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危険スポット

「なにやってんだ?アイツら?」


ラング、ロゼさん、ガットが自分たちのクランへと帰って行き、俺たちも【精霊界】へいざ出発、と庭に出たときの言葉がこれである。


アウルを背に乗っけたアーテル。


ルドラくんを背に乗っけたブラン。


ミコトちゃんを背に乗っけたフィオレ。


以上のメンバーが空を優雅に飛行していた。・・・いや、優雅ではないか。


「・・・おい、カイザー。あれは何をやっているんだ?」


「競争ダソウデス」


・・・競争か、なるほど。確かに一見すると横並びで綺麗に飛んでいるように見えるが、実際には前に出ようと競い合っていたのか。


「・・・ラグマリア、アヤツらのスピードを時速計算するのだ」


アヴァンがラグマリアに命じている。ラグマリア、そんな機能もあったのか・・・


「・・・計測終了、時速180kmデス」


「ジェットコースター並み!?」


道理でさっきから屋敷の周りをグルグルととんでもないスピードで回ってるわけだ。他の【眷族】たちはその様子を見て喜んでるが・・・見てるだけで目がまわりそうだ。


「・・・ゴールはどこにあるんだ?」


「「・・・アッ!!」」


カイザーとラグマリアが今気が付いたかのような声を上げる。・・・ロボットとアンドロイドの割りに鈍くさいな。というか誰か気づけよ!・・・一体いつからやってたんだろうか。


「おぉーい!出発するぞー!!」


このままでは埒が明かないのでエンドレスなジェットコースターごっこを止めさせる。


「クルー!」


「だう!」


即座にそれぞれの主の下に集まってくる【眷属】たち。・・・アーテル、慣性の法則って知ってるか?なんであんなスピードで飛んでたのに、ピタッと止まれるんだ。そしてアウル、何で君はそんな楽しそうなんだ。あんなスピードで飛んでいるアーテルに平然と乗っかっていられる君を末恐ろしく思うよ。


「おっそろしい【眷属】たちっすねー」


ルドラくんを抱きながら気楽に言うアシュラ。


「そこは素直に頼もしいって言いなよ、アシュラ」


ミコトちゃんの頭を撫でながら言うアスター。君らの【眷属】も大概だと思うよ?


まあ、元気が有り余っている様子の【眷属】たちにはこの後のクエストで活躍してもらう事にして、まずは【精霊界】に出発だ!


・・・なお、俺の頭の上が定位置になりかけているアーテルが、アウルを背に乗っけたまま、俺の頭の上に乗っかった。・・・上から順にアウル、アーテル、そして俺の謎の三兄弟の完成である。


・・・メンバーの爆笑をさらったのは言うまでもない。


===移動===>【精霊界】エリア0


「「「「ほわぁ~」」」」


・・・


【精霊界】に初めてきたメンバー、つまり俺以外だが、が感嘆の声を漏らす。やはり【世界樹】のインパクトは桁違いだよな。今までの世界もそうだったが、リアルではまずありえない幻想的な光景だし。


【精霊界】3日目にして早くも慣れてしまった俺は、きっと心が荒んでるんだな。・・・だってどこからでも目に入るんですもん。


「・・・うむ、素晴らしいのだ。ラグマリア、【世界樹】の大きさを計測するのだ」


「了解、計測開始」


おお、アヴァンがラグマリアに【世界樹】の大きさを測らせている。それは俺も興味あるな。


「・・・失敗シマシタ」


「・・・うぬ?」


・・・何故?


「【世界樹】ヨリ膨大ナエネルギーヲ検知シマシタ。ソノエネルギーニヨリ空間ガ歪ミ、正確ナ計測ガデキマセン」


・・・膨大なエネルギーで空間が歪むって意味がわからんのだが・・・【世界樹】にはそんな設定もあるのか。一緒に話を聞いていたアスターを見るが首を横に振った。アスターも知らなかったらしい。


「マタ、強大ナエネルギーヲ持ツ動体反応ヲ多数検知シマシタ」


【世界樹】本体以外にもいるらしい。動体反応ってことは生物ってことだよな。・・・ああ。


「それは【世界樹】を守る【ガーディアン】ってやつだ。近づこうとする奴を容赦なく排除するらしいぜ?」


話に聞いただけで実際には見たことも無いが。


「ふむ、強そうなのだ・・・ラグマリア、彼我戦力差を測ってみるのだ」


おいおいアヴァン、来て早々トラブルを起こすつもりか?というかラグマリアってそんな事もできたの?


