結果発表
【メニュー】に表示された結果はこんな感じ。
1位【あア亞あア亞】55012P
2位【ディアボロス】51379P
3位【双星騎士団】50211P
4位【秘密結社DEATH】49327P
5位【アークガルド】49123P
6位【モンスターイズライフ】45773P
7位【ヴァーミリオン】43501P
8位【GGGヒーローズ】42427P
9位【クラッシュヘブン】40006P
10位【アマゾネスプリンセス】39902P
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・・・ついでにポイント表も一緒に表示されていた。
ポイント表(1体当たりの討伐ポイント)
【邪霊】Lv×1P
【中級邪霊】Lv×2P
【上級邪霊】Lv×5P
【大邪霊】Lv×100P
・・・とりあえず言いたい事が一つある。
「・・・絶対、一位のクラン、適当に名前を付けてるよな」
「え? そこが問題?」
そこが問題だ。
俺たちが一位になれなかったのは・・・悔しいがしょうがない。自分たちの力不足だと、結果を受け入れるしかない。
・・・他の順位のクランの名前にも色々ツッコミたい所があるのだが、今はそれも置いておく。
腹が立つのはどう見ても適当に名前つけたクランに負けたということだ! しかも一位!
「なんだよ!【あア亞あア亞】って! 絶対、ああああああって入れたのを適当に変換しただけだろ!! こんなバグみたいな名前のやつらに負けたのか! クラン名ぐらいちゃんと付けろや!!」
思わず大きな声が出てしまう。ぶっちゃけ負け惜しみでしかないのだが、腹が立つ。一体全体どこのどいつだ!こんな適当な名前をクランに付けたのは!!
「ちょ、ちょっとアルク!」
「落ち着いてください!!」
アテナとアルマが俺をなだめようとしている声が聞こえるが今の俺の耳には入らない。このままでは腹の虫が収まらん!
・・・周りが、がやがや騒がしくなってきた。
どうやら他のプレイヤー達にも俺の声が聞こえてしまったようだ。
そんな中、俺は見た。
見てしまった。気づいてしまった。
とあるプレイヤーと目が合ってしまったことを。
そして、そのプレイヤーがさっと俺から目を逸らして去ろうとしているのを。
・・・俺は確信した。
「【韋駄天の俊走】!!」
なので俺は超加速でソイツに向かってもうダッシュした!
「うおっ!!」
ソイツは俺に気づいたようで小さく声を上げたが、もう遅い。その時には俺はソイツの前に立ち、そいつの肩に手を置いていたからだ。
「・・・よぉぉ、久しぶりだなぁぁ。カオス、だったっけぇぇ?」
そう、ソイツはいつぞや出会った全身、下から上まで真っ白なプレイヤー、カオスだった。
「・・・ああ。・・・何の用だ?」
当のカオスは無表情で、興味なさそうに俺に尋ねる。・・・ふっ、何の用か、だと? そんなこと分かりきっているだろうに・・・
「【あア亞あア亞】?」
「・・・何を言っている?」
・・・カオスの表情はまるで変わらないのだが、なぜか冷や汗をかいているように見える。
「【あア亞あア亞】だろ?」
「・・・だから、何のことだ?」
声だけ聞くと俺が、あ、としか言っていない奇妙な光景なのだが・・・
「・・・これからお前の事、【あア亞あア亞】のカオスって呼んでも良いよな?」
「・・・すまん、止めてくれ」
・・・さすがに嫌らしい。意味不明だもんな。なんだよ、【あア亞あア亞】のカオスって。
「・・・良いか、別に真面目にやれ、ともふざけるな、とも言わない。ゲームの中だから楽しめればそれでいい。だがな、適当すぎる名前は止めてくれ。こうして順位が発表されている以上、負けた連中がむなしくなる」
俺も含めてだが。
「・・・わかった」
うむ、どうやら分かってくれたようだ。ならば、これで手打ちだ。・・・一方的に俺が怒っていただけだけどな!
