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勝者への贈り物

「ハァ、ハァ・・・フー」


つ、疲れた。マジで冗談抜きで。思わずその場に座り込んでしまう。


韋駄天の俊走アークヘブン・アクセル】が解け、加速世界から抜け出る。その瞬間に襲ってくる乗り物酔いにも似た気分の悪くなる感覚。


加速中から通常状態に戻ると、どうも一気に体と感覚のバランスを取り戻そうとしているのか気分が悪くなる。慣れれば改善されると信じたい。


もうBPもMPも空だし、LPも残り少ない。かつてここまで消耗したことは無いんじゃないか?


「クルー!」


「マスター!」


アーテルとカイザーが近寄ってきて俺と【剣鎧の精霊】の間に割って入る。当の【剣鎧の精霊】は大の字に倒れたままピクリとも動かないが、二人はまだ警戒しているようだ。残心を怠らないとはアッパレだな。


二人が【剣鎧の精霊】を見張っている間にポーションで回復しておく。・・・うぇー。まだ気持ちが悪い。こればっかりはポーションでも治んないんだよなぁ。


「うわっ!!」


「何すか!?」


と、急にアスターとアシュラの慌てる声が聞こえた。・・・まさかここに来て伏兵か?と思ったが、二人が慌てた様子が直ぐに分かった。


地面が、壁が、部屋全体が急に光りだしたのだ。


「・・・なんだ?」


また、何か始まるのかと身構えたが特別なにかが起こる様子が無い。・・・いや、これは・・・ボロボロだった部屋が修復されていく?


「・・・コノ地ノ【精霊】ノチカラヲ阻害スル"何カ"ガ排除サレタ事ニヨリ、【精霊】ガチカラヲ取リ戻シ、ソノチカラデ本来ノ姿ヲ取リ戻シテイルモノト推定サレマス」


・・・だそうです。本当に優秀だね、カイザーは。いや、カイザーをアレコレ改造しているアヴァンが優秀なのか?・・・両方だな。


にしても【精霊】の力を阻害する何か、ねぇ。


俺は立ち上がって、今だ大の字に倒れこんでいる【剣鎧の精霊】に近寄る。その姿からは先ほどまでの禍々しいオーラが消えていた。


・・・その何かっていうのは間違いなく【ガティアス】だろう。それが排除されたってことは・・・【剣鎧の精霊】は正気を取り戻したって事か。


・・・にしても・・・【剣鎧の精霊】の顔を覆っていた兜を破壊した事により、その下の素顔が見れるはずなんだが・・・やはり何故か目元が影で覆われていて顔が確認できない。一体誰得なんだ、この特殊効果は。一応分かるのは金髪であることと口元が一の字に閉じられている事だけだ。


「終わったんすか?」


動き出さない俺たちに焦れたのかアシュラたちがやって来た。終わったのかどうかはコイツが起きてこないとわからないな。・・・倒す勢いで戦ってはいたが、元々の目的は【剣鎧の精霊】の【眷属】化なんだよな。手加減なんてしたらこっちが負けそうだったから全力で戦いはしたが・・・どうだろうな?


倒すだけなら、今も容赦なく攻撃をしていたんだが・・・(外道で非情な考え)


「・・・【ガティアス】はもう取り憑いていないんですよね?」


「そうらしいな。・・・もしかしたら【ガティアス】が取り憑いていたのは【剣鎧の精霊】本体じゃなく、あの兜だったのかもしれないな」


俺がぶっ壊した兜の破片を見ながら呟く。


「その心は?」


首を掲げるアスターとアシュラに答えてやる。


「さっき【拳武の精霊】が着けてた仮面、【精霊】の体の一部じゃなく別枠扱いだったろ?おそらくだが【拳武の精霊】と【剣鎧の精霊】は【拳武王】と【剣鎧王】の姿を模した姿だと思うんだが、あの仮面は模倣した姿とは別に・・・どっかから拾ってきた物を着けていたんじゃないかと思ってな」


・・・もしくは何者かに無理矢理着けられたとか、な。


「となると、同じく顔を隠しているという点で共通している【剣鎧の精霊】の兜も別枠の物だったんじゃないかと思ったわけだ。・・・多分、兜だけは本家の【剣鎧王】が着けていた物だったんじゃないか?何故【剣鎧の精霊】がそんな物を身に着けているかはさっぱり分からんが」


・・・まあ、そんな深い根拠は無いけどな。【拳武の精霊】が着けていた仮面も結局謎のままだし。


「おぉー!アニキはそこまで考えて兜を壊したんっすね!?」


「ハッハッハー」


すまん、偶然だ。


「なんにしても、コイツを起こしてもまだ戦意があるかどうかだな。・・・だからってそんなぺちぺちするのはやめたげて、ミコトちゃんにルドラくん」


「あい?」


「まう?」


いつの間にか、倒れこんでいる【剣鎧の精霊】の頬をちびっ子二人が両サイドからぺちぺちしてる。突然起き上がって襲ってきたらどうするつもりだ?


