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次から次へと

俺はゆっくりとターゲットを見据える。


焦ってはいけない。


慎重に、確実に、その時を待つ。


勝負は一瞬だ。


見極めろ。


ベストのタイミングを。


まだだ、もう少し。


・・・今だ!!


バキュゥゥン!!


「・・・」


「・・・ふむ、やはり良い腕なのだ」


見事ヘッドショットを決めた俺を称えるアヴァン。


「なに、アヴァンの作ったこの【グランディススナイパーライフル】のおかげだ」


俺としてもアヴァンの作った銃の出来に満足していた。今の狙撃距離はおよそ300mと言った所か・・・エナジー弾だったが、今度は実弾で試したいところだ。


「あのー!!援護するならもうちょっとボクらに気を配って欲しいっす!!」


「そうだ!!・・・ですよ!下手したら当たっていた・・・ですよ!!」


・・・せっかく援護射撃をしてやってるのにアシュラもアスターも不満そうだ。あとアスターの話し方がおかしい。多分、熱くなって乱暴な口調が出ているのを必死に訂正しているのだろう。深く気にせずなま暖かく見守ってやろう。


現在、アシュラたちは【邪霊】たちと最前線で戦闘中である。アシュラたちの後方、少し離れた所でカイザーとラグマリアが【グランディスガトリングガン】で敵をけん制している。


どうも【邪霊】たちは基本的に真っ直ぐ防衛ラインまで進軍してくるが、プレイヤーや【眷属】がある一定距離まで近づいてくると、ターゲットを補足して攻撃を優先するようになるらしい。


そして一度ターゲットになるとあとはずっと追いかけてくるようだ。その証拠に防衛ラインとはまったく逆方向にいるアシュラたちを追いかけてこちらには背を向けている【邪霊】がいる。


この情報はなかなか大きい。全ての【邪霊】に適用されるかはわからないが、一度ヘイトを集めれば敵をひきつけることが可能になる。防衛ラインに進軍される恐れも少なくなる。


まあ、それを確かめるために、接近戦が主な戦闘方法の二人を行かせたんだけどな。二人が敵を引きつけてくれているおかげでこちらまで敵が来ない。


それでも敵の数が多いからヘイトを集めきれずこちらに向かって来ている【邪霊】もいるが、カイザーとラグマリアが上手く食い止めているからこちらまで来ない。


ただ、少し残念なのは、直ぐそばを飛行している【ビートル君】には見向きもしないことだ。(デコイ)に使えるかと思ったのだが、どうやらターゲットになるのはプレイヤーか【眷属】だけらしい。アイテム系は範囲外らしい。



「おおお!【サイコリッパー】!!」


アスターが鎌を振ると目の前の【邪霊】だけでは無く、離れた場所にいる【邪霊】たちまで5、6体まとめて斬り裂いた。


目に見えない刃のような物で切り裂くスキルのようだ。・・・何でアイツの使うスキルはいちいち物騒なんだ。便利そうではあるんだが。


「【魔闘技:風爪】!【竜斬爪】!行くっすよー!!」


アシュラは両手の指先に気力の爪の刃を伸ばし、次々と【邪霊】たちを斬り裂いていく。魔法付加も忘れていない、相性のよいスキルを組み合わせて使っている。・・・成長したな。


「この切っ先、触れれば切れるっすよー!」


「!あ、あの野郎!!」


「ど、どうしたのだ、アルク!?」


「・・・また俺の言いたかったセリフを取られた・・・」


「・・・」


この俺を出し抜くとは(2回目)・・・俺は敗北感に苛まれた。・・・本当に成長したな。


腹が立ったので、再び【グランディススナイパーライフル】で狙撃する。あ、狙うのは【邪霊】だからね?いくらなんでもアシュラを狙ったりはしないよ?ちゃんとした援護射撃だから。


ちなみにミコトちゃんやルドラくんは、それぞれアスターとアシュラの背中に張り付いている。何やってんだと言いたい所だが、二人の戦いの邪魔にならない場所と言ったらあの位置くらいなんだろう。それに背後からの敵を二人に教えているようだしそれほど悪い事ではないのだろう。・・・なんか子連れ番長みたいだな。


「・・・お?」


スコープごしに【邪霊】たちに狙いを定めいていると、奥のほうからさらに【邪霊】たちの増援が来ていることに気づいた。今いる【邪霊】たちと同レベルがおよそ100体。


「・・・アヴァン、現在のクエスト時間は?」


「クエスト開始からおよそ9分20秒・・・第三陣が出てきてからおよそ3分40秒と言ったところなのだ」


・・・半端な時間だな。となるとあの増援は時間経過によるものではなく、他のトリガー・・・おそらく敵が一定数以下になった時に出現するタイプだろう。アスターたちが戦っていた【邪霊】たちはもう残り20体くらいだし。


となるとこの後も不規則に増援が現れていくと思った方が良いだろうな。


「・・・そろそろ頃合いだな。俺たちも行くぞ」


俺は残っていたメンバー全員に言う。


「あら、もう全員で行くの?」


アテナが疑問を呈する。まだアスターたちが戦っている途中だからだろう。


「ああ、あの数だとアスターたちもきつくなってくるだろうし、このクエストの進め方も大体把握した。インターバルはもう期待できないだろうし、後はひたすら敵を倒しまくるだけだ」


【邪霊】たちは前方からドンドンやってきているが、逆に言えば一方向からしか向かってこない。一応、俺たちの目が届かないだろう場所は【ビートル君】にも見張らせてはいるが、転移でもしてこない限りは大丈夫だろう。


むしろこの後、どんどん敵のレベルが上がっていくことを考えると、こんなギリギリの場所にいたら返って防衛が難しくなる。


余裕を持つ意味でももっと前方で敵を食い止めていた方が良い。


「分かりました。・・・後は時間との勝負ですね」


そういうことだ。今の【邪霊】たちのレベルなら倒すのに大した苦労は無い。ただし、数が多い以上、ちんたらしていたら時間も手間もかかってしまう。この上、高レベルの敵が多数出てくるようになったらまずい。考えて動かないとあっという間に防衛ラインを抜けられてしまう。


幸い、敵さんはコチラを無視して防衛ラインを突破する様子はないから、あとはいかに効率よく敵を引き付け、短時間でスムーズに敵を倒せるか、だ。


「だうー!!」


アウルも張り切っている。・・・張り切るのは良いが君はアーテルの上にちゃんと乗ってなよ?間違っても敵のど真ん中に突っ込んでいったりするなよ?・・・不安だ。


「・・・アーテル、アウルを頼むな」


「クルッ!!」


うむ、良い返事だ。立派にお兄ちゃんやってて俺も嬉しいよ。


「・・・和むのも良いのだが、そろそろ二人がやばくないのだ?」


おお。・・・二人に【邪霊】たちがわらわらと群がってくてるな。さすがにきつそうだ。負けることは無いだろうが先はまだ長い。選手交代と行こうか。


「おっと急がないといけないな。皆、くれぐれも敵に注意しておけよ。あと回復も忘れずにな」


「「「「了解!」です!」なのです!」なのだ!」


うむ、お前らも良い返事だ。


「じゃあ俺は先に二人を助けに行こうか。【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!」


これより、我らは修羅の道に入る。


なんつって。

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