「・・・なあ、上位に入ったクランについて教えてくれよ。何か知ってんだろ? ラング」


「・・・へぇ、君が余所のプレイヤーを気にかけるなんて珍しいね」


・・・とぼけやがって・・・本当は要注意のクランについて教えに来たんだろうに。


「知らないままだったならそれでも良かったんだがな。実際に目の当たりにしてしまったら知らないわけにもいかないだろう。向こうさんがたは俺たちのことを知ってたみたいだし。・・・お前らが話したのか?」


よくよく考えれば【アークガルド】の事をメンバー以外でよく知ってるのはコイツラだ。


「知ってる顔は確かにおったが【アークガルド】の事は何も話しておらん」


「本人の許可が無い限りは情報を教えたりしないよ。下手をしたら通報案件になるからね」


そうか、それなら良い・・・いや、良くないか。それはつまり俺がヤツラのことを知ろうとしても教えてもらえないってことだしな。


「残念だけど僕たちだって詳しくは知らないよ。プレイヤーの情報なんてモロに個人情報だから詳しく聞きだそうとすると通報案件になる可能性があるしね。僕たちに分かるのは、せいぜい掲示板での噂とか、クランで公言している内容くらいだ。それくらいなら教えられるよ?」


掲示板での噂か、信憑性はイマイチだが、規制されるような書き込みは即刻消去されるはずだから、少なくとも問題が無い程度の情報は手に入る、か。


「・・・クランで公言っていうのは?」


「そのクランで誰がリーダーで、どんな集まりで、どんな活動をしているのかの説明だね。それをはっきり公言しておかないとメンバーの募集が出来ないし」


・・・ああ、なるほど。確かにどこかのクランに所属しようと考えたら、そのクランの事が分かっていないと所属しようがないよな。中にはメンバー募集していないクランもあるし。


どちらにせよ、情報としては表面的なものしか集まらないって事か。それでも知らないよりはマシだろうな。


「ちなみに【インフォガルド】は、『知らぬは一生の恥、これに共感できる者のみ参加可能』を公言してるよ?」


・・・それは知らなくても良い情報じゃないか? 俺は【インフォガルド】に参加する気はないぞ?。


「【アイゼンガルド】は『頑固一徹、狷介不羈』じゃな」


だから聞いてない・・・どういう意味だ?


「情報は大事だよ。知る知らないじゃ雲泥の差だしね。相手のクランのプレイヤーたちもそう考えて情報収集に走っているはずだよ。勿論、規約違反にならない程度でね。・・・戦いはもう始まっているってことだね」

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― 新着の感想 ―
[一言] なんなねん規約違反ってゲーム内の個人情報なんて別にええやろ作者本当にゲームやったことあるか???規制が厳しすぎでしょ
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