「計測開始・・・推定最弱個体ヲ発見、戦闘力算出・・・【アークガルド】メンバーノ戦闘力ト比較・・・彼我戦力差ハオヨソ2対1ト推定サレマス」


・・・最弱個体との彼我戦力差2対1。つまり・・・


「つまり、最低でも俺より倍は強いヤツラがうようよしているってことか」


Lv.100越えは確実かな。おっかねぇなぁ。神秘スポットが急に危険スポットに見えてきたぜ。


「ノー、デス。戦闘力計測ハ【アークガルド】メンバー()()トイウ想定デ行ッテイマス。リーダーアルク単体デ計測シタ場合、彼我戦力差ハオヨソ35対1デス」


「・・・」


「・・・」


するってぇと何かい?俺たち全員が束になっても敵わないヤツラが普通にうようよしてるってことかい?


「・・・レイドボスより強い奴らがうようよしているとはたちの悪い冗談なのだ・・・」


アヴァンが頭を抱えている。危険スポットどころかテラーでホラーなデススポットだったな。


「・・・【世界樹】に近寄るのは禁止だな」


君子危うきに近寄らず、である。俺の言葉に全員が頷いた。


あれに挑戦するのは遠い未来の俺に任せよう。頑張れ!未来の俺!!


それはそれとして、【精霊士(エレメンター)ギルド】や【農業ギルド】、【精霊図書館】などを説明していく。とりあえずアテナたちは【精霊士(エレメンター)ギルド】へ。他は緊急クエスト後に行くことになるだろう。


俺とアスター、アシュラは今のところ用は無いので適当に近くの店を物色する。


「そういえば良かったんですか?」


何の話だ?


「えーっと、ラングさん?でしたっけ?・・・親の仇を見るような目でアルクさんを見てましたけど・・・知り合いなんですよね?険悪なムードのままで良いんですか?」


ああ、その事か。


「それなら大丈夫だ。・・・あれはラングの演技だから」


「・・・え?」


「・・・演技なんすか?」


そうなんですよ。


「本気だったらロゼさんから相談があるはずさ。【インフォガルド】としては【アークガルド】との関係が険悪になる事は避けたいはずだからな。・・・あれはおそらくクラン同士で同盟を組むのを断る口実だな。他にも色々あるだろうが・・・バトルトーナメントに向けて実力は隠しておきたいんだろう。それはこっちも同じだが」


「・・・それなら、素直にそうと言えば良いのではありませんか?」


まさしくその通りなんだが・・・


「男は時に素直になるのを嫌がるモンなんだよ」


照れ隠し・・・というと気色悪いな。男の矜持ということにしておいてくれ。


それにリーダー同士では納得していてもメンバーの中には不満を持つ奴がいるかもしれないしな。トーナメントに参加しないメンバーなんかは特に。理由があれば説得しやすくもなる。・・・くだらない理由でもな。


「まあ、8割以上はワル乗りだけどな」


「「ほぼワル乗り!?」っすか!?」


当然だろう(笑)。


「実は俺もラングに食わせた激辛たこ焼き、食ってみたんだよ。・・・確かに百年の眠りからも飛び起きるくらいからの辛さだったが気絶するほどではなかったぞ?」


おそらくラングは気絶したふりをして【インフォガルド】でやり残していた仕事をサボタージュしようとしたに違いない。・・・ロゼさんが引きずっていったのでどうなったかは不明だが。


「百年の眠りからも飛び起きるほどだったら十分な威力だと思いますが・・・」


「ボクも食べたくないっす」


いかんな、好き嫌いは。まあ、無理強いはしまい。


「とにかく、心配する必要はないってことだ。アイツは人をおちょくって反応を楽しんでるだけだから。やり返されたからって怒ることはないし裏切ったりすることもない」


だから俺たちの情報を勝手に売ったりもしないはずだ。・・・したらさらに10倍辛いヤツをお見舞いしてやる。


そんな雑談をしている間にアテナたちが戻ってきた。


次はアスターの畑だな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 辛子入りたこ焼きとか山葵入りたこ焼き、辛くないです。 熱と水分で辛味成分が飛ぶので、風味だけ残って美味しいですよ。 (実際にやりました) 山葵と辛子両方は風味が喧嘩しそうですが。
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