なんて思ってると本当にガバッと【剣鎧の精霊】が起き上がった!


「ウワッ!!」


「危ないっす!!」


すぐさまちびっ子二人を抱き上げて離れるアスターとアシュラ。アーテルとカイザーも臨戦態勢を取るが、当の【剣鎧の精霊】はこちらを・・・いや、俺の方を見たまま黙って突っ立っていた。


口元だけしか見えないその表情はやはり笑っているように見える。


「・・・これは【拳武の精霊】の時と同じく認められたってことで良いのか?・・・ならやることは一つだな。【契約(コントラクト)】!!」


【剣鎧の精霊】の胸の部分に手を翳しながら【契約(コントラクト)】を結ぶ。


すると【拳武の精霊】の時と同じく【剣鎧の精霊】が光に包まれていく。


・・・いや、少し違う?


【剣鎧の精霊】が光に包まれている一方で、【剣鎧の精霊】が着ていた黄金の鎧とぽっきり折れた大剣が【剣鎧の精霊】から()()()()()


黄金の鎧と大剣が少し離れた場所でふわぁーと浮いている一方で【剣鎧の精霊】を包んだ光は球形・・・卵のような形になり・・・どんどん小さくなっていき・・・そして・・・


「だう!!」


割れた。


そして中から現れたのは・・・何と言うことでしょう。金髪金眼の可愛らしい男の子ではあーりませんか。・・・うん、知ってた。ミコトちゃんやルドラくんと同じ幼稚園児サイズの幼い男の子だった。


予想外だったのはその男の子が何故かフル○ンだったことだ。


「何でやねん!!」


そう叫んでしまった俺は悪くないと思う。いや、本当に何故?


「だーう♪」


しかし、当の男の子は俺の事なんか気にせず、ちっちゃい手をそれぞれ黄金の鎧と大剣に向けた。


今度は何だ?と思っていると黄金の鎧と大剣は光の粒子となって砕け散り、その光の粒子の一部が男の子に向かい始めた。


「だう!」


男の子が叫ぶと・・・何と言うことでしょう。光の粒子がマッパだった男の子の鎧へと変わったではあーりませんか!!


オマケに背中には大剣を背負っている。・・・幼稚園児サイズのちっさい大剣だが・・・なんて矛盾した言葉なんだ。鎧や剣の意匠は、先ほどまで戦っていた【剣鎧の精霊】が装備していたものをそのまま小さくしたような感じだが・・・見た目幼稚園児な男の子が着ていると武装しているというより仮装しているようにしか見えない。


あと、光の粒子になった黄金の鎧と大剣がまだ残っているんだが、どうすんの、これ?


「だーうー♪」


男の子が叫ぶと残った光の粒子は・・・俺に向かって飛んできた。


「おいおい、なんだよ?」


攻撃ではないようなので黙って突っ立ってると、光の粒子は俺に・・・ではなく【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】に吸い込まれていった。


光の粒子を吸い込み終わると、先ほどまでボロボロの傷だらけだった【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】が元の姿へと修復された。


「だう♪」


困惑している俺の元に、金髪の男の子はふわふわやってきて俺の腕の中に納まる。そのやりきったような表情を見るにどうやら終わったらしいが・・・色々説明して欲しい。


・・・無理だよな。


にっこり可愛らしく笑ってるだけだもん、この男の子。君の格好はともかく、俺の装備になにした?


・・・ああ、もしかして【豪剣アディオン】と【攻鎧アルドギア】を修復してくれたとか?勝者へのサービス的な?


この子の名前も考えなきゃいけないが、とりあえず【メニュー】を開いて状況を確認しておく。


【豪剣アディオン ☆12】

特性:ATK+530 MATK+330 STR+70 属性:無 消耗度:0%

SLOT1:剣鎧の精霊

SLOT2:--- SLOT3:---

ミスリルタイト製の大剣、強大なモンスターの素材により性能が極限にまで向上している。

剣鎧の精霊の依代となった事でより強化されている

製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可

アルク専用


【攻鎧アルドギア ☆12】

特性:DEF+330 MDEF+330 SPD+70 属性:無 損傷度:0%

SLOT1:剣鎧の精霊

SLOT2:--- SLOT3:---

ミスリルタイト製のグリーブ、バンブレース、ブレストがセットになった鎧、強大なモンスターの素材により性能が極限にまで向上している。

剣鎧の精霊の依代となった事でより強化されている

製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可

アルク専用


・・・なんか増えとる。


作者のやる気とテンションを上げる為に


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