「ちょっとアルク! いきなり失礼でしょ!!」
「アルクさん、そちらの方はお知り合いなのですか?」
おっとアテナたちも来たのか? 見るとメンバー全員がこちらにやってきていた。
「いや? 名前しか知らんぞ」
白い男、カオスも同意するように頷く。
「・・・名前しか知らないのに突撃したのです?」
・・・まさにその通りだ。
「・・・仕方ないのだ、アーニャよ。俺の中の何かがコイツを許すなと言っていたのだ」
「・・・今、あっさり許しましたよね?」
・・・気にするな、アスター。
「えーっと、そっちの白いお兄さん? が一位の【あア亞あア亞】のクランの人であってるんすか?」
アシュラに尋ねられたカオスは渋い顔をしながらも頷いた。・・・うん、変な名前のクランだって実感してもらったようで嬉しい。次の機会までにまともな名前にしておいてくれ。
「・・・他のクランのメンバーはいないのだ?」
アヴァンがキョロキョロ周囲を見渡すが、この場には俺たちしかいない。
「・・・いない、俺一人だ」
「・・・え? ま、まさか一人でこのクエストを受けたの?」
アテナの言葉にメンバー全員が衝撃を受ける。一位のクランが一人だけのはずが無いだろうと。
「・・・違う。さっきまで【眷属】も一緒だった。先に送還したがな」
カオスは否定するように呟いたが・・・
「・・・プレイヤーはお前一人なんだろ?」
・・・しばらく悩んだ素振りをした後、コクリと頷くカオス。再び驚くメンバーたち。しかし、俺はやはりな、と何故か納得してしまった。コイツならやりかねないな、と。一見華奢にも見えるコイツだが、只者では無いことは最初見たときから分かっていた。おそらくこいつは・・・
「ダーッハッハッハ! 久しぶりだな! 【アークガルド】の諸君!!」
と、そこに俺の思考を遮る無粋な声が。この無駄にハイテンションで偉そうなデカイ声は間違いない。
「・・・うるせぇぞ! ベルバアル!! 二位だったからって調子乗ってんじゃねぇぞ!!」
「え? す、すいません・・・」
思わずガラの悪い大声で返してしまった俺の前に、しょんぼり肩を落として現れるベルバアル。後ろにはいつぞや出会った【ディアボロス】の面々が・・・
「皆さん、ごきげんようですわ~」
「おっす、久しぶり!」
「お久しぶりどすなぁ」
「・・・元気そうだな」
えーっと、レシトリーにライセーレ、レヴィーネ、リグシオンだっけ? ・・・もう読者も忘れてるだろうが俺は覚えてるぞ!。
「は、はわわわわ、なんか強そうな人たちが来たっす!」
「【ディアボロス】のメンバーたちよ」
「アルクさん、意外に顔が広いですね・・・」
・・・そうか、初めて会う奴らもいるんだったな。と言っても別に特別、仲が良いわけでもないんだが・・・自己紹介ぐらいすべきか。
「おい、ベルバアル。・・・落ち込みすぎだろ、お前」
どうやら俺が思いっきり怒鳴った事にまだへこんでいるようだ。相変らず魔王を目指しているくせにメンタルが弱い。
「だって・・・久しぶりに会えたのに・・・」
すねた子供か! 俺とお前ってそんなに仲よかったっけ?
「・・・すまん、ベルバアル。ちょっと気が立ってたんだ。代わりに、このカオスが謝るから許してやってくれ」
そう言って隣で空気になっていたカオスを指さす。
「・・・なんか、すまん」
そして何故か素直に謝るカオス。
「・・・えーっと、この人は新しいメンバーの人ですか?」
謝ったからかすぐさま復活するベルバアル。立ち直りが早い。さすが次期魔王(?)
「いや? こいつが今の緊急クエストで一位になったクランだったからちょっと喧嘩ふっかけてただけだ」
「ええ!?」
「・・・今の喧嘩だったか?」
驚くベルバアルと首を傾げるカオス。・・・なんなんだ、このカオスな空間は。・・・カオスだけに。つまんない? そりゃまた失礼しました。
「まあまあ、皆さん。喧嘩はいけませんよ~」
誰とも知れず頭を下げている俺の耳に入る、第三者の声。
どうやら更に別のプレイヤーがやって来たようだ。
・・・なんでどいつもこいつもここに集まってくる?
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