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アウルの力

「【結晶の短剣(クリスタルダガー)】!【バスタースラッシュ】!!」


と言うわけで絶賛【禍朱雀】と戦闘中である。なにがと言うわけなのかって? さあ? 俺にもよく分からん。


・・・うん、焦ってるな、俺。


眼下ではアスターたちが増援の【邪霊】たちと戦闘中である。アテナとアルマの姿もあるから、あっちの戦いには勝利したんだろう。


・・・それは良いんだが、下にいる【邪霊】って【上級邪霊】ばっかりなんだよね。いくらボスじゃないっつってもきついだろう。


なんで早く応援に行きたいんだが・・・


「キシャアアア!!」


「おぅあっ!?」


【禍朱雀】さんがそう簡単には行かせてくれんのですよ。さっさと片付けたい所なんだが、ボスキャラだけあってかなり手ごわい。むしろこっちが応援して欲しいくらいなのだが、さすがにそれは甘い考えか。向こうは向こうで大変みたいだし。・・・何よりも、今日の俺、あんまり、活躍してない(割と切実に)。


「クルッ!クルー!!」


「だうー!だー!!」


ほら、アーテルもアウルも応援してくれている。皆の頑張りに報いる為にも、コイツを倒してカッコいい所を見せなければ!


・・・なんて思っていた時期が俺にもありました。


「接近警報!新タナ【邪霊】ガコチラニ接近シテイマス」


な、なんやてー!?


「サラニ、強大ナ反応ヲ検知。【大邪霊】ト推測サレマス」


な、なんじゃらほってー!?(意味不明)


いくらもう直ぐ時間が来るからってごり押しすぎだろ!


まずいなぁ。ただでさえ消耗してんのに次から次へと・・・嫌だぞ、ここまで来て全滅なんて。というか誰かが死に戻っても嫌だ。俺がくたばるならともかく。


・・・ここはあれだ。一か八か、賭けてみるか。


俺が見る先にいるのは・・・


「だう?」


ご存知アウル君です。現在、アウルのLvは30前後、この短期間に爆上がりしたが、現在の戦場にいる【邪霊】たちはLv.60前後、Lvが全然足りない。


唯一の希望は【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】だ。


アウルとの【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】は【剣術】系スキルの消費BPを0にする効果がある。水属性を【魔法付加(エンチャント)】したスキルの連発で一気に【禍朱雀】を倒す。


だがこれには問題が二つある。


一つは、【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】していられる時間だ。現状のアウルのレベルでは・・・10秒ちょっとか。短すぎるな。何回スキルを使えるか・・・


もう一つ、【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】は【クランメカロイド】に搭乗した状態で効果があるのか? ということだ。【クランメカロイド】は搭乗者のスキルや武器を巨大サイズで使うことが出来る。だが、【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】は俺とアウルとの一体化だ。果たして効果があるのか・・・こんなことならアスターとミコトちゃんに試してもらっておけばよかったな。


最悪不発になる可能性があるが・・・試す価値はある。


「アウル!頼むぞ!!【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】!!」


「だうー! だーーーー!」


アウルが黄金のオーラを発しながら俺の体の中へと吸い込まれていく。とても奇妙な感覚だが、不快感は無い。むしろ力が漲ってくる様な全能感すら感じる。


黄金のオーラは俺を・・・そしてアークカイザーの全身を覆った。


これは・・・行ける!


「だったら一気にケリを付ける。【韋駄天の俊走アークヘブン・アクセル】!!」


俊天の疾走(アーク・アクセル)】を超える超加速により、世界が・・・そして【禍朱雀】の動作がスローモーションのようにゆったりとした動作になる。


「【ミーティアルスラッシュ】!!」


超加速プラス最高速の【剣術】で斬りかかる。BP消費は・・・無い! 賭けには勝った! ならば押し通すのみ!


「【マキシマムスラッシュ】!!」


消費BPを気にせずスキルを連発する。超加速中のこの状態なら少ない時間の中でもスキルを連発できるはずだ。残り7秒。


「【ミーティアルスラッシュ】!」


・・・残り5秒。1秒がとても長く感じる。


「【マキシマムスラッシュ】!!」


・・・残り3秒。まだ倒せないか。


「【ミーティアルスラッシュ】!!」


・・・残り1秒。くそッ! もう時間が・・・


「【マキシマムスラッシュ】!!!!!」


渾身の一撃を【禍朱雀】に振り下ろす。・・・0秒。


「だう!」


精霊憑依(レイ・ポゼッション)】が解けた! 【禍朱雀】は・・・!?


「・・・キシャアアア!!」


チィ、ボロボロなのにまだ・・・


「しつこいんだよ! 【勇天の一撃(アーク・ストラッシュ)】!!!」


最後の最後にBPを全消費する最高の一撃を叩き込む。これで駄目だったら・・・


「・・・」


「・・・」


・・・よっしゃあ!【禍朱雀】が消えていく。


どうやら賭けには勝ったようだ。


「クルーッ!」


「だーうー!」


「オ見事デス」


アーテル、アウル、カイザーも喜んでいる。良かった良かった。


・・・じゃねぇ!!


「まだ終わってねぇ! カイザー! アテナたちのところに行くぞ!!」


「了解デス」


あぶねぇ、あぶねぇ。


危うくこのままエンドロールに向かいそうだったぞ。まだ敵は残っているのに。


すぐさまアテナたちの元に急行する。・・・と。


「これでラストオオ!!」


「・・・ふぅ。ようやく終わりましたね」


「あ、アルクさんたちが戻ってきたのです!」


「おおー! 巨大ロボット、カッコいいっす!!」


「確かに、そうだね・・・」


「あい!」


「まうー!」


・・・こっちも終わっていました。・・・駆けつけ損? いやいや、そんなことは無いだろう。


「おいおい、油断するなよ。また新しいのがこっちに近づいてきてんぞ」


勝利で気が緩んでる所悪いんだが、こっちに向かってくるデッカイ亀みたいなのがもう目視できる範囲まで近づいているんだが。亀の足元にも【邪霊】らしき影がたくさんあるし・・・


「承知しているのだ、アルク。だが、そろそろ時間なのだ・・・」


時間? そろそろ?


何のことだと思っていたらカイザーが答えてくれた。


「クエスト残リ時間、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0」


『緊急クエスト【クラン対抗戦 制限時間内に出来るだけ多くの敵を倒せ!】はこれで終了となります。皆さん、お疲れ様でした』


・・・あ、もうそんな時間だったのか。夢中になってて気づかなかった。


「クルーッ♪」


「だーうー♪」


アーテルもアウルも喜んでいる。


・・・そうか終わったのか。


何とか最後までやり遂げる事ができたか・・・皆のおかげだな。


なんかテンパっちゃったし。


まあ、反省は反省として終わりよければすべて良し、だよな。


・・・ところで、あのデッカイ亀はいまだにこっちに向かってきてるんだがどうすんの?

作者のやる気とテンションを上げる為